昨日の「約因」の話の続きから入りましょう。
昨日の記事(英米法のContract とAgreement①)では、contractの要件3に「捺印契約が選択されていること、…または通常の契約には約因が存在すること」と書きましたが、逆に言うと、英米法下では、捺印証書でない限り、対価関係(=約因の存在)のない契約は無効ということになります。
なお、契約者双方が対価的に義務を負う契約を「双務契約」(bilateral contract⇔ unilateral contract)といいます。
契約書では、約因の存在を明確にするため、しばしば以下の文言が記載されます。
Now, therefore, in consideration of mutual agreement contained herein, the parties hereto agree as follows:~
(和訳)そこで、本契約書に記載される相互の合意を約因として、両当事者は以下の通り合意する。
ちなみに、日本法の典型契約に含まれる「贈与(片務契約)」はcontractとしては認められませんが、deedを選択すれば有効な契約になります。