タトゥーのこと2 | 闇を愛するアラフィフニート主婦の日常

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旦那と2010年生まれの息子と暮らしてます。
2013年にパート勤めを辞めて以来
「さして働かず、さして家事せず、さして子育てせず」をモットーに
不謹慎でネガティブな日々を送っています。


これの続き~

 

そんなこんなで、線を彫りに行く第一回目。

 

当時わしは実家暮らしだったのだが

家を出る時に、オカンと玄関で鉢合わせた。

 

家族であっても他人の距離感を保つ我が家では

「どこに行くの?」「誰と行くの?」「何時に帰るの?」

なんて会話は、普段から一切成されないし

こちらから言い出すこともなく、ただ「行ってきまーす」と言って出かけるのが常なのだが

 

その時は何となく、オカンを試してみたくなり

「タトゥー入れに行ってくるわー」と言ってみた。

(もちろん、入れるという表明はその場が初)

 

すると、多少オカンはびっくりしながらも

「あぁ、でも今、わたしの周りの若い子も入れてるしな」

(若い子の多い職場環境なオカン)

と、ひとりごちて、普通に送り出してくれた。

 

あぁ、やっぱりというか、こういう反応なんだな

と、淡々と受け取ったわしは、そのまま神戸のタトゥースタジオへ向かった。

一回目はバンドメンバーが付き添ったが、線入れの二回目と色入れの三回目は、彫り師とマンツーマンである。

 

頼んだマーメイドのモチーフがどのようになってるのかドキドキだったが

蓋を開けてみると、デザイン的にはまぁまぁ満足だったものの

(顔がちょっと可愛くないなぁ、とは思ったが、一生残るものとしてはこんな感じで良かった)

サイズがデカいw

 

わしの希望は5センチ四方くらいだったのだが

余裕で10センチ以上あり、気を付けしてもマーメイドの半分くらいは見えてしまうサイズ感w

 

「これ小さくならないんですか?」と聞きはしたものの

「小さくすると作業も細かくなって値段も高くなるし、何よりバランスが悪い」みたいなことを言われ

もーめんどくせーからプロにお任せすっか、とマグロ状態で身をゆだねた。

(一生ものなのに散髪くらいの軽さ)

 

モチーフの人魚が描かれたトレーシングペーパーのようなものを、目当ての場所に貼り、形を写し取る。

その後は、ひたすら歯医者のような道具で線をなぞる。

 

線をなぞられてる感覚は、強めの圧で皮膚を引っかかれてるくらいのもので、そないに痛くはなかったのだが

二の腕の内側に彫るため、腕を外側に捻じ曲げてるその角度が痛い(;´Д`)

 

「二の腕の外側なら、まだ皮膚が固いからマシなんだけど、内側は柔らかいからめっちゃ痛いよ~」

みたいなことを言われたが、違うんです腕を捻じ曲げてるのが痛いんですと思いながら

 

「ちょっと休憩しませんか・・・」と提案したら

「今ノッてきたからダメ!」と却下されたw

ドSな彫り師。てか、ドSじゃないと彫り師は無理だろう。

 

とはいえ彫られてる痛みは本当に、歯医者の麻酔注射より全然楽勝なくらいで

出産に比べたら千分の一程度ではないかと今思う。

 

線を彫り終わって一週間後くらいに色を入れたが

こちらはさらにマイルドな痛みだった気がする。

ちょっと血が出てかさぶたになったりしたが、しばらくするとキレイに治った。

 

「色入れた直後は抜けやすいから、激しい運動はしないで」

と言われたので、バンドのドラムもマイルドに叩いてやり過ごした気がする。

 

その後、わしは夏場でも、マーメイドタトゥーが隠れる程度の半そでカーディガンを愛用するようになり

人に見せびらかすより、当初の目的通り、自分がニヤニヤするためだけにタトゥーを楽しんでいる。

 

思えば、足掛け20年も、わしを見守り続けて来たタトゥー。

元カレの、さらに元カレまで知ってるタトゥー。

「それ消えないの?」と、一緒にお風呂に入る息子は、2歳くらいの時に聞いてくるようになった。

義理家でタトゥーの話題がやり玉に上がったら「えへへ、実はわたしも・・・」と内心ニヤニヤしている。

 

とはいえ、積極的に隠す気も、積極的に見せる気もない

ちょっと背徳的な楽しみごと。

わしの買い物としては、上位3位にランクインし、いまだその記録は破られていない。

(1位はバイク、2位はドラム。これだけでもタトゥー入れるスペックが高い気がする)

 

二の腕がシワシワのババアになったら

タトゥーもわしとともに老いるのだろう。

 

分かりやすいブランドロゴの入ったバッグを持ち歩くよりも

一生消えなくて、特に賛同も得られず、むしろ白い目で見られる可能性が高いものをたずさえてるほうが

わしのパーソナリティには、やっぱりしっくり来るのかもしれない。

 

 

かなり色が抜けてるのだが、これも愛嬌ってことで。

わしより断然ボインなのは羨ましいな・・・

 

あのタトゥー屋は、まだ神戸にあるのだろうか。

自分の描いた作品が、描かれた人々が死に絶えるまで消えぬまま

地球のあちこちに散らばっていくというのは、かなりエモい職業だと思う。