バイポーラー入力OP-AMPも使える。1段でのヘッドホンアンプ回路を考える。
バイポーラーOP-AMPは入力インピーダンスがFET入力のように高くなく低いのだけど。その値はモノによっては結構低く、30KΩ(5532系のmin値)とかです。
これが入力レベルや周波数に対して、一定じゃないかも知れないですね。まあ、制御回路だからそれほど神経質ではない部分もあるとは思いますが。。
よって、入力のインピーダンスを下げます
まず、使うVRをAカーブで10KΩにしたいと思います。
(2連でAカーブなモノは5KΩとか1KΩの存在も確認しましたが、RK27シリーズには存在しませんでしたので、一般化のためにもそう設定しました。)
これによって、入力のデカップリングコンデンサーも容量を上げます。オーディオ用バイポーラーコンデンサーの100μFと積セラ10μFを併設します。
(一応、考えるに、高周波特性は、聞こえなくて妙なトラブルを起こさないためにも、ドロップした方が良いかとも思うのですが…、)
あと、ゲインは6.6倍程度。ゲイン設定用の帰還抵抗の大きさにも注意ですね。
そのゲインのため、2Vppを入れると、ボリュームをかなり絞ってギャングエラーが気になりますので、ボリュームと同じ値である10KΩを入力に付けます。
OP-AMP出力と帰還の間に挟む抵抗は15Ω
使うOP-AMPは、最高峰と言われるOPA1622x2や、低価格でとても評判の良いNE5534x2です。
特にNE5534は2回路入りの5532じゃなくて1回路を使うことにより、高い電流出力時でも、なるべくドロップやセパレーションの悪化をさせないようにします。
電源は、12V以上の中点分圧をGNDで扱う感じですが、ちょっと高めが良いかもしれませんね。なので、設計上のコンデンサーの耐圧も高めに取っておきます。
中点電圧は、3.3KΩ×2で出します。
原案とちょっと変えました。
今回は、入力インピーダンスを更に下げたいため、VRを5KΩ(A)で行うコトにしました。これによって、入力の抵抗も5~10KΩに。
RK27を使うときは、ギャングエラーが少ないため、10KΩ単体で、入力に抵抗を付けなくてもイケるかもしれないが意味は特にないので変わらず10KΩ。。
デカップリングコンデンサーは100μFと積セラ10μFのままで十分。
電源の2200μFは長寿妙な1500μFのZLHシリーズに。中点電圧用抵抗は、5.1KΩ×2で出すことにしました。
要は、OP-AMPの内部インピーダンス30KΩに対して、可変抵抗の分圧する抵抗値がなるべく小さい方が良いと言うこと。あとは、ライン入力からヘッドフォンへ扱いやすいゲインにする意味もある。
また、廉価なボリュームは、9時方向よりも上で使った方が良いらしいです。
--------------------
聴いた感じのサウンドの印象
(ヘッドホンは:主にMDR-M1ST)
NE5534P×2+2回路化基板。
2回路入りのNE5532Pより、マッシブでクリアな音がする気がする。
OPA1622×2モジュール
スッキリして綺麗な音がする。特に、女声音源やその残響が。
今までは、電源を切るとき、ピュっと一瞬発振するのが精神衛生上気に入らなかったが、この回路ではそれも無い。
ただ、聞きやすさというとNE5534の方が良い。OPA1622は、頭痛の起こることで知られてるOPA2134のように長時間の試聴に向かないかも知れない。
OPA1622はボリュームを9時の位置でもうるさい感じだが、NE5534では10時くらいまで上げてもまだイケる感じ。
正直、不思議だけれど、違う。
NE5534Pと同系列の、NJM5534Dを試してみる。
似た音だけど、ちょっとだけ、高音が目立つようになった感じで、更に良いかも。
まあ、ちょっとだけ回路も違いますからね。
ただ、5534系列は、プレゼンス帯域が若干弱く聞こえるようで、ちょっと物足りない気も。
そこで、これも名作の部類に入る、NJM4580DDにしたら、かなり良い。
5534系列はやはり、電流がギリギリなのかな??
ということで、NJM4580DDで落ち着いてるとこです。
しかし、ここまで音が違うのか…、という気分です。
あとは、長期使用でどう出るかですね。
ところで、秋月の1回路OP-AMPの2回路変換基板キットなのだが、半田付けが入り組んでて内側のハンダが付けにくい。
昔は、コテを垂直にしてやっていたがやりづらい。
白光の「T18-BR02」が扱いやすい。先が曲がっていて、細かいとこに向いてるのだが、熱結合が良い当て方を容易に出来るのも良い点。
今は、ボリュームが10KΩ(A)などだが、明日、5KΩ(A)が届くので、交換する予定。
最近のDACは2Vpp出力で、これにつなげること考慮すると、5KΩVRと10KΩ入力が一番相性が良い。
そうそう、GNDのケースへの一点アースは、ボリュームのシャフト部分で行っております。コレがないと、ACアダプタ使用ではハム音がバリバリ出ます。
次は、電源電圧による音の変化
16V辺りから大きく変化してきた。上げるほど音の解像度がしゃっきりとして、迫力が増す。
音が変わる原因の要素だが、
OP-AMPの出力は、OP-AMP内部のトランジスターが抵抗になって電圧をコントロールしながら波形を形成している。
電源が低いと、トランジスターの抵抗値が低くなる。逆に電源電圧が高いとトランジスターの抵抗値は高くなり、制御にも余裕が出来る。
それ以外OP-AMP内部の様々な部分でバランスが変わる。
つまり、OP-AMPの性格がある程度変わる。
一般にOP-AMPが壊れない範囲内で、なるべく高い電圧が良いとされている。
でも、ここまで変わるとは驚きでもある。
で、NJM4580DDで24V(±12V)まで上げると、迫力が出過ぎるのか、ちょっと耳が疲れる気もした。適度な電圧を探るとイイかも。
変わって、NE5534Pは24Vだと丁度良いくらいになる。
OP-AMPを選ぶときは、駆動電圧も考慮に入れた方が良いかも知れない。
OPA1622も何故か改善したが、あまり大きな音で聞けない。まあ、音質の良いサウンドは大きな音で聴かなくても満足できると言われてるので、そういうコトかも知れない。
ただ、空気のように自然に感じるように聞けたらそれが良いのでは無いかとも思う。
MUSES8920Dの16V駆動(±8V)と、OPA1622、NE5534P、NJM5532D、NJM4580DDの24V駆動(±12V)を、セレクターで瞬時に切り替えることでしつこく比べてみた。
ハッキリ言って、殆ど区別が付かない。ただ、NE5534Pは石が少し暖かくなった。
で、何を選ぶのが良いのかよくわからない状態。
高級志向ならOPA1622でしょうね。5532系はイロイロと名作みたいですし、NJM4580DDは25円と安いけど評判はとても良い。
長いこと聞いて疲れなければ、それがいい気も。。。
今のボリューム10KΩ+入力に10KΩで、GNDとの分圧抵抗を測って見ると、
11時半のかなりうるさい音にしても、750Ω程度。ヘッドホンの効率が相当悪いのを選んでも、2KΩは行かないと思う。
これと、低めに見積もったOP-AMPの内部インピーダンス30KΩと比べると、現時点、圧倒的に小さい抵抗値なので、問題無くバイポーラー用途として使える。
でも、まあ、5KΩのVRを注文してしまったので、5KΩVR+入力10KΩにしようかなー、と思う。
前から書いているように、OP-AMPによって音があまり変わるのは、回路側に問題を抱えている。と認識しているので。
配慮点は、
・入力のVRなどのZを低くバランスさせる <バイポーラーに対応させる。
・OP-AMP出力と帰還抵抗の間に抵抗を設け、バターワースフィルターを形成する。 <容量性負荷に対し、安定性。
・出力にゾーベルフィルターを設置する。 <インダクタンス負荷に対し、安定性。
・増幅の倍率を5倍以上に設定し、その設定抵抗を低めにする。 <動作安定。バイポーラーのためもあるが、オフセットやノイズにも効く。
・電源電圧を24V(±12V)と高めに設定する。 <OP-AMP内部の半導体の動作のバランスを良くするため。
・信号を通るコンデンサーはオーディオ用で、積セラも併設する。
等である。
5KΩのVRが届いて、こんな感じになった。入力の抵抗は5.6KΩにした。
で、問題
据え置きDACの2Vppの信号を感度の高いヘッドホンで受けるのと、
Walkmanの低いライン出力で感度の悪いヘッドホンを使うのとでとても大きな差が出ることが判った。
5KΩと10KΩの間の8.6KΩ位が良い感じもするけど、持ち合わせてないので5.6KΩとした。
それにしても、2つで120円の石に310円のゲタは何だかなー、、という感じもありますね。
ですが、電源電圧や回路に気を配ったので、石を変えても殆ど区別が付かないので、コレでも良しと思います。
オーディオ系まとめ記事↓(超長文)