観るのが一度だけだと、「ああ、こういうことなのか!」でわかって終わりなのが、二度目だと分かったうえでの深まった感動がありました。
同じ舞台でも何度も観に行くの、贅沢で素敵な舞台の楽しみ方ですよね♪
そんな感じで、一度目で腑に落ちて、それを踏まえて二度目をみた時の感想です。
ネタバレらしいネタバレはありませんが、真っ新な気持ちで観たい方は読まない方がいいかもしれません。
真っ新な気持ちで行くと、ヘレンがどういう子なのか、何を要求しているのか、アニーと一緒に手さぐりできるかと思います。
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ヘレンは6歳の少女。
音も光もなく、外部とのやり取りは触感と気配、匂い。
言葉を持たないので、「自分のこうしてほしい」という希望もスムーズに理解してもらえず、自分の想いを伝えることにいつも必死。
充希ちゃんもトークショーで言っていたように、最初のシーンの要求さえも伝わるまでにかなりの時間がかかる。
そんなヘレンなので、
”みんなが何をしているか”
には敏感で、真似をしても
”他の人の意向を汲もうとする”
という概念は無かったのだろうなと。
でもこれは家族に対しても言えて、「ヘレンが何を要求しているのだろう」という事を熱心に掘り下げようとはせず、ヘレンの表面的な要求に只管答え続けてきた5年だったんですよね。
そして自分たちの意思を伝えることも諦めてしまった。
だからこそ、アニーが必死で、「これはこの名前!!」と伝えているのにも関わらず、サッパリそれを理解しようと思えなかったんですね。
まさか自分に
”意図をわかって欲しい!!伝わって欲しい!あなたに私の話をきいてほしいし、あなたの話をききたい!”
なんて全身でぶつかられてるなんて思いもよらず。
というのが、13日の一回目の観劇の後、舞台を反芻しているときにストンと落ちてきまして。
2回目の観劇ではもっとラストのシーンが際立って感動しました。
ヘレンは
”自分から相手の言いたい事を聞こう、察しよう”
という姿勢はないけれど、
”周りが何をしているのか、どういう人がいるのか”
には凄く敏感。
だから、「オシャレをしたら鏡を見る」「赤ちゃんをあやす」などなどのモノマネをできて、どんどん吸収していく。
でもその本質を知らないから、”マネをする”に留まる訳で。
それを分かって、アニーはもう、試行錯誤で「どうすれば届くの!?」って只管向き合い続ける。
理解できない事や人は恐怖ではないヘレンと本気のぶつかりあい。
充希ちゃんと晴夏ちゃんの、もう一切余計な事は頭にない、その役を生き切る演技は本当に迫力満点でした。
セリフの一切ないシーンですら、ぐいぐい舞台上にひきこまれ。
1幕約一時間の計3幕、本当にあっという間でした。
まだまだ二回じゃ足りなかった。
もっともっとじっくりしっかりいっぱい観たい。
17日は空席も多く、こんなに素晴らしい舞台を観ないなんて、本当に損だと残念に思いました。
同時に、過去に観たいと思いつつ見に来なかった自分にも、「物凄い損をしている」といってやりたい。
次回上演する時も、キャストがどうであれ、ぜひ観に行きたい。
なんだかまだ、奇跡の人をみたこの感情を整理しきれてないので、また思い立ったら感想書こうかな。