その方は…

いじめを苦に自殺した娘さんを持つ
お母さんでした。

毎年同じ季節というのは
亡くなった娘さんの命日
近付いてきた頃だったのです。

初めてNさんを担当した私は、
どのような言葉をNさんに掛けられるのか
ずっと考えていました。

しかし、入院されてきた姿を見て
言葉なんて出て来ませんでした。
全身痩せ細っており、体には無数の自殺未遂の痛々しい痕が残っていました。

食事も水分も摂らない痩せ細ったその腕に、
点滴の指示が出ます。

しかし、細いその腕には血管も浮かび上がりません。

上手く言葉が出てこない私は、
その日、医師の指示通りに動くことしか
出来ませんでした。