タトゥーのこと | 闇を愛するアラフィフニート主婦の日常

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旦那と2010年生まれの息子と暮らしてます。
2013年にパート勤めを辞めて以来
「さして働かず、さして家事せず、さして子育てせず」をモットーに
不謹慎でネガティブな日々を送っています。

わしの、左腕の二の腕の内側には

マーメイドのタトゥーが入っている。

 

彫ったのは、たぶん25歳くらいの時なので

今から20年ほど前になる。

 

当時はわりかし、タトゥーが市民権を得始めた時だった。

そのきっかけは、個人的にはCharaだったと思う。

 

チャラの主演する「スワロウテイルバタフライ」という映画で

主人公のグリコの胸元には、アゲハチョウのタトゥーが入っており

映画がオシャレなのも相まって、そのタトゥーはやくざ者がする「入れ墨」ではなく

海外から輸入されてきた「タトゥー」の印象そのものだった。

 

しかも、ロケンローラーやバイク乗りが、ドクロや炎のタトゥーを入れるのともわけが違ってて

ちょっとオシャレな女の子が、ちょっと胸の開いた服を着ると、ちょっと見え隠れする羽ばたきそうな蝶々

というのが、これまた当時の20代女子のハートをつかんだと思われる。

もっとメジャーなところでは、安室奈美恵がタトゥーを堂々と入れていたのも印象的だった。

(とはいえ、ハートをつかまれたのは一部マイノリティだけだと思うが)

 

そして、チャラの蝶々はフェイクではあったが

彼女は肩とうなじに、青い鳥とスミレのタトゥーを、それぞれ本当に入れており

当時わりとチャラのファッションや雰囲気にハマっていたわしは

「憧れの人が持ってるブランドバッグを自分も買いたい」

くらいのハードルで、タトゥーに心が傾き始めた。

 

そもそも、ピアスにはまったく興味がなくて

タトゥー一点買いだった。

「つけないでいると、穴がふさがってしまうピアス」には、一切心ときめかず

「一度彫ると一生消えないタトゥー」という在り方に、とても惹かれていた。

(ヅラやエクステには興味ないけど、増毛ならやりたいという感じです。違うか)

 

そうこうしてるうちに、一緒に組んでたバンドのメンバーがタトゥーを入れた。

最初は黒い熊を肩に入れていたが、彼はその後ドはまりして、鎖骨のあたり一面にクモの巣を彫ったり、両腕にドクロを彫ったりで

決して堅気の仕事には就けないルックスに変貌していった。

彼が働いてるライブハウスのオーナーも、肩にギターのタトゥーを入れた。

 

とてもいかつい人々を想像するかもしれないが

バンドメンバーはぱっと見女の子に見えるかもしれないくらいの、線の細いジェンダーレスな感じだったし

ライブハウスのオーナーは、両眉がちょっと下がっててくりっとした目の、お笑いのボケ役にいそうなひょうきんなルックスだったので

どちらかというと、タトゥーを入れたところで「むっちゃそれっぽい人」にはなりきってなかった。

 

そんな2人が、タトゥーに興味津々なわしに言う。

「桃ちゃんも入れなよ!」と。

 

信頼してる2人がおススメするし、自分も興味あるしで

「反社会的」とか「人様の目が」とか言う単語が辞書にないわしは

さして躊躇もせず、お店を紹介してもらった。

 

バンドメンバーを伴って、お店に行くと

割とそれっぽい、全身タトゥーの人が出てきた。

そしてデザインの相談をした。

 

わしは「タトゥーを入れてみたい」というだけで

候補のモチーフはまったくなかった。

 

そして、人に見せびらかす目的ではなく

自分でちゃんと見てニヤニヤしたかったので

二の腕の内側に入れる、ということだけは決めていた。

 

普通は「大好きなモチーフがあって、それをどこに入れるか」

という順番で決めそうな気もするのだが

わしの入れたい理由は羽毛のように軽く、そしてナンパなものだったからしょうがない。

 

なので「ちょろっと、英語の文字が入ってるくらいでいいんだけど。5センチ四方くらいで、気を付けしたら隠れるくらいのサイズで」

と言ってみたら

 

「文字はダサい!やめといたほうがいい!」

と、彫り師に一喝されたw

 

「でもモチーフ案特にないんすよ。ドクロとか炎とか薔薇とか、ベタなのは嫌なんで・・・。でもしいて言うならドラムやってるから、音符とか入ってたらいいのかな?」

 

みたいな、「やりたい髪型決まってないけど、文句だけは言う美容院の客」状態になってきた。

 

すると、「音符」というキーワードで、彫り師に火が付いたのか

なんか知らんけど、「音符の階段を上っているペンギン」というデザインを、やたらと語られ、それを背中前面にバーッと!!みたいな話になってきて

付き添ってくれたバンドメンバーも「うんうんそれいい!」と目を輝かせているww いやヤメロww

入れたい場所だけは二の腕から譲られへんねんww

大体ペンギンなんか全然好きちゃうしwww

 

会話するうちに分かってきたのだが

彫り師とは、こちらの言う通りのデザインをそのまま彫ってくれる人ではなく

この人の場合はアーティスト色が強くて

こちらの提示したモチーフから、インスピレーションを働かせてデザインするものらしい。

 

なので「モチーフくらいはわしが決めてやらんとなぁ。でも文字がダメとなるとなんだろう、楽器とか嫌だし」と考えて

最終的に「魚座だから人魚にします」と、かなり適当な感じで決まった。

「丑年だから牛にします」でも良かったかもしれない、くらいの。

 

取りあえずそんな感じでその場は終わり

次回は彫り師が下書きしたものを腕に貼り付けて、線だけを彫り

そのまた次回に、色を入れて終了という

まさかの3回連続講座になった。

 

長くなったので続く。