真実のノート -44ページ目

第6話『愛しい声』

週末の…夜の街は 都会程では無いが、結構 賑わっている…
酔っ払い親父を 呼び止め 店に 誘う 呼び込み

ナンパに明け暮れる
男女…
(まぁ~ あたし達も そうだけど…)

路上で ダンスを踊る 意味深グループ…


みんな、仕事だったり、遊びだったり

それぞれ…色々な目的を 持って…この夜の繁華街に集まる…


「なんか…つまんないね…」

美紀が ぼそっと呟いた。

「…だね」


あたしも そう言って

(ハァ~)ため息をつく…


何だか…今日は いつも 楽しかったはずの 夜の街が やけに つまらない…
美紀も 同じ気持ちだった見たいで

あたし達は 路上の片隅で
また (ハァ~) ため息を つき

「………」

無言で うつむいた。


その時!?


(…♪)

携帯の メール音が 鳴った

(カチャッ)

(奴からだ!)


「おい!勉強してるか!?」

(クスッ)

(んな訳 ねーだろ!)

「面白い ジョーク有り難う!」

そう 送ると…

「また、街に居るのかよ!?」


と 返信。

美紀が 「最近 良くメールしてるね?誰としてんの?」

そう言って あたしの携帯を 覗き込んだ。

あたしは、慌てて 後ろを向き…

「なっ 何でもねーよ!!」
そう 言ったが 美紀は

納得出来無かった様で…
「男だ!!ちょい 見せて」
そう言って 背後から 手を伸ばし、あたしの携帯を 奪った!!


「ちょと!!返せよ!!」

あたしは、慌てて 美紀の手から 携帯を取り返した

「何よぉ~ 隠し事 気分悪い!!」

美紀が ふてくされた。

「ごめん…そんなんじゃないんだ…」


あたしは、間違いメールから始まった、奴との、今までの やり取りを 美紀に 全て 話した。


「じゃあ…この奴って人がいたから、あたし達 親友になれたんだね!あたしも感謝しなきゃね!」


美紀は そう言って 笑った

「うん…」


あたしは、頷きながら

奴に メールを 打った。

「そうだよ…夜の街は 楽しいよ!」


全く 逆の気持ちだ…

あたしは、いつもこんな 感じで

(可愛く無い…)

さっき、家を出る前に

父親と母親と 何年かぶりに まともに 口をきいたのに…

喧嘩を してしまった…


まぁ~ 遊び歩いてる あたしへの 最初から 説教だったけどね…


だけどさ… 会話を した事なんて、ほとんど 無かったからさぁ~

無視されるより 説教された方が いいかな!?

なんて…そんな らしくない事を 思っちゃったんだよね…


だけど…あたしから、親に向けた 最後の 捨てゼリフは

「こんな家 二度と 帰らねーよ!!!!」

・・・・・だった。



(…♪)


奴から メールが届く…


「あぶねー奴に 捕まったら、どーすんだよ!!
早く 帰れよ!!」



(ふん!また 説教かよ!)

「こっちも 意地があるからね! 帰らねーよ!! それに、危ない事なんて 何も無いよ!!」



「何だよ…意地って 親と喧嘩でも したのかよ!!」


(鋭い!! ピンポーン!!大正解(笑))


「関係ねーだろ!忙しいから またな!」


そう書いて…


送信ボタンを 押した後

(パタンッ)


あたしは、携帯を、閉じた。

5話『親友』

放課後…帰りの支度をしていると!?


「帰ろう!!」

美紀が そう言って 腕組みを、してきた。

美紀の口の横には ばんそうこうが 痛々しそうに 貼ってある…


あたしは 人差し指で そのばんそうこうに、触れると
「痛くねーか?」

美紀に聞いた。

美紀は

「佐奈が いるから 痛く無いもーん!」

と 笑顔で おどけて 見せたけど

その後で 慌てて 顔をそっぽに、向けたので…

(今の笑顔で 傷口開いたな!?)

そう 思った(笑)





帰り道…誠と 良く帰った土手沿いの道で


美紀が 「あのね…」

と ぼそっと 呟いたので

あたしは

「 何だよ?」と 聞いた

中々 言わない美紀


「何だよ?」

もう一度 聞くと 美紀は
恥ずかしそうに うつ向いて…


「あのさぁ~ あたし… そのぅ~ 佐奈とゎさ… 一生 親友やってきたい!!」

そう 言った。


「うっ うん…」

美紀の言葉に あたしも 恥ずかしくて 下を向いた。

「じっ じゃあさ 約束の ぶんぶんしよ!!」


「なっ 何だよ? ぶんぶんって!?」

(こいつは、時々 訳の分からない事を言う)


「これだよ!!」

美紀は そう言うと

あたしの手を、握って

思いっきり (ブンブン)と

振り回した。


「やっ 辞めろよ! 恥ずかしいじゃんかぁ~」


あたしは、照れて、そんな事を、言ったけど


本当は 結構 嬉しかったりして…


途中から 美紀と 一緒になって

思いっきり (ブンブン)振り回した(笑)


そして


(成る程!これが 約束のぶんぶんかぁ~!?)

そう… 思った。


気が付くと、誠と見た 同じ夕日が 土手沿いの道を 赤く 染めている


美紀が ふいに 呟いた。


「佐奈… あたし…シンナー辞めるよ!」


(美紀…)


あたしは、笑顔で


「だな…」


って 言って 頷いた。





夜になり…


自分の部屋の、ベッドの上
あたしは、奴の事を 思い出し


携帯を 手に取った。


そして


「ありがとな…1人しか 居ない 友達 無くす所だった!」

と 書き 送信した。


すると 直ぐに、返信が



「1人しか居ねーの!?
だせーなぁ~」


「何だよ!人が せっかく素直に ありがとしてんのに!! そう言う お前は 居るのかよ!?」


「何がだよ!?」


「信じられる奴だよ!!」


「居るよ! 大事な奴なら」


あたしは 昼間の奴との
メールのやり取りを、思い出した。

(そうだ…こいつには 死にたい程 会いたい奴が 居るんだ…)


(…♪)


続けて、奴からメールが来た。


「んでも…1人居れば いいんじゃねーの…」


「 何が!?」


「親友!」


(本当に あんたの言う通りかもな…)


あたしは 奴の言葉に

「だな…」

そう書いて 送信をした。

5話『親友』

何故か!? それ以降 奴からのメールは 途絶えた。

(気まぐれな奴だなぁ~)


(パタンッ)


あたしは 携帯を 閉じると
学校の 正門をくぐり

3階の教室に 向かった。


「ん?」

教室のドアを 開けると

中は 騒然とした空気に包まれていた。


壁際で 男子が 何やら

ひそひそ話しを、している
教室の中央には 女子達が
輪を作り…

次々と 誰かを 責めているのだろうか!?

暴言を 繰り返している


「何か…あったのか?」

あたしは…壁際に たたずむ 男子の1人に、聞いた。

「女子の 1人のサイフが 無くなったらしいぜ…」


ひそひそと 小さな声で
答える…男子。


「サイフが!?」


私は 女子の輪に視線を
向けた。


その時!?


「てめえだろ!?取ったの!!早く 出せよ!!!!」


「この 泥棒が!!」


女子達の 怒鳴り声が いっそう 大きく 教室中に響いた。

輪の中から 泣き声が 聞こえる。


「殺すぞ こら!!!!」

次々に そんな 罵声と共に
蹴りを 入れられたのだろうか!?

輪の中から 「うぐっ!!」
と 言う 鈍い声がした

あたしは…輪の中心に いる奴を 確かめようと

後ろから 爪先立ちで 覗き込んだ。


「えっ!?」


その時!? あたしは 一瞬 声を 失った!!

輪の中心に 居たのは

美紀だった。


「美紀!!」

あたしは そう叫ぶと

慌てて 女子達の輪の中に入った!!

「佐奈!!」

殴られたのか!?

美紀は 口から 血を流していた。

「こいつが クラスの女子のサイフ 盗みやがったんだよ!!」

ぼーぜんとする あたしに、1人の女子が 背後から そう、言うと

「あたし!!やってない!!」

美紀が 大声で、叫んだ。
それと 同時に


「ざけんなよ!!こらぁ!!!!」


もう1人の女子が

「バシーン!!!!」

美紀に 張り手の ビンタを喰らわせた!!


そして

「お前は 関係無いんだから 引っ込んでな!!」

あたしに向かって そう言い

首を 一回、横に振った。

「…………」


黙り込む あたし…

だって 最近の美紀は

シンナーにはまり…言ってる
事と 行動が 意味不明の
時も あったし…

(もしかしたら…取ったのかも、知れない…)

とっさに そう思ってしまった。

だけど…


その時!?


(…♪)


あたしの ポケットの中から
メールの受信音が 鳴った!


慌てて 逃げる様に 廊下に駆け出す あたし…


(カチャッ)


携帯を 開くと 奴からだった。


「お前に 話したい事がある」


あたしは 慌てて 奴に

「それ所じゃ無いんだよ 美紀が 友達が 誰かのサイフ 取ったとかで 今 リンチに あってんだよ…」


そう 送信した。


すると 直ぐに 奴から

「美紀ちゃんは 何て言ってんの?」

と 返信。

「やって無い!って言ってる だけど… わかんねーよ」


「お前!!馬鹿か!!友達が、やってねー って 言ってんなら やってねーよ!!!! てめーの 信じた奴だろ!!」


「!!!!!!」


奴の 返信の言葉に

頭に (ガツーン!!)と 殴られた様な 衝撃が 走った!!
(…♪)


更に


「美紀ちゃんの事 一番 知ってんの お前じゃねーのかよ!!!!」


………………と


「あたし!?」


(そうだ…美紀の事 一番知ってるのは!?)


(あたしだ!!)


一瞬、1年の時 最初に 声を、かけてくれて 笑顔で 握手してくれた 美紀を 思い出した!!

(美紀は あたしに 嘘を付いた事なんか 一度も無かった!!)


(美紀は 人の物なんか 取る奴じゃねぇ!!)



あたしは…ゆっくり目を
開いた!!


そして


(ガラッ!!)


再び、ドアを開き 教室の中に 入ると…

女子の輪の中で リンチを受けてる 美紀に 覆いかぶさった!!


「佐奈!!」

叫ぶ美紀!!

(美紀!!)

血だらけの美紀を 見て

あたしの 怒りは 頂点に
達した!!


「やってねーよ!!美紀は 絶対 やってねー!!!!」

あたしは 美紀に 覆いかぶさったまま、大声で 叫んだ!!

「こいつしかいねーんだよ!!」

その時 そう罵声を浴びせながら、1人の女子が あたしの横腹を 蹴った!!

「うぐっ!!」


思わず、漏れる声


「やめてぇー!!!!」

美紀が 泣きながら 悲痛な叫びを、あげた!!

あたしは…そんな美紀を
(ギュッ)っと 抱き締めると

「大丈夫だよ」

そう言って(ニコリ)と 微笑んだ。


(あんたの痛みに 比べたらね!!)


あたしは そう心の中で 叫ぶと

次の瞬間 取り囲む 女子達を (ギロリ)と 睨み付けた!!

そして 叫んだ!!

「ちゃんと 探したのかよ!! てめーら!! 探しもしねーで 人 疑ってんじゃねーよ!!!!」


「なっ 何だよ…」

後ずさりを 始める女子

輪が 崩れだした。


あたしは 立ち上がると

「どきなよ!!」

そう言って 女子達を 振り払い

端から カバンを ひっくり返して 中身を出した!!

「何してんだよ!!」

1人の女子が 叫ぶ

「うるせぇんだよ!!見てる暇 有るんなら てめーらも自分のカバンの中身出せよ机の中身も みんな出せよ!!」

あたしは、そう怒鳴り返すと 別のカバンを 手に取った。

回りで 見ていた 男子達が
一斉に 動き出す

それを見て 女子達も 慌てて 自分の席に戻り 探し始めた。


教室の真ん中には その姿を ぼーぜんと 見詰める美紀が、いた。


「あっ あれ!?」

数分後…1人の女子が カバンの中から サイフを取り出し

「ごめちーん…机の中に入れといたと 思ったんだけど…カバンの中に 入れっぱなしだったぁ~」


そう 言って 頭を ポリポリかきながら…


笑った。


「何だよ~人騒がせだなぁ~」

一斉に 和みだす 教室。

「てめえ!! 何笑ってんだよ!!」

あたしは、その女子に

(バンッ!!)


持っていた カバンを 投げつけた


「いたぁぁい!! ってか 何マジに なってんのよ!!」
その女子は そう言うと

「本当…馬鹿みたい!」

そう言って カバンが、あたって 傷付いた 手を(ペロリ)と 舐めた。


「てめー 謝れよ…」

あたしは、小声で 呟いた

「えっ 何?」


女子が 聞き返す。


あたしは、たまらず その女子に 掴みかかった!!

「きゃあ!!」

悲鳴と 共に 女子は 倒れ込み あたしは その上に 馬のりになった。


そして


「てめーのせいで 美紀が美紀が どんな思いしたと思ってんだよ!! あやまれよ!!」

あたしの涙腺が崩壊した!!

でも その涙は こいつに対する 涙じゃなくて


一瞬でも 美紀を 疑った 自分に対する 怒りの涙だった。


「あやまれよー!!!!!!」

あたしは、思いっきり叫ぶと 拳を握りしめた!!


その時!?



「佐奈!! やめて!!」


美紀が そう叫んで 背後から あたしに 抱き付いた!!

(美紀!!)

あたしは 振り降ろそうと した 拳を 止めた。


「ひっく!!」

背中で しゃくりながら
泣く 美紀…


「だって このままじゃ おさまんねーよ!!」


あたしは、再び 拳を 握りしめた!!


「もういい!」


「何が…いいんだよ!!」


あたしは 背中の美紀に
振り返り そう言った


その時…


「佐奈がぁ~ 佐奈が あたしの事 信じてくれたからもう いいんだよ!!」


泣きながら 美紀が 叫んだ

(美紀…)


あたしは 振り返り 思いっきり 美紀を 抱き締めた。

「ごめん…美紀 ごめんな」


謝罪の言葉と 涙が止まんない


そんな あたしに 美紀は
「信じてくれて 有り難う」


そう言って 笑ってくれた。