「クラブミュージック名盤400」☆クラブミュージックの極私的変遷を思い返すね♪ | 書物と音盤 批評耽奇漫録

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GROOVE Presents クラブ・ミュージック名盤400 CLUB MUSIC 1980.../小川 充

「クラブミュージック名盤400」☆

 そういえばこの手の音楽が隆盛し出してもう20年以上も経ってるんですよね。
 この本はそれを確立期、発展期、融合期、円熟期の4つの時代に分けて紹介している、まあガイドブックとしても読める本ですね。
 私自身も振り返ってみればクラブミュージックと共にあった20数年と言えなくもないところがありますね☆

 

 確立期の1988年から1993年の時期には

 私の好きだったミスターフィンガーズやブランニューへヴィーズ、ガリアーノ、インコグニート、ダイアナ・ブラウン&バリーKシャープ、コーデュロイやマザー・アース、出世頭と言えるジャミロクワイなんかが取り上げられてますね。

ブラン・ニュー・へヴィーズ/ブラン・ニュー・ヘビーズ
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この時期は私にはACIDJAZZ期と言える時期で、やはりジャイルズ・ピーターソン時代、またはよく買ってたポール・ブラッドショウの雑誌「ストレート・ノーチェイサー」時代と言えるでしょう☆

 

 日本もモンドグロッソやオリジナルラブ、竹村延和にキョートジャズマッシブ、UFOなどレベルの高い存在が出ましたね。


Born Free/MONDO GROSSO
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 ここには出てきませんがチャプター&バースや、ロニー・ジョーダンの存在も大きかったですね。(ライブによく行きました♪)

 

ブランニューヘヴィーズのライブがすごく短くてブーイングが起こったり、前にも書いたけどUFOのイベントでメンバーのラファエロと何度もトイレで会い、連れションしたのもこの頃。苦笑

 クラブクワトロのイベントでプロデューサーとして来日したミック・タルボットに逆に握手を求められ話しかけられたのもこの頃ですね☆

 


 続く発展期である1994年から1998年は、
日本ではバブル崩壊やオウムの事件や阪神大震災が起こったりと実に変革期的な頃ですが、それと当時よく聞いたDJクラッシュやマッシブアタック、TRICKYやNASやポーティスヘッド、DJシャドウやアダムF、アモン・トビンやマニー・マークなどのアブストラクトヒップホップやトリップホップの音の絶望感と閉塞感が妙に合ってしまい、事件の報道の映像のBGMにピタッときてしまったのを覚えてますね☆

 

 この時期は日本ではROUTINE、暴力温泉芸者、サイレントポエッツが特に好きでしたが、当時あった狭いハコのクラブで至近距離でDJクラッシュさんのプレイを見たり、そのイベントを主宰してたのが名古屋在住だった今や世界的イラストレーター&デザイナーとなった、まだ知る人ぞ知るって頃の若野桂さんで、自分でフライヤーに渾身のイラスト書いてたのには感動しましたね♪


迷走/DJ KRUSH
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 ここには出てこないブランド・ニュービアン、サイプレスヒル、IMPROMP2、ザ・フェデレイションなんかも好きでしたね。

 

 融合期とされる1999年から2003年は、私にはドラムンベース期と言える時期ですかね。

 

 やっぱりLTJブケムPRESENTSの「ロジカルプログレッション」がもっともインパクトありましたね。

 その他TheMightyBop、4HERO、FATJON辺りが好きでしたけど、日本版デジロック、ブンブンサテライツにハマったのもこの頃ですね☆

ロジカル・プログレッション レヴェル1/LTJブケム
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 ただこの時期は一概にクロスオーヴァー時代と呼ばれますけど、私にはやっぱり70年代後半のクロスオーヴァームーブメントを過去のものとしていいのか・・・みたいな疑問もあって、どっちかと言うとこの頃は特に70年代後期のクロスオーヴァーやスピリチュアルジャズの方を改めて聞き直していましたね。

 キリンジや冨田ラボやサミュエル・パーディーがそっちの方(特にスティーリー・ダンリスペクト)をやっていたのにも共感してましたしね。


ミュージカリー・アドリフト/サミュエル・パーディー
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 円熟期と呼ばれる2004年から2009年までは
やはりサンプリング系がマンネリしてきて生演奏JAZZの時代に入ったと分類されてますが、やはりその意味ではSOIL&”PIMP”SESSIONSとその派生バンドJ・A・Mの存在が大きいですね☆


PIMP OF THE YEAR/SOIL&“PIMP”SESSIONS
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 それと70年代メロウグルーブ的な繊細なセンスを追求したJAZZYHIPHOP系により興味が行きましたね。

 この本ではアシッドジャズの生き残りのようなベン・ウエストビーチや、ホーカスポーカスぐらいで、ここ数年のメロウセンスなJAZZY系への言及は少ないですが、私はここへきて「1978年の世代」的なものがクラブサウンドの先端に来てる感じもしていますね☆
 

 そこにメジャーな存在ながら中田ヤスタカとパフュームが絡んでいってほしいんですけどね♪
 
 それとかっての「スイングジャーナル」系で評価されていたエリック・アレクサンダーやハイファイブなんかとSOIL系のクラブジャズは傾向としてそう違わないようにも思います。

 

 少なくとも私は同じように聞いてますしね☆

 

 この本は当然ながら、物理的問題からして全てのここ20年のクラブミュージックの名盤を網羅はできてませんけど、混沌としたムーブメントのひとつの流れは真摯に捉えている本だと思いますね♪