Oside




O「ハァッ ハァッ」



ダメだ、いない… もう帰っちゃったのか?



本当にこの辺りは街灯が少ないうえ、車があまり通らないから危ない。



これじゃぁ、酔ってたら車道か歩道かなんてわかんないだろうな…



O「ッハァ ハァー・・・ ……ん?」



足が痛くなって、向こうにあるベンチに行こうとしたら、人影が見えた。



O「二宮…さん?」



俺は確信なんてしていなかったが、衝動的にベンチに駆けていった。



O「…二宮さん? 二宮さん!!」



間違いない、二宮さんだ。



二宮さんはベンチに頭と腕だけを預けて、脚はだらんとしていた。



O「大丈夫ですか?風邪ひきますよ!起きてください…!」



頬を軽くたたいても起きないものだから、無理やり抱きかかえ、ベンチに座らせた。



俺も隣に座って、一呼吸。



N「んー…」



O「!」



二宮さんがうっすら目を開けた。



O「二宮さん?…大丈夫ですか?」



N「……誰?」



あ、そうか。 まず名乗らなきゃ…



って、俺一応テレビ映ってるんだけど…



O「大野って言います。…知らない…かな?」



N「?……知りません…。」



O「…そうですよねっ すいません」



ハハッなんて笑ってごまかしたけど、結構辛い。



N「・・・あの、どうして大野さんと一緒なんですか?」



O「え?…あぁ、さっき二宮さんがフラフラしながら店でていくの見て、心配になって…って、ごめんなさい、気持ち悪いですよね…」



俺何普通の顔していってんだ… こんな事知らないおっさんに言われたら絶対すぐ逃げるよ…



N「いえ… ありがとうございます」



一瞬俺の目を見て、消えそうな笑顔で言った二宮さんは申し訳なさそうだった。



O「……もう、帰りませんか?親御さん心配しますよ…?」



もう3時は過ぎてるだろう… きっと親も心配しt「心配なんかしてませんよ」



……え?



N「あ… すいません。…俺の親、別居してるし、会えばいつも喧嘩してるんです」



O「・・・どうして?」



N「……俺が原因なんです。俺がいつまでも就職しないで親に金もらってるから…」



O「……」



N「それで、“お前がちゃんと育てないからだ”とか“貴方が家事手伝ってくれないから”とか…」



N「俺さえいなければいいんです。…きっと二人とも楽になって、幸せになれる」



そんなこと…



O「…ぃ…」



N「…え?」



O「なぃ… そんなことない!!」



N「!」



あ… 言っちゃった…



二宮さんも困ってんじゃん…



O「あ、いや… そんなことないですよ… 自分の子供の所為だなんて思うわけないじゃないですか…」



根拠もないことを… 俺最低かな…



N「…俺の所為ですよ …俺がちゃんとしてないからお互いを責めて…」



O「……二宮さん?」



今にも泣き出しそうな顔で、二宮さんは俯いてしまった。



N「…ごめんなさい」



両手で自分の顔を隠して、静かに震えている二宮さんに、俺は何も言えなくなってしまった。




ビューーッ




強く冷たい風が吹き抜けた。俺は少し身震いをしてから、二宮さんに目線を送った。



N「ーーっ ハァッ うぅ」



自分を抱きしめながら泣いていた。



寒い…よな。



O「あの…使ってください」



着ていたペラッペラの革ジャンを渡した。



O「あんま暖かくないかもだけど…」



(笑)程度の笑顔を残して、半ば無理やり渡した。



N「ありがとう…ございます」



二宮さんも、(笑)まではいかないけど、確かに少し笑ってくれた。



俺の革ジャンは、華奢な二宮さんの体には少し大きくてちょっと笑っちゃったけど、暖かそうで安心した。



N「そんな見ないでください……//」



O「フフッ 似合ってますよ?」



N「嘘言わないでください…!//」



可愛いなぁ二宮さん(笑) 顔真っ赤じゃん。



……あ、寒い。



O「もう帰りましょ? あの…寒いし」



あ、本音が…



N「そうですよね、すいませんっ いろいろしてもらって…」



O「謝らないでくださいよ(笑) 大丈夫ですから。」



N「はい…」



……



・・・なんだ、この沈黙…。



O「あの…帰る所ないんですか?」



うわ、また俺は…先に考えてから喋ろよ…



N「…ないですよ。 いつもこの辺で…寒いけど、我慢して寝てるんです」



O「嘘でしょ…?」



N「嘘なんかじゃないですよ、本当です。」



そんな真顔で言われても… よく生きてこられたね…



N「なので、大野さんはちゃんと帰ってください」



革ジャンを脱いで俺にたたんで渡した…二宮さんはやっぱり、悲しそうな顔をしていた。



O「…一緒に帰りましょ?」



そんな君を置いていけるわけないだろ…?



N「え…」



目を細めて言葉を失った二宮さんに、俺は革ジャンを肩にかけたやった。



そして、できるだけ優しく言うんだ。



O「俺と一緒に…帰ろう?」