ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 -4ページ目

荷物をまとめ、ミサト宅の玄関から出ていくシンジ。



ミサト 判ってると思うけど…ネルフの登録を抹消されても監視は続くし、行動にはかなりの制限がつくから。
    それとこれ…忘れ物。…鈴原君と相原君から何度も留守番電話が入ってる。心配してるのよ。

シンジ 別に…要りません。置いていったものですから

ミサト レイやアスカのことも聞かないのね…。本当はね、私だって人類や世界のことだってどうだっていいのかもしれない。
    結果として、今こんな立場になってるけど。最初は死んだ父に少しでも近づきたくて、ネルフに志願しただけなの。
    あなたが碇指令に必要とされたくてエヴァに乗ったのと同じように。だから、私はあなたに自分の思いを重ねてしまった。
    それをあなたが重荷に感じていたのも知ってる。今、あなたがエヴァに乗る目的に失望してしまったことも知ってる。けど、それでも私はあなたに…

ミサト あの日、レイは碇指令も呼んでいたの。シンジ君にお父さんと仲よくなってほしかったの。一緒に笑ってほしかったのよ

シンジ 僕はもう、誰とも笑えません

ゴミ箱に捨てられているSDATを発見し、引きずり出すレイ。



マヤ レイ、シンジ君のこと、止めませんでしたね

日向 最近、変わったから期待していたんだけどな…。あの子達の距離、どうも測りかねるところがあるよな

青葉 しかし、これでまたパイロットが一人か

マヤ 振り出しに戻る…ですね

司令執務室



ゲンドウ エヴァの占有、本部設備の破壊、稚拙な恫喝。これらは全て犯罪行為だ。何か言いたいことはあるか

シンジ はい。僕はもうエヴァに乗りたくありません

ゲンドウ そうか。では出ていけ

ゲンドウ また、逃げ出すのか

ゲンドウ 自分の願望とは、あらゆる犠牲を払い、自分の力で叶えるものだ。人から与えられるものではない。シンジ、大人になれ


ゲンドウ 私だ。第三の少年は抹消。初号機はダミーをベースに、バックアップは不要だ

ネルフ、営倉



黒服 出たまえ、碇シンジ君。司令がお会いになる。

知らない天井。ネルフ医療施設。



シンジ (ハッ)…またここだ。もうイヤだ…!

夕方の列車内。対面式の座席。シンジの心象風景。



シンジとレイが向かい合って座っている。

レイ 碇君、いつもそれ…聞いてるのね

シンジ ああ、耳を塞げば心も塞がるんだ。イヤな世界を見なくて済むからね。これは昔父さんが使っていたものだったんだ

小シンジ 綾波のメガネと同じだよ

シンジ 要らなくなって置いていったんだ

小シンジ 僕と同じだよ

シンジ 先生ところにあったから、僕がもらったんだ。これをつけていると、父さんが助けてくれるような気がしたんだ。イヤな世界と切り離してくれると思ったんだ。僕の勝手な思い込みで。でももう捨てるんだ

レイ イヤな世界?

シンジ そうさ。怖いエヴァや使徒がいる世界。父さんがいる世界。イヤなことをさせられる世界。
    父さんはダミーがあれば僕がいらない世界。僕も友達も嫌な思いをする世界。でも、いいこともあったんだ。でも結局は壊れてしまう。イヤな世界さ

レイ 碇君はお父さんのこと、わかろうとしたの?

シンジ 判ろうとした

レイ 何もしなかったんじゃないの?

シンジ 判ろうとしたんだよ。悪いのは父さんだ。僕を捨てた父さんだ

小シンジ またそうやって、イヤなことから逃げ出すんだ

シンジ いいじゃないか!悪いのは父さんだ。イヤなことから逃げ出して、何が悪いんだよ!

ネルフ本部。



リツコ 細胞レベルでの侵食跡は消えたけど…精神汚染の可能性は否定できないわ…このまま隔離するしかないわね…

マヤ まさか、処置ってことはないですよね?

リツコ 貴重なサンプル体よ、ありえないわ

ジオフロント、ネルフ本部。

ピラミッド状の建物の頭頂部に位置する初号機。

マヤ 初号機の連動回路、カットされました

青葉 まさに篭城だな

冬月 射出信号は?

マヤ プラグ側から固定されています。受信しません

シンジ 信じた僕がバカだったんだ…父さん…何か言えよ、何とか言えよ!

日向 シンジ君、しかし、ああしなければ君がやられていたぞ

シンジ そんなの関係ないよ

日向 だが、それが事実だ

シンジ そんなこと言って、これ以上僕を怒らせないでよ。初号機に残されているあと185秒。これだけあれば、本部の半分は壊せるよ

青葉 今の彼ならやりかねませんね

マヤ シンジ君、話を聞いて。碇司令の判断がなければみんな死んでいたかも知れないのよ!

シンジ そんなの関係ないって言ってるでしょ!父さんは…あいつは…アスカを殺そうとしたんだ!この僕の手で!

シンジ 信じた僕がバカだったんだ…父さん…何か言えよ、何とか言えよ!父さんは何も判ってない。父さんも大切な人を失えばいいんだ!そうすればきっとわかるよ!

ゲンドウ LCL圧縮濃度を限界まで上げろ。子供の駄々に付き合ってるヒマはない

シンジ まだ直轄回路が残って…ぐはっ……

シンジ (ちくしょう…ちくしょ…ちくしょう)

松代基地、爆発現場跡。



男 こっちにも生存者がいたぞ

加持 葛城…良かったな

ミサト 加持…くん…リツコは?

加持 心配ない。君より軽傷だ

ミサト そう…アスカは…エヴァ3号機は?

加持 使徒……として処理されたそうだ。初号機に

待機中の初号機。


シンジ ミサトさんは?

青葉 救助は続いている。安心していい

シンジ でも…今はミサトさんも、他のエヴァもなしで、僕1機で、どうしようもないですよ

日向 命令系統に問題はない。今は碇司令が直接指揮をとってるよ

シンジ 父さんが?


青葉 野辺山で映像捉えました。主モニターに回します

日向 パターン確認しました。…青です……

冬月 やはりこれか…

ゲンドウ 活動停止信号を発信、エントリープラグを強制射出

マヤ だめです、停止信号及びプラグ排出コード、認識しません

ゲンドウ エヴァンゲリオン3号機は現時刻を持って破棄。監視対象物を第9使徒と識別する


オペ 目標接近

シンジ 使徒…これが使徒ですか?

ゲンドウ そうだ。目標だ。お前が倒せ

シンジ 倒せって…これはエヴァじゃないか

シンジ 目標って言ったって…アスカが乗ってるんじゃないの?


シンジ エントリープラグ……やっぱり乗ってるんだ

マヤ 頚椎辺りに侵食発生。すでにすでに6万2千層までの侵食を確認

冬月 やはり侵食タイプか。厄介だな

シンジ くっ……

マヤ 危険です!神経回路が次々と断線していきます!

冬月 いかん、シンクロ率を28%までカットだ

ゲンドウ 待て

冬月 しかし、碇。このままだとパイロットが死ぬぞ

ゲンドウ シンジ、なぜ戦わない

シンジ だって、アスカが…アスカが乗ってるんだよ、父さん

ゲンドウ かまわん。そいつは使徒だ。我々の敵だ

シンジ でも…でも…出来ないよ、人殺しなんかできないよ!

ゲンドウ お前が死ぬぞ

シンジ いいよ…アスカを殺すよりはいい!

ゲンドウ かまわん。パイロットのシンクロをカットだ

マヤ カット…ですか?

ゲンドウ そうだ。シンクロを全面カット、回路をダミーシステムに切り替えろ

マヤ しかし…ダミーシステムにはまだ問題も多く、赤木博士の指示もなく…

ゲンドウ 今のパイロットよりは役に立つ。やれ

マヤ ……はい

シンジ はあっ………何をしたんだ、父さん

マヤ 管制システム、切り替え完了

オペ 全神経、ダミーシステムへ直結完了。しかしダミーシステムでの稼働時間208秒です

ゲンドウ かまわん。システム開放、攻撃開始


シンジ …なんだよ、父さん、何やってんだよ!!!

シンジ 止まれ、止まれ、止まれ、止まれ…

シンジ 何だ…何の音だ…やめろ、やめろ…やめろォォォォォォォォオオオオオ

使徒(声はアスカ) ギャアアアアア