真実のノート -42ページ目

第7話『亜弥との出会い』

「最近さぁ~ 勉強しろってさ うちの親 うるさいんだよね~!!」


「へぇ~ ってか 最近良く親の話するじゃん!?」


「そうかなぁ~ そう!?
そんなに 私 親の話するかなぁ~!?」


「うん するする すげーする なんか言葉使いも 最近 女っぽくなったし…
『あたし』じゃなくて『 私』になっただろ!? 」


(そう言えば…)


私は 携帯を片手に 空を見上げた!

(気がつかなかった!)


自分より メル友の 奴の方が 私の事 知ってるかも…

でも…自分でも 最近 1つだけ…気が付いた事がある

鮮明に澄んだ 青い空を
見上げて 気持ちいい!
なんて…感じるようになった事…


前は 大嫌いだったのになぁ~


なんか 不思議…


不思議と言えば…


うちのパパも 不思議なんだ…


もう 選挙も 見事当選したのに…

何故か!?

忙しい合間を抜けて
家に 帰ってくる…


いつもなら、愛人と 暮らしてるはずの パパなのに

本当に…最近…変だ…

ママもママで 私が 帰ると
必ず 「お帰りなさい」って言って 梅と2人で 微笑んでくれる…


それで…やたらと 私に…まとわりつく…

「今日 何が あったの!?」

とか


「勉強しなさい!」


とか



なんか 本当に 変だよ


(クスッ)


だけどさぁ~


そーゆうの…


結構 嬉しかったりして!

「勉強しなさい!」って
言われて 喜ぶ 子供なんて居ないよね!?


だから…



私も 最近 変なんだぁ~



(ミ~ン ミ~ン)

セミの鳴き声が 耳に届く

「もう…夏だなぁ~」


日曜日の午後 私は そんな事を 呟きながら


眩しい太陽に 目を細めた

6話『愛しい声』

みんなに 励まされ…

あたしは…秘書と 車で…
自宅に、向かった。


表は もう すでに、記者達で 埋め尽くされていた為
秘書は 車を裏口に回し

「佐奈お嬢様…ここで 降りて下さい!」

そう言った。


「有り難う…」


あたしは…秘書に そう言うと… 車から降りて

裏口の扉を 開け 屋敷内に入った。



玄関の扉を 開けると

梅が 「佐奈お嬢様…」

そう言って 駆け寄って来る…


あたしは 梅に

「父は?」と 聞いた。


「旦那様は 先程から お嬢様の身を、案じながら 書斎でお待ちです」


(あたしなんかの事より、自分の方が 大変じゃねーか!)

「分かった」


あたしは…そう言うと

父の書斎の扉を


(コンコン)


ノックした。


(カチャッ)


扉が 開く


中から 父が 出て来た。

「あっ あのさ…」

うつ向く…あたし…


「佐奈…」


その時!! 父が あたしを抱き締めた


(嘘…だろ!)


あたしは…突然で びっくりして 目を、見開いた!!

「佐奈…すまない!お前に嫌な 思いをさせたな! わたしも 数時間前に知ったんだ…」


父の言葉に 涙が 出る…

「何言ってんだよ!あたしが、勝手な事したから いけないんじゃねーか!! あたしの 心配より、自分の心配しろよ!!」


(ごめん…本当に、ごめんなさい…)


あたしは…心の中で 何度も 叫んだ!!


「佐奈…わたしの事なら 何も 心配いらない… 今迄お前を 沢山、傷付けた
わたしへの…これは、罰…何だよ… 」


父の 言葉で あたしは… 子供の頃 何時間も 庭の 噴水の前で 泣いていた
過去の自分を…思い出していた。


(本当は…こんな風に 抱き締めて欲しかったんだ!)


(本当は…あたし…あんたに 愛されたかったんだ!)


(寂しかったんだ!)


本当の あたしの…素直な気持ちが 今…固く閉ざした 心を 優しく 溶かしてゆく…


その時!!


母が 後ろから あたしを 抱き締めた!!


「ごめんね…今まで…」


母が そう言って 背中で
泣いていた…


「ママ…」


あたしの口から 出た その呼び名は 子供の頃…
母を 呼んでいた 懐かしい呼び名だった!


「パパ…」


あたしは…顔を上げた


パパが…あたしを見て


優しく…微笑んだ。




そして…


次の日



パパは… 選挙辞退と


議院を辞職する 考えを


地元の…後援者達に告げ

記者会見を 開いた…


パパは 今迄の事


愛人の事


愛人との間に 子供が 居る事など


全てを 語り…



最後に



「愛する者でさえも 守れない自分に 政治家で居る資格は 無い…」


そう言って 深々と 頭を

下げた…



あたしは…パパのそんな姿を 会見場の袖から ママと…一緒に 見守った…


パパは 誰よりも…


政治家で居る 資格が 有るんじゃないか!?


そう思わずには いられなかった…


さっきまで、(パシャパシャ)とたかれていた
フラッシュの音が 消えた
しーんと
静まりかえった 会見場…


その時!!



記者の1人が 叫んだ!!



「貴方みたいな、いさぎよい政治家 正直 居るとは 思わなかったですよ!!」



また、誰かの叫び声が 聞こえる!!


「正直…貴方より 人に言えない事 やってる政治家なんて…腐る程 いるでしょう!?」


「この間の 闇献金 貴方が全部 国民に 明白にしてくれたんじゃ無いですか!!」


更に パパの 後援者達が
一斉に、会見場に 押し寄せた!!


「納得出来ないんですよ!!どうしても!! 貴方が 今迄…私達に して来てくれた事を 考えると!!」


「辞めないで 下さい!!」




「きっ 君達…」


そう言って パパは 涙を流した…


「いや…しかし…わたしは…」


パパが うつ向いた!


(パパ!!)


あたしは…たまらず

パパの側に 駆け寄った


そして


「皆さん!全て 私のせいなんです!! 私が パパを 追い込んでしまったんですパパに 罪は 無いんです!!」


そう 叫んだ!!


「佐奈…」


パパが 私の手を 握った

「パパ…辞めないで!!お願い!!」


私は パパに 頭を下げた

「私 もう二度と…馬鹿な事しないから…」


床に…涙が 零れ落ちた…

その時!!


「お嬢さん!! 大丈夫ですよ!! 私達が 辞めさせませんから!!」


誰かの 叫び声が 聞こえた

「こんな 馬鹿正直に 告白して 頭下げる 政治家辞めさせる訳 無いでしょう!!」



「貴方は 辞めさせませんから!!」


次々に パパへの言葉が 飛び交う!!


「わたしは… わたしは…」

そう言いながら…
私の手を パパが (ギュッ)
っと 強く 握った!!


「皆さんの 期待に 添える様に 一から 出直します!!もう一度だけ チャンスを下さい!!」


震える声で 叫んだパパ


その後 深々と 頭を下げた

(パパ…)


私は そんな パパの手を
(ギュッ)と 強く 握り返した

(パチパチパチ!!)


一斉に、拍手が 沸きおこる


ふと…横を 見ると

涙で ぐちゃぐちゃの


パパが 小さな声で


「有り難う…有り難う…」

と 何度も 呟いていた…


6話『愛しい声』

ふと、気が付くと…


あたしは…また 駅の掲示板の前に立っていた…


(ま…こ…と)


今も 目を閉じると

暗闇の中から 聞こえてくる…


「佐奈…」


懐かしい…誠の声…


何故!?


あんな夢を、見てしまったのか!?



「佐奈…愛してる…」


一番 愛しい人からの声…


そして…一番聞きたかった言葉…


(何故!? あたしは…あの人を いつまでも…忘れられないんだろう!?)



自分に問いかけて見る…


どうしたら…忘れられる!?

涙が 頬を伝う…


貴方を 想って 泣くのは

もう 何度目だろう!?


もう… 疲れたよ


疲れちゃったよ…



誠………




その時!?



(…♪)



メール音が 鳴った。



あたしは…ポケットから 携帯を取り出し…

(カチャッ)


開いた。



(奴からだ…)


「よぉっ 元気してるか!?不良娘!」


(久し振りなのに…相変わらず 憎らしい!)


「最近…メール無かったから せいせいしてたよ!!」

あたしだって 負けずに返した。


「相変わらずだなぁ~ まだ 夜 遊んでんのか!?」


「遊んでねーよ!バカバカしいから…辞めた!」


「そりゃ~良かった!! その分 勉強しろよ!!」


「勉強? 今からやっても 遅いよ!」


「お前…夢とか 無いのかよ!?」


「夢!? 考えた事 無い」


「いつまでも…ひねくれてても…詰まんねーよ!」


「うるさい!!」



あたしは… そう送信して

(パタンッ)


携帯を閉じた。






学校に着くと


(!?)


正門の前に 人だかりが 出来ていた。


「何!? 何なの!?」


あたしが 近寄ると…

一斉に みんなが あたしを見た!!


(パシャッ!! パシャッ!!)

いきなり…たかれるフラッシュ!!


眩しくて! あたしは 思わず目を、閉じた!


「神林議院の 娘さんですよね!? この記事についてどう 思いますか!?」


1人の記者が、そう言って マイクを あたしに向けた!!


そして 目の前に 差し出された 週刊誌の記事!!


「えっ!!」


あたしは 自分の目を 疑った!!


そこには…


神林議院の娘は 不良だった! の見出し

暴行未遂事件の真相!

夜遊びの 結末!

など… 酷い事が 次々と
書かれてある!!


最後に

神林議院は 政界から 引退するべき!!

そんな事が 書かれてあった!!


「そっ そんな!!」


身体が 小刻みに 震え出す


その時!?


「神林!! こっちに来い!!」


担任の水谷が 記者の大群を 押し退け あたしの手を引いた!!


「水谷…あたし…」


「話しは 後だ 神林!!」


水谷は あたしの手を引き保健室へと 連れて行く

そこで、あたしを待っていたのは、父親の秘書だった

「すみません…佐奈お嬢様記事は 揉み消したつもりだったんですが… まさかあんな…三流出版社にまで 情報が 漏れているとは 思わず… 私の不手際です
すみません…」

秘書は そう言って あたしに頭を 下げた。


「父は? 父は どうなるの?」


あたしは…けたたましく秘書に、聞いた!

「分かりません…それは 先生が お決めになるでしょう…」


「今 選挙の期間だよね?あたし… あたし…」


「…………」


黙り込む 秘書…


水谷が あたしの肩を、叩き…

「とにかく、今日は 家に帰れ… 学校にいても 落ち着かんだろ!」

そう 言った。


「は…い」


あたしは…そう返事をしてうつ向いた…


その時!!


(ガラッ)


保健室の扉が 開いた。


「佐奈…」

美紀が 飛び込んで来た。

「美紀…あたし…」


そこまで 言ったあたしに美紀は

「佐奈…変な事 考えて無いよね!」


そう言って あたしの両肩を 掴んだ!


(さすが…美紀だ あたしの性格を 良く分かってる)


「暫く…騒ぎは 収まらないだろうし… 学校に 迷惑は かけられないよ…
あたし…学校 辞めるよ…」

あたしは 美紀と水谷に

そう 言った。


「何で…あんたが 辞めんのよ!!」


その時 突然 背後から

声が 聞こえた!


「えっ!!」


振り向くと そこには クラスメイト…全員が 立っていた!!

(どーして!?)

(ろくに 話した事も無いのに…)


「………」


あたしは…言葉を 失った


「あの時の事…まだ 謝ってないし…あたし…」


1人の女子が あたしに、言う

「なんかさぁ~ 色々 考えさせられたよ…俺ら…」


続けて…男子が 照れ臭そうに そう言った。


「あたしら…まだ 友達になってないし…名前も 知らないよ!! 」


「良く…考えたら 同じクラスメイト じゃん!! せめて 友達になってから 卒業しようよ!!」

「自己紹介から 始めようよ!!」


「学校 辞めんなよ!!」



「記者なら 俺ら 全員で 追っ払ってやるよ!!」



次々に 聞こえた クラスメイトの声… 言葉…

「有り難う…みんな!」


美紀が そう言って あたしに、抱きついた!


あたしはと 言うと…

「…………」
(情けない…)



みんなの 言葉に



今までの 自分の 無関心さを、振り返り…


無駄に 過ごして来た


学校生活が 悲しくて



凄い… もったい無くて



泣く事しか 出来無かった


もう一度



こいつらと…



最初から やり直したい!!


そう




心から




思った。