私が尊敬している友人がいる。


​彼は現在、北海道の大自然を舞台に、とある野生生物をひたむきに追いかけている。

しかも、その模様をライブ配信し、ありのままのリアルを包み隠さず公開しているのだ。

その生々しく圧倒的な世界観と、北の果ての美しい生命の営みを映し切った凄まじい映像クオリティに、私の胸には熱いものが込み上げてくる。


​ドキュメンタリー賞のようなものはないのだろうか。なんらかの賞を受賞して当然とさえ思ってしまう。



↑秋を感じさせるさつまいもご飯。味付けはシンプルに塩のみ。それなのに信じられないくらい美味しい。お米がいいからだろう。お米は岩崎農園さんの「ななつぼし」。さすがの一言。


​実は彼のライブ配信は昨年から始まった。

2025年、秋の訪れとともに、約一ヶ月にわたって繰り広げられた壮大な物語は、分野こそ違えど映画『鬼滅の刃』を見た時と同じくらいの感動を覚えた。


​今年も空にウロコ雲が広がり始めたと同時に、彼のライブ配信がスタート。

「昨年の感動を再び」とばかりに、私は夢中になって彼の配信を追いかけている。


​彼の挑戦は、成功確率10%(あるいはそれ以下)と言われるほどのものだ。

降水確率で考えればわかりやすい。

降水確率10%で傘を用意する人があまりいないように、彼のチャレンジがどれほど難易度の高いことか想像できるだろう。





​ライブ配信初日、見ているこちらにも期待が膨らむ。「もしかしたら、いきなりチャレンジ成功という奇跡を起こすのでは」と。


しかし、10%という数字が示す通り、現実は極めて酷だった。


​それから数日が経っても事態は変わらなかった。

時には大量の虫の大群に襲われるなどして心を折られそうになりながらも、彼は持ち前の不屈の精神で立ち上がり、常に最善の方法を模索しながら北海道を駆け巡っていた。​


そして10日目を迎えた時、彼は一つの大きな可能性に賭けた。

今現在、最も成功確率が高いと言われる場所へ足を運んだのだ。


しかも10日目という節目である。

成功確率10%であるならば「今日こそ成功の日だ」と彼も胸を膨らませただろうし、私も自分事のようにその瞬間を楽しみにしていた。​


しかし、心のどこかで「あれ? これはもしかすると、今日ではないのかもしれない」という気持ちがあったことも正直に打ち明けよう。





というのも、彼は昨年『鬼滅の刃』と同等の感動作品を作り上げた、いわば天才ドキュメンタリー作家だ。この10日間にたくさんの苦悩(ドラマ)があったとはいえ、クライマックスにはまだ少し早いような気もしていた。


彼は紛れもなく天才だし、運も持っている。

そんな彼に、神様はここで成功というシナリオを用意するだろうか。なにかもう一つエピソードが巻き起こるのではないか——私にはどちらかというと、そちらの期待が膨らんでいた。​


結果はというと、10日目のチャレンジは失敗に終わった。​しかし——。​





しかし、10日目のライブ配信が終わりに差し掛かった頃、彼の元にチャレンジを応援する人が次から次へと現れるという感動の一幕があった。


そして、その中の一人がとあるアイテムを彼にプレゼントしたのだ。

それはさながら、勇者が伝説の剣を手に入れた瞬間のようだった。


​私はハッとした。

神様は彼のためにこのシナリオを残していたのかと。


舞台は整った、そんな気がした。





​そして11日目。

彼はそのアイテムを手に、ついにチャレンジを成功させた。







二年連続で奇跡のようなドキュメンタリーを完成させるなんて、私には彼の才能を測ることすらできないくらい、圧倒的にアンビリバボーなことだ。

本当に「さすが」としか言えないし、当然ながら私は彼の足元にも及ばない。



​彼のこの11日間を振り返ると、「運」というものについて考えさせられる。


​10日目、シンプルに捉えれば「回数を重ね、確率の高い場に足を運んだにもかかわらず成功できなかった=不運」ということになってしまう。


実際にその現実と真正面から対峙すれば、人は落ち込んでしまうだろう。

​しかし、少し角度を変えて捉えてみれば、その不運に見えていたものは最高の幸運に変わる。


実際、11日目の絵に描いたような脚本は、10日目のエピソードがなければ成立しないのだ。


​私は今回の件で大きな学びを得た。

一見して不運な出来事が巻き起こったとしても、その瞬間に幸運か不運かの判断はしない、ということだ。


起きた事態は受け止めるが、それが幸運か不運かはもう少し後にならないとわからない。

今起きた出来事はあっという間に過去になり、そしてその過去が良かったかどうかは、未来が決めるのだから。






​天才ドキュメンタリー作家の偉大なる力と、有り余るほどの幸運。




​彼が作り出した圧倒的な作品の余韻に、私は今も浸っている。​


まるで露天風呂から、夜空にきらめく星を眺めているかのように。













【今回の学び】

あっという間に今は過ぎ去り過去になる。そしてその過去が良かったかどうかは、未来が決める。