来日中のパリオペラ座バレエ団「ジゼル」公演を東京文化会館に見に行ってきました。
子供の頃にクラシックバレエをちょこっと習っていたのですが、鑑賞にはまるきっかけになったのが2003年のパリオペラ座の来日公演。 それ以来、バレエの舞台は50回は見てると思います。
パリオペラ座については、シャガールの天井画のかかった本拠地、パリのガルニエ宮(ミュージカル「オペラ座の怪人」の舞台になったところ)にも見に行きました。
数あるバレエの演目のなかでも、私が一番好きなのは「ジゼル」です。1841年パリオペラ座が初演の、古いバレエの演目。ロマンチック主義全盛の時代だけあって、ヨーロッパに伝わる古い伝説をもとに作られています。
話自体は、貴族の男性アルブレヒトが、身分を偽って、村娘のジゼルと付き合っているのですが、これまたジゼルを狙っている村人のヒラリオンという男性に、身分を暴かれ、貴族の婚約者がいることがバレてしまい、ショックでジゼルが発狂して死ぬというのが一幕。
ニ幕は、亡くなったジゼルが、結婚を控えて死んでしまった女性の精霊・ウィリーに仲間入りします。ここではウィリーが夜中に迷い込んできた人間をを死ぬまで踊らせます。ジゼルを失った悲しみと悔恨にくれるアルブレヒトが彼女の墓を訪れ、亡霊となったジゼルと再会するのですが、ウィリーに捕らえられ、踊らされます。
ジゼルは、何とか彼をかばおうと命乞いをするのですが、許されません。そして、アルブレヒトが最後の力を振り絞り踊るとき、朝の鐘が鳴り、ウィリーたちは墓に戻っていきます。ジゼルはアルブレヒトに別れを告げて消えていきます。非常に男性に都合のいい話だなあと、思うのですが、これも時代背景なんでしょうね。が、バレエダンサーにとっては、ドラマチックな筋書きで、高い演技力を要求される作品です。
今まで、何度も見ているのですが、今回は最高の公演でした。
アルブレヒト役は、 スペイン人エトワール(最高位ダンサーのこと)のジョゼ・マルティネス。ジゼル役は、エトワールアニエス・ルテスチュ。元夫婦です。オペラ座は団内恋愛や結婚が多いんですねーー。この2人は、もう定年の42歳に近いので、次の来日公演には来ないかもしれないので選びましたが大当たり。
二人とも役作りが完璧でした。2列目で見ていたので、相当舞台と近かったのですが、細かい仕草まで気を配っているのがよく分かりました。
このアルブレヒトは、ダンサーによって、「素朴なジゼルは単なる遊びだったので結婚するつもりはない」という解釈と、「ジゼルのことは本気で好きだったんだけど、階級の問題があるので、やむなく貴族の娘と婚約している」と解釈に、分かれます。
ジョゼの解釈は前者。フランスのバレエ団らしく、随分とジゼルにスキンシップが多い、アルブレヒトです。ちょっとエロいですね。しかも、「結婚するよー」ってジゼルを騙してるし。完全に、遊び人です。
アニエスのジゼルは、「純粋無垢な村娘」なのですが、特に彼女は、「ジゼルの病弱ぶり」を強調してましたね。ジゼルは、胸を病んでいて、死んでしまった一因にも、その病弱さがあります。
もともと、クールビューティーなのですが、その硬質な顔立ちが、はかなげさ、幸薄さを絶妙に表現していました。ジゼルが狂う場面も、静かなのですが、それが余計に鬼気迫る感じでした。
また、核心の二幕は、ウィリーの女王、これまたエトワールの、マリー=アニエス・ジローがいい味出してました。
現れる場面の、小刻みのパで現れる場面は、本当にきれいでした。しかも、厳しい、まなざしを最後まで崩さず、素晴らしかったです。ただ、踊りが相当にダイナミックでしたけど、これは意図的なのかな・・・。
ジゼルが、現れて、アルブレヒトのために、許しを請う場面は、すごく胸を打つものがありました。どう考えても、自分を死においやったのは、アルブレヒトの嘘が原因なのに、よっぽどアルブレヒトが好きなんでしょうねえ・・・。
うーん、最近、そんな純粋性も失われてきている私。でも、二幕の幻想的な美しさも、あいまって、なぜかボロボロ涙が出てしまいました。周りも、皆すすり泣いてましたけどね。素晴らしいバレエ公演は、観客も、ストーリーに引き込まれてしまいます。
本当に素晴らしい公演でした。別キャストの夜の部まで見る元気がなかったのですが、夜ももう一度、見とけばよかったかな・・・。
「パリオペラ座バレエ団 日本公演ブログ」
http://www.nbs.or.jp/blog/1003_parisopera/
「ジゼル」 2幕より。 引退した「女優バレリーナ」アレッサンドラ・フェリ、
この人のジゼルも見ましたが素晴らしかったですね・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=Hw1xWvmVXZw