TUGUMI吉本ばなな「TUGUMI」
作者:吉本ばなな(よしもと・ばなな)
価格:1260円(税込)
出版社:中央公論社
評価:★★★★☆

粗筋:私・まりあの従姉妹であるつぐみは、とても綺麗だけれど、幼い頃から病弱なのに横暴で口が悪くて、
すぐに悪戯をする。そんなつぐみと、私と、つぐみの優しい姉・陽子ちゃんと、そして恭一が、海の近い故郷で送る、きらきらとしたひと夏の思い出を綴ったストーリー。

感想:本当に我侭で付き合いきれないつぐみだけれど、でも内に秘めたパワーがすごくって、思わず影響されて、つぐみ自身が病弱ですぐに倒れてしまうという事が、いっそうつぐみの中のパワーを示してるように思う。どんなに性格が悪くても、つぐみが凄く魅力的な人物に感じるの凄いなあ。実際会ってみたいとは、あんまり思わないけど笑 一つ一つの描写がイキイキしてて、本当にまりあにとって(多分他の登場人物にとってもだけど)忘れられない夏だったんだなって思いました。でも、もうちょっと読んでいたかったという、よく分からない不満を込めて、星を四つ。

ぜんぜんこの本の感想とは関係ないんだけど、実はこの本一回買って読んでいたら、読んでいる途中にどこかにおいてきたみたいでなくなってしまって、それで今日図書館で見つけて一揆読みしたという次第です。
本当は、アキハバラ@DEEPよりも、ずっと前に読み終わってるはずだったんだけどなあ。
 
アキハバラ@DEEP 石田衣良「アキハバラ@DEEP」

著者:石田衣良(いしだ・いら)
価格:1700円(税込)
出版社:文藝春秋
評価:★★★★★

粗筋:秋葉原で、それぞれ病気やコンプレクスを抱えた6人が、「YUIのライフガード」という悩み相談HPをきっかけに出逢い、会社を設立。彼らは持ち前の才能を生かして、人工知能を盛り込んだ成長する検索エンジン・クルークを開発した。しかし、企業提携を断った事から目を付けられ、超大手会社・デジキャピにクルークを丸ごと奪われてしまう……。

感想:もしかしてこの作家は三人称の方がいいのかも、と、思った。池袋ウエストゲートパークの時は、センテンスではなくて、短い単語だけで連ねられていて、そこがいかにも喋っているような、そして若い人が書いているんだ、という事をすごく印象付けたと思う。それもそれでよかったけど、今回の三人称で少しだけ文章に厚みが増してるような気がした。という訳ですごく読みやすかった。一人ひとりのキャラがすごく良かったのもあると思う。一気にがーっと読めた。何の障害があるにしろ、目標を持っている人は格好いいし、そして自分も楽しくなった本だった。

むかしのはなし三浦しをん「むかしのはなし」
著者:三浦しをん(みうら・しおん)
価格:1575円(税込)
出版社:幻冬舎
評価:★★★★☆

粗筋:昔話を三浦しをん風にアレンジして現代版に仕立て上げた短編集。男性はほとんど早死にしてしまう家に生まれた長男の危機。仕事中に偶然友人と居合わせてしまった空き巣。叔父に恋をしてしまった少女。海辺に住む少年。地球が終わるまで走り続けたいタクシードライバー。花を作り続ける猿。誰もが恐れる“モモちゃん”と、その彼女、友人、そして僕。全7編収録。

感想:全部読んでしまってから、もう一度タイトルすぐのところに書いてある、元もとの昔話の粗筋を読むととてもおもしろい。作品がキラッとしている感じ。ちょっとづつ、作品同士が絡まっている感じがするのだけど、深読みのし過ぎかも。伊坂幸太郎の本に、「終末のフール」という本があるのですが、それと少しだけ似ている気がする。まあ、シチュエーションが、ですが。矢張り、最後の「懐かしき川べりの町の物語せよ」がいい。「ラブレス」も案外好きです。少し固く、少し読みやすく、バランスの取れた文章だと思う。