英米法の Contract と Agreement ① | 言葉の海を漂う

言葉の海を漂う

フリーランス在宅翻訳業12年目の主婦。翻訳や生活のこと。

契約はcontractっていうけど、契約書のタイトルはいつもAgreementなのはなぜ?と疑問に思ったことはありますか?


英米法におけるcontractagreementの違いを説明します。



正式な契約を意味するcontract agreement のうち一定の要件をそなえたものをいいます。



contract の要件は以下のとおり。


1. 合意が存在すること。


2. 法律関係を設定する意思が当事者に存在すること


3. 捺印契約が選択されていること(この方式では約因が不要)、または通常の契約の場合には約因(consideration)が存在すること


4. 当事者が契約能力を有していること


5. 合意の内容が違法ではなく(legal)、公序良俗(public policy)にも反していないこと


6. 瑕疵ある意思表示の原因となるmistake(錯誤)やfraud(詐欺)がないこと。




3についてもう少し詳しく説明します。

約因がない場合でも有効なものに sealed contract(捺印契約)、deed (捺印証書)などがあります。通常の契約はinformal contractとも呼ばれますが、これは「正式ではない契約」という意味ではなく「不要式契約(契約の成立に一定の形式を要求しない契約)」、「捺印証書によらない契約」という意味です。



「約因」は、一方当事者から他方当事者に提供される「対価」といえます。金銭や物品、何らかの行為、また、何かをしないという約束(なんらかの請求をしないという不作為の約束など)でもかまいません。