春から夏にかけて、体調を崩した。
それはもうガッツリと。
現在は回復したが、キレイサッパリ元通りとはやはりいかない。
ゆで卵に一度してしまったら生卵には二度と戻れないのと同じなのかもしれない。
今回の体調不良の原因について自分なりに考察してみたところ、ある一つの結論に私はたどり着いた。
「テストステロンの低下」
つまり男性ホルモンの減少。
正解かはわからないけれど、そのように仮説を立て、只今絶賛対策中である。
というのも、昨年まではとあるスポーツのコーチをしていたため、少なくとも週3はハードに体を動かしていた。
それこそ、アスリートなみの運動量。どれだけ食べても太らないほどだった。
もちろん、そのかわり体はあちこち壊れていたけど。
……骨も折れたし。
それくらい激しい日々だったので、体はバキバキに仕上がっていた。
しかし、今年はコーチをやっていないので、運動量は当然ながら激減。
体を動かすのが趣味なので、多少なりとも運動は継続しているものの、「アスリートなみか?」と問われれば、「まったく違う」と言わざるを得ない。
そんなこんなで、筋量はかなり減ったと思う。
特に太ももやお尻などの下半身にかけて筋肉が発達していただけに、その減少の影響は私の体にとっては相当大きいことだったのだろう。
酸素の豊富な低地の森林で生まれ育った人を、いきなり標高高いチベット高地の低酸素な環境に連れていったら高山病になるのと同じ原理ではなかろうか。
もともと高地で暮らしている人にとってはなんてことない日常的な環境であったとしても、人によっては生死を分けるほど危険な行為になりうる。
私が今回体験したことは、そんなようなものだったのではないか、と受け止めている。
そんなこんなで、最近体を鍛え直しているところだ。
サイクリングしたり、ダッシュをしたり、四股踏んだり、と。

先日、公園でダッシュをしていたら、バリバリの実業団陸上チーム(おそらくニューイヤー駅伝とかに出場するくらいのレベル)の方がやって来て、各々別々のトレーニングを開始した。
スロージョグをする人、ウォーキングをする人、補強する人。
なかでも私は一人の男性の姿に釘付けになった。
まるで欧米人のようにスラーとした手足、そしてキュッと引き締まったボディ。
それはもう美しいフォームでビュンビュンと軽快にダッシュを繰り返していた。
体型や走り方から判断して、長距離選手であることは間違いない。おそらくスピードトレーニングをしていたのだと思う。
その憧れるほどの長い脚を巧みに操り、なんの力感もなく軽快に加速する様は、お見事の一言だった。
私はベンチに腰掛け、彼の走りに見とれていた。
参考になることがあるかもしれないし、どれくらいの強度と量をこなすのか単純に気になったからだ。
しかし、それにしても速い。とにかく速い。
顔はいたって涼しい顔なのに、どんどん加速する。
見れば見るほど、くぎ付けになった。
私は彼の姿をひたすら目で追った。
こんな機会はない。
盗めるところは全部盗んでやる。そんな気持ちだった。
私の目には、もはや彼しか映っていなかった。
より一層涼しい顔でビュンビュン加速する彼。
は…、速い。速すぎる。
ーーーと、彼はそのままの勢いを保ったまま、それはもう美しいフォームで「公衆便所」に駆け込んで行った。
それはどこか、サザエさんのエンディングソングを彷彿とさせた。
あの速度で公衆便所に立ち寄った人類を私はまだ見たことがなかったが、「そんなことくらいじゃ驚かないぜ」的な大人の余裕を見せるべく、あご髭を軽く撫でてから「ほう」とだけ短くつぶやいてみせた。
2027年のニューイヤー駅伝。
彼のことを全力で探そう。
私は彼の一番のファンだ。
応援してる。
