真実のノート -45ページ目

5話『親友』

次の日の朝

あたしは あの誠との 別れ以来…

近寄る事すら 出来なかった 駅前の掲示板の前に

立っていた。

(まこと…)


あの日の 記憶が 蘇る…

誠は 毎朝 この掲示板の
前で 「よぉっ」と言って
片手を 上げて あたしを 待っててくれた…


あの頃のあたしには それが 嬉しくて…

今 思い出しても 涙が 零れてくる

けれど…良く考えて見れば
誠は あたしに 自分の事を
何も 話しては くれなかった。

あたしは… 誠の事を 何も知らない…

あの後、 あたしは 水谷に
誠の 家の事 転校先の学校の事を 訪ねた。

もう一度 誠の口から ちゃんと本当の事を聞きたい!!
そう 思ったからだ…

だけど… 水谷は

誠から 口止めでも されていたのだろうか?

黙ったまま… 何も答えては くれなかった。





その時!?


(…♪)


ポケットの中の 携帯が 鳴った。

(メールの受信音だ…)


(カチャッ)


開くと!?


(また 奴からだ!)


ため息を つきながら メールを 開いた あたしは
奴の言葉に

「えっ!?」


一瞬!視界が 真っ白になった。


「よぉっ」

ただ…それだけの言葉…

だけど!!

あたしには、忘れられない言葉だった。


(ま…こ…と…)


奴と 誠が ダブって見える


「…………」


(ううん…)


あたしは…首を横に振った


(辞めよう… そんなはずがない… もう いい加減忘れよう…)



(ね……佐奈!!)


あたしは 掲示板に (クルリ)
と 背を向け

スタスタと 歩き出した。



風船ガムが (パチンッ)と

割れる…


あたしは 奴にメールを打った。



「朝から 何だよ!」


「おっ 今日も ご機嫌斜めだね(笑)」


(ったく こいつのメールには 本当!ムカつく!!)


「何も ねーなら メールしてくんな!!」


「そんな 怒るなよ… 学校に向かってんのか?」


「そーだよ!悪いかよ!!」

「いや!いい事だよ(笑) 頑張れよ!!」


(ったく…お前に 頑張れって 励まされてもなぁ~)

自然と 苦笑いが出る。


(あっ そーだ!)

その時 あたしは…奴に聞きたい事がある事を 思い出した。


「なぁ~ 最初の間違いメールの時 何で お前、友達に、幸せですか? 何て 聞いたんだ? 普通 友達に 聞かね~だろう?」


(…♪)


少し 時間を置いて 奴からメールが、届く


「どーしても 聞きたかったから…」


「何で!? 友達なら ちょくちょく 会えんだろ!?」


「事情があって…会えねーんだよ!」


「ふぅーん」


「だけど…すげー 大事な奴なんだ!」


「そうか… そんなに 大事な奴なら…会えれば いいな…」


「そーだな! 死ぬ程 会いてーな!」


「死ぬ程かよ… (笑)」

あたしは…ちゃかす様に そこまで… 書き込んだ後
(死ぬ程…会いたい)って 奴の言葉に 何故か!?

誠を 思った

(やべぇ~ 奴の気持ちが 痛い程 分かる!!)


あたしは 途中迄 うった 文字を クリアし

「あたしにも 居るよ…
死ぬ程 会いたい奴…」


そう 書いて 送信ボタンを押した。

5話『親友』

次の日…

あたしは、学校の屋上で
又 空を 見ていた。

今日は 酷くどんよりと

灰色の厚い雲が 覆う

今にも 雨が 降りだしそうな

そんな 空だ…


(ハァ~)

ため息が 出る…

あたしは 青い 鮮明に澄んだ空が 大嫌いなはずなのに…

ムカつくはずなのに…

何で がっかりするんだろう!?

「ねぇ~佐奈 聞いてもいい?」

突然 隣の美紀が そう言ってあたしに 話しかけてきた。


「何だよ?」

あたしは 手にもった空の 牛乳パックを (クシャッ)


握り潰した。


「うん… 椎葉君の事」

(誠?)

まだ あたしの中では セピア色になりきれて無い

痛い思いが 胸をつく…

「何を 聞きたいの?」

あたしは 金網を、掴んだ!

「うん…何で 別れたのかなってさ… ずっと 聞けなくて…」

美紀は そう言って うつ向いた。


(何でって…)

「遊ばれて…捨てられたんだよ…」


あたしは そう答えて

(ニヤリ)と 笑った。

「美紀だって あの時の 情けないあたし 見てただろ!?」

あたしが そう聞き返すと

「うん…そーなんだけど なんか 違うような気がするんだよね…」

美紀は そう言って 頭を抱えた。

「何が 違うんだよ?」


「あのね…佐奈は 気が付かなかったかも 知れないけどさぁ~ 椎葉君…途中から 転校してきたじゃん!? 」

「転校? 誠が?」

あたしは 慌てて 美紀の その先の、言葉をふさいだ。
「本当か? それ あいつ 途中から 転校して来たのか!?」


「ちょっと 佐奈 あんた そんな事も、知らなかったの?」

びっくりする美紀

「………」

そして 唖然とするあたしを見て

「ハァ~」

1つ ため息を、ついた。


そして


「まぁ~ あの頃の佐奈は 誰にも 無関心だったしね…」

そう言って 呆れ顔をした

「椎葉君ってさ かっこよかったじゃん!? だから、最初の頃…女子に 大人気でさぁ~ いっぱい 女子から、告られてたんだよ!」
そう言いながら 美紀の視線が 宙を舞う…


「へぇ~」

あたしは 無関心を、装った

「だけど…みんな 途中から 諦めちゃった…」


「何で!?」

そう聞いた あたしに 美紀は


「だって 椎葉君 最初から1人の女の子しか 見て無かったもん… 悔しいけど」

って言って (ニッコリ)と 笑った。


そして


「佐奈…椎葉君は 最初から あんたしか 見て無かったんだよ!」


そう言って あたしに、指を差した。


「…………」

何も 言えないあたし…


「そんな 椎葉君が 佐奈に何も 言わずに 転校したのには、何か 深い訳があるのかな!?って つい 考えちゃうんだよねぇ~」


美紀は そこまで 言うと
「まぁ~ あたしの推測だけどね…」

そう言って 仕方無さそうに

(ハァ~)

再び ため息を、付いた。

金網を 掴んだ あたしの手が 微かに 震える…


(だって…誠は もう いない… 連絡さえも くれない…)

あたしは、まだ 誠からの連絡を 本当は 待っているのかな!?

自分に 問いかけて見たけど…

(分かんないや…)


あたしは 再び 曇り空を
見上げた。

第5話『親友』

次の日 目覚めて 階段を
下ると

「!?」

父親と母親の けたたましい 言い合いの声が 聞こえた。


「なんだ!!あの 昨日の態度は!!」

凄い声で 怒鳴りとばす父親!

「1日中 にこにこしてれば誰だって 疲れますよ!!」

「お前 それでも 政治家の妻か!!」


「妻かですって!? 笑わせ無いで下さいよ!! 貴方が 一度でも 夫らしい事を、してくれた事が、有るんですか!!」


「なにい!! 大体 お前が しっかりしないから、佐奈だって あんな不良娘になるんだ!!!!」


「すみませんね 貴方の愛人の息子さんは 成績も優秀で 立派だと 聞きますもんね!? やっぱり 父親の愛情が 有るのと 無いのとでは、違うんじゃ ございません!? 佐奈が お気に召さないなら、愛人の息子さんを 後継者に、なされば宜しいわ!!!!」


(息子!? 父親の愛人には 優秀な 息子がいるのか!?)

「へぇ~」

あたしは、階段の手スリにほおずえをついて この面白い ショータイムを 聞いていた

その時!?


「バシン!!!!」


「ガチャン!!」


叩く音と 何かが 割れる音が 聞こえた

ドアの外で 見守っていた
秘書と 梅が 慌てて

(ガチャッ)


扉を 開ける!!


「わぁぁぁ~!!!!」


けたたましい 母親の泣き声が 聞こえる


「息子の事は 言うな!! お前に わたしの気持ちは 分からん!!!!」

そう怒鳴りとばして リビングから 秘書と一緒に
出てくる父親!

階段の上に 居る あたしに気が付いたのか!?

一瞬 上を見た

目と目が 合う


あたしは父親を 睨み付けた

「………」
父親は 直ぐ目を反らすと


玄関のドアを 勢い良く開け


(バタンッ)


出て行った。



「この夫婦も そろそろ終わりかな!?」


着替えを 済ませ

口に風船ガムを ほおり込むと

あたしは そんな事を 呟きながら 家を出た。



その時!?


(…♪)


メールの受信音が 鳴った

開くと


「不良娘…昨日は 家に帰ったか!?」


昨日の間違いメールの主からだ

(チッ 何だよ)


あたしは 舌打ちを うちながら…


「知らねーよ! ってか もうメールしてくんなよ! うぜーから!」

そう書いて 送信ボタンを 押した。


(…♪)

すると 直ぐに 奴から

「まぁ~ そう言うなよ!メル友に、なろうぜ!」

と 返信


「ならねーよ マジうざい」


「お前…普段から そんな喋り方すんの!? まぁ~ いいけど…いくつだよ!?」


「17だよ!!悪いかよ」


「ふーん いつも 夜ふらふらしてんの!?」


「そーだよ 悪いかよ!!」

「お前 面白い奴だな(笑)」

「何だよ!!」


「いや…怒りながら ちゃんと メール返してくるのな(笑) 」


(ムカつく~!!!!こいつ!!!!)


「もう 返さねーよ!!じゃあな!!」


「あっ うそうそ!本気で怒んなよ!! 今 何してんだよ!?」


「暇してんだよ…ホテル代出してくれんなら 寝てもいいよ!(笑)」

あたしの口角が 微かに
つり上がった。


すると!?

「辞めろよ!そーゆーの…」


と、奴から


「何だよ!! 面白くない」

「そんな 自分 傷つけて 可哀想だと 思わねーの!?」

「誰が 可哀想なんだよ!?」


「自分だよ!!」


(自分!?)

意味が 分かんない…


「何したって 勝手なんだよ!! あたしは 1人なんだから!!」

「親 いんだろ!?」

(親だぁ~!?)

「はん! 親じゃねーよ!!あんなん!」

「お前…何か 勘違いしてねー!? お前 親に食わして貰ってんだろ!? それとも自分で 働いて 食ってんのかよ!?」


(たっ 確かに…食わして貰ってるけど… )

「何だよ!!説教かよ!!」


「違うよ…ただ そーゆうの 1人って 言わねーんだよ 後 自分 傷つけたら
自分が 可哀想なんだよ!!」

「何でだよ!!」


「自分が 後で 泣くからだよ!! 可哀想だろ!? 傷つけたら… 大切にしてやれよ自分…」


「………」


悔しいけど あたしは

何も 反論が 出来なかった
正確には どうやって 奴に
はむかって いいのか!?

分からなかった。