★産経新聞5/6朝刊(関西版)
●1面
見出し・・・「電力不足 リスク連鎖」「42年ぶり原発ゼロ」
「経済停滞/熱中症増加/途絶える技術」
冒頭に八木誠関電社長のコメント「できる限り早く再稼動できるよう最大限の努力を続ける」
奈良林直・北海道大教授のコメントも。
「このままではウクライナの二の舞いになる」
ウクライナはチェルノブイリ事故後、国内の全12原発を停止。しかしその結果電力不足が慢性化し、計画停電・停電の頻発を招き、経済が低迷。結局93年には原発再稼動に方針転換したとの事。
また、
「急な停電が、原発のある地域で発生すれば(福島第一原発のように)外部電源を失うことにもなる。電力不足は、原発の安全性にも関わる問題だ」とも。
※ウクライナの電力事情は少し調べたので、また別に書きたいと思います。
記事の大部分は電力不足による停電・節電の影響を懸念する論調。
熱中症患者の増加や、人工呼吸器を使用する人への影響も指摘。
さらに長期停止によってメンテナンス企業の廃業や、安全技術の継承も進まなくなると言う。
この他、コラム【産経抄】で気になる部分が。
「火力は燃料をたくので、コンスタントに運転している方が効率がいい。しかしそれでは、急に需要が増えた場合には対応できない。その点、水力は水をしっかりためておけば、瞬時に発電量を増やせる。火力よりも『小回り』がきくからだという」
「その後は高度経済成長による急激な需要増で、水力が火力を補うのは限界となり、原子力がその役割を担うことになった。」
あれえ?
前回の読売の記事と、言ってる事が真逆なような。
読売の記事ではこう書かれてましたね。
「火力発電所は本来、長期間の連続運転を想定しておらず、電力需要の増減に応じて発電量を調整する役割を担っている」
「昼夜を通じて一定量を発電する『基幹電源』の役割を果たす原発と対照的だ」
「2011年度は全国的にトラブル停止が相次いでおり、無理な稼動を続ければ安定供給に支障をきたしかねない」
火力発電の運転については
産経:コンスタントに運転した方が効率的・・・発電量の調整役にはならず。
読売:長期の連続運転は想定していない・・・発電量の調整役になる。
基幹電源と調整役については
産経:基幹は火力発電・・・調整役は水力から原子力に。
読売:基幹は原子力発電・・・調整役は火力発電。
どっちが正しいんだ。わからなくなりそうです。
たとえば関電はどう言っているんでしょうか。
関西電力 火力発電について
http://www1.kepco.co.jp/energy/fpac/plant/role/02.html
やっぱり火力で需給を調整してる。産経のコラムは何だったんだろうか。
●2面
社説のみ。最後にまわします。
●3面
見出し・・・「節電20%超 企業悲鳴」
「いつまで協力」「業績回復に水」
各企業の節電取り組みについて。記事冒頭では「悲鳴と反発の声」と表現。
「(電力不足は)関東より関西の方が大変だが、企業は慣れており、何%節電といわれたら、対応する」
「安全性を確認できた原発は再稼動してほしい。大幅な節電はコストを無視して対応せざるを得ない」
(大八木成男・日本化学繊維協会会長、帝人社長)
バイエル薬品・・・空調設備の改良などで平成22年比で20%削減
「昨夏は前年比で15%節電したが、これ以上は難しい」(小嶋淳司・がんこフードサービス社長)
「昨年以上の対策は考えられない」(町田勝彦・シャープ相談役)
「(土・日曜日操業について)今夏は考えていない」(伊奈功一・ダイハツ工業社長)
「20%超の節電なら、一部商品は7.8月の生産をストップする」(西村貞一・サクラクレパス社長)
「好調なスマートフォン関連の部品メーカーは週末もフル操業状態。中小企業に20%節電は非常に困難。せっかくの業績回復に水を差す」(近藤博宣・大阪商工会議所経済産業部部長)
と、このように企業の声を多数取り上げている。
また、観光・医療への影響についても記事で懸念を示す。
もちろん全部関電の需給試算が前提です。需給見通しについては、
このように、産経もまた反対意見を併記せず。
他は、大飯原発再稼動について福井県安全委の会合を報じている。
●社会面
見出し・・・「大飯『早期再稼動を』『安全大丈夫?』」
福井県おおい町の住民のコメント。
また記事の半分を使い、大飯の他に再稼動が有力な原発として、四国電力伊方原発3号機と九州電力玄海原発2号機を挙げている。
四国は仙石由人政調会長の地元でもあり、「地元同意は得やすい」(政府関係者)との観測を載せる。
しかし原子力安全委員会の審査スケジュールの見通しが立たず、斑目春樹委員長は「すぐにはできそうにない。今後の状況を見極めたい」と述べているとの事。
斑目さんのコメントが気になります。日和見なのか慎重なのか。
●社説
「異常事態から即時脱却を 安全技術の継承は生命線だ」
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120506/biz12050603100001-n1.htm
やっぱり電力会社と政府の言い分が全て。広報紙ですね。
中断している原発の建設再開も主張してます。
「建設が長期に渡って中断すれば、原子力分野への有能な若手人材の参加も途絶えてしまう。半世紀に渡って蓄積されてきた高度な技術体系の継承も持続不能に陥る。」
福島の事故は「高度な技術体系」の結果です。
「米国での原子力発電の支持率は60%と高い。原発の周辺地域に限るとさらに高く、80%に達している。」
だから何だと?
アメリカの事情は判りませんけど、日本では少なくとも原発自体を欲しがる自治体はありません。
欲しいのは交付金ですね。
いつもながらひっどい社説でした。
次は日経。
