
前回からの続き
彼女の残していった古びたボードを少しづつ使える状態に戻す作業が始まった。
まずはワックスをとってきれいにする。
通常なら少しあたたかい日を選んで日光を当てながらワックスコムではがせば30分かからず綺麗になる。
しかし16年かけて固まったワックスは簡単にはいかなかった。
まるで石のように固まったワックスはぬるま湯をかけてもびくともせず、プラスチックスクレーパーの刃の鋭さを奪っていく。
結局ファンボード全体に塗られたワックスをはがすのに2時間以上かかってしまった。
そこからリペアにとりかかったが3か所の傷しかなかったので、さほど苦労せず3日間で一通りの作業を終えることができた。
ボードの凹みやフットプリントをみるとその人のサーフィンライフが目の前に浮かび上がる。
思ったよりもきちんとやっていたようで凹みの状態をみたところレベルは高くはないまでも何年かの間それなりの数をこなしていたようだ。
すべての汚れを落としピカピカの状態でサーフボードを保管して彼女が来るのを待った。
今から4か月弱の間に彼女がお店に現れなければこのボードは誰かの手に渡ることになる・・・。
それから3か月弱たっただろうか?
3月にしては珍しいほど暖かく風もない晴天のある日、彼女はやってきた・・・・。
「あたたかくなってきたので、来ました。
とりあえず...あと2回サーフィンしてみてどうするか考えようと思います。」
彼女の佇まいやその真剣な話し方を見れば、今までにかなり悩んだ末の来店だということがわかる。
”とりあえず修理代を払わしてください”
4400円の修理代をもらうと正式に彼女は自分のボードを取り戻した。
生まれ変わったボードを手に取った彼女は軽く微笑んで会釈をした。
こんなことがありながら先週のある日、彼女と彼女のサーフボードは16年ぶりに湘南の海に向かうことになりました。
また次回に続く