イスラエルへ行く予定は、
当初全くなかった。
ここ、ヨルダンへ来てから、突然決定!
突然といっても、
ここからイスラエルへ行く旅行者けっこういるし、
何より近い。
でも、とにかく情報がない!
イスラエルは・・・。
まあいろいろと・・・問題が・・ある国だし。
さすがに何も情報を持たずして入国はできない。
パスポートに入国のスタンプが押されてしまったときにゃ、
これは大変、入国できない国ができてしまう。
シリアとか、イランとかさ。
この先の旅のルートが大きく変わってしまう可能性がある。
ネットでも最新情報は得られない。
流動的な中での最新情報は、
体験してきた生身の人間から仕入れる以外に方法はない!
しかも、同条件である日本人でなければ!
そしてたどり着いた答え。
これは、日本人が沢山集う、日本人宿へ足を踏み得れるしかない・・・。
この旅であたしたちは、
”旅先で出会う日本人と一緒に時間を過ごす”
という楽しを知ったんだけど、
このときは、まだ日本人宿と呼ばれる場所を倦厭し、
日本人とコミュニケーションをとるということを苦手としてた。
だから。
泊まってるわけでもない宿へ情報収集へ行くというのは、
なかなか勇気が必要なことだった。
重い気分で、マンスールホテルの扉を開ける。
共同スペースには7、8人の日本人が、
漫画を読んだり、テレビを見たり、おしゃべりしたりしてる。
その空間に入っただけで、
いや過ぎて眩暈がした(笑)
”いや”というのは日本人が嫌なわけじゃない。
ただ、そういう輪の中に飛び込んでいく、ということが。
だってだって、なんかふつうじゃない、
強いられた感じで会話をしなきゃいけないという、
自然じゃない出会いで、
感情は一切無視して、
・・・・とかそういう感じ(笑)?
まぁ、ただ情報が聞きたいだけという、
関わろうとする動機そのものに後ろめたさもあるんだけど。
要は、人見知りなんだと思う。
ともちゃんも、こういうのは得意なタイプじゃない。
2人して、部屋の死角にこっそり隠れて、
息を潜める。
あたしは、
もうどうでもよくなって、
このまま帰ろうとさえ思ってた。
ほんとに、あたしはダメ人間(笑)
そこで、あたしには一切の期待ができないと判断したともちゃんが行った・・・。
「どなたかイスラエル行った人、います?」
ごめん、ともちゃん・・。
そう思いながら、
あたしは、後ろからこっそりと、なんとか保った笑顔でついて行く。
2人でいること。
1人が逃げても、道が続くことがある。
旅の中で、自立や、強くなることを目指してたら、
2人旅は絶対お勧めできない(笑)
完全に、頼る。
ダメダメなあたしが、
いろんな場所へ飛び出していけたのは、
2人でいたから。
ときに切れてしまいそうな何かをつなぎ、
1人じゃ気づかなかった何かに気づく。
”旅は修行じゃないから。”
2人の間でしょっちゅう交わされてた言葉のひとつ。
言い訳が長くなりましたが、
こうして、無事イスラエルの生情報を掴み、
明日にもイスラエルへと旅立つことを決めた。
そうと決まれば、
さっさと準備にとりかからねば。
入国にあたって、多少の現地通貨が必要かな・・。
となり、ホテルの銃密売人に相談。
イスラエルのことはイスラエル人に聞くのが一番。
すると、
アンマンで両替したほうがいいよ、との有力情報。
レートのいい両替商まで連れて行ってもらい、
イスラエルの通貨、シェケルを手に入れる。
数泊の滞在で、
この密売人ともすっかり仲良く言葉を交わすようになった。
銃密売人、なんていうと、
ものすごく悪そうなやつ、って感じだけど、
彼はほんとにもの優しい雰囲気漂う男。
明日、旅立つということもあって、
この日はしばらくロビーでおしゃべり。
前にも少しかいたけど、
彼はイスラエル人。
正確には・・イスラエル人ではないのかもしれないけど、
前はイスラエルに住んでて、
家族は今でもイスラエルにいる。
現在は、銃の密売という罪に問われ、
ヨルダンへ逃げてきた身。
イスラエルへ戻って逮捕されたら、
20年間刑務所に入ることになるだろう、と話してた。
そして、ここヨルダンにも1年しかいられないらしい。
ビザとかの関係かなぁ?
落ち着けない、生活。
先が見えなくて、不安だろうと思う。
家族を持つことも、できないだろうしね。
彼は、あたしたちにとって、
ほんとうにただのいい人だった。
でも、いつもどこか寂しげだった表情の理由が、
なんだか分かった気がした。
1日40本タバコを吸い、気を紛らわす毎日・・。
一見、お気楽にみえても、
人は心にいろんなこと抱えてたりするんだね・・。
うまいこと逃げ切って、
彼がいつかどこかで楽しく暮らせる日々が来る事を祈る・・。
そうして、翌日。
必要最低限の荷物だけ持ち、
残りは密売人に預ける。
「また戻ってくるね!」
と、しばしの別れを告げ、イスラエルへ。
タクシーとバスを乗り継ぎ、キングフセインブリッジまで。
ここでヨルダン出国手続きをする。
ヨルダン、しばらくさよなら。
ラマダン、がんばれよ。
パスポートを預け、待つ。
すると。
パスポートとパスポートにではなくぺらっとした紙に押された、
出国のスタンプが渡された。
イスラエルの入国は、すでに始まっていると感じた。
そして、その別紙はタクシーが走り出す前には回収され、闇へと葬られた。
な、慣れている・・・。
ヨルダン側が何も言わず気を利かせた手続きをしてくれたことにまずは一安心。
少し走ったところで、
いよいよイスラエル入国。
車から荷物を降ろし、預けさせられ、
自分たちは入国審査へ。
たいして混んでもいないのに、やたらと時間がかかる。
うわさどおりだ。
そして、あたしたちの番。
「イスラエルのほかに、この後どこの国へ行くのか?」
「イスラエルに知人はいるか?」
「なぜイスラエルへ来たのか?」
「スタンプは別紙に押して欲しいのか?」
・・・・・etc
かつてないほどの長い入国審査。
所要時間10~15分。
”イスラエルの入国審査官は、ほとんどが女で、
しかもみんなキレイ。
だから、ちょっとくらいいじめられても、
長い入国審査の受け答えもそんな嫌じゃない”
なんていう、
多くの日本人男子のコメントが情報ノートに残されてた。
たしかに、イスラエル人の女の人は人気が高い。
どこかで話をした、なかなかの分析力を持った西洋人も、
「イスラエル人はフレンドリーじゃないから嫌いだけど、
女の人は一番きれいだと思う」、って言ってた。
まぁ・・・、言われてみればたしかに、
ちょっと不思議な魅力があるかもしれない。
でも!女のあたしにとっちゃ、
そんなことはどうでもいい。
つまんない質問してないで、さっさと入国させてくれ。
さらにそこから、パスポートを預け、
書類を記入し、提出して、また15分ほど待つ。
1人づつ名前が呼ばれ、
パスポートを受け取る・・・。
やっと終わった。
入国スタンプも、無事別紙に押してもらえた・・・・。
よかった。
入国、成功。
こんなふうに思ったのは、旅して初めてだった。
あたしたち他、数名の日本人が喜びに浸るその一方で・・・。
一緒にいたはずの、
日本人のカップルが見当たらない。
たしか。
その2人は、イスラエルへ来る前にイランに入国してた。
これは予想通り問題になったとのこと(笑)。
別室に呼ばれ、質問の嵐。
同時にはじめた手続きが終わったのは、
あたしたちに遅れること約40分。
お疲れ様です。
でも、入国できてよかった。
喜びを分かち合う。
この国境で一緒になった何人かの日本人。
無事入国できるまでのこの間は、
なぜか不思議な連帯感があった・・・。
こうして。
ついにはじまった、イスラエルの旅。