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働きアリのブログ

働いても働いても遊べません

最近、ベビーカーに乗ってる子って大きな子がいませんか?

ベビーっちゅうのは2歳。せいぜい、2歳までだと思っていましたが、4歳近くなっても乗ってるお子様が増えた。


昔は電車内では危ないからベビーカーはたたむものだったが、このごろはそのまま乗っても良くなったようだ。


満員電車にベビーカーを突っ込んで、大きな子が乗っていて、母親は携帯電話をいじりっぱなし、子どもはうるさいし、混雑の中でベビーカーは邪魔。

そんな図をよくみかける。



昨日はそんな典型的な例を見たが、乗っていた子は「スドウユウカ」というそうなのだ。

名札でも付けていたかって?いやいや、それは、バリトン声の初老の男性のおかげだった。


みごとなまでのバリトン男性とスドウユウカちゃんのやりとりを載せる。


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夕方のラッシュで、急行はびっちり人が乗っていた。

都内のターミナル駅から1つ行ったところから、ベビーカーを押して、母親が乗ってきた。


「え?マヂ?」ちらっとドア際の姉さんが不満をもらす。

母親は無言でずいとベビーカーをごり押し車両に収まった。

乗っていた子はどーみても幼稚園なら年中か?4歳前後のダブルポニーの女の子。上着のスモックは園服だろう。

大人にぐるりと囲まれてひどく不満そうな声を上げる。

「だぁ、顔にくっつくから嫌だ。ママ、手をつないでよぉ!」ママは乗込む前から携帯電話に夢中。メールか?

「ママァ、今日の※☆&%#(不明)はもう、いらないからね、皆と同じがいいって言ってるじゃない。」

「こぉーんな靴がありまして、ハワイへでスティッチが、ゲロ吐いちゃったのでぇーー○○でー」

「んんー暑いなぁ!暑い!臭い!」御機嫌かと思えば、身をよじってそこらに手を伸ばし、じっとしていない。

「ママァ?聞いてるの?」ママと呼ばれたほうは振向きもせずに携帯電話を持って親指を動かす。

もはや、ベビーカーを抑えてすらいない。


次の次位で、人が下りる。ベビーカーはドア前からどかないので皆、避けて下りる。

迷惑な。

ああ、もう・・・と思っていると園児が声を上げる。

「あぁ!もう!!いや!」母親が面倒くさそうにベビーカーを車内に押し込む。



乗込んできた乗客の一人に体格のいい男性が居た。


相変わらず園児はベビーカーの上でむずがり、母親は無視続ける。

5分位走るとベビーカーの日よけの部分をバタバタさせていた園児に男性がいい声で話かける。


「こんにちわぁ」

「こんにちわ」なんだ、園児、きちんとできるじゃん(笑)

「元気いいね。名前なんて言うの」

「スドウユウカ」

「ユウカちゃんか!ユウカちゃんは大きいね。何歳?」男性は大きなよく通る声で元気良く話かける。

母親は無視を続ける。あんたの娘だろーが!

「4歳。ゆり組」ユウカ嬢は、母親に助けを求めるべく手を伸ばすも届かない。

「おじさんの声、うるさいだろう?」

園児、こっくりうなづく。

「電車の中でさ、うるさくすると迷惑なんだよ。わかる?」バリトンの声をひそめてユウカ嬢に語りかける。

初老の男性は、そばに居る母親に視線を投げかけない。普通、親なら、この時点で謝罪するだろう。

が、この母親は相変わらず知らん顔だ。どうしてこんなことができるのだろうと顔をのぞくと、耳にイヤホン。

音楽聞きながらかい?????????・・なんて親だ。


そんな親を見もせず、男性は続ける。

「スドウユウカちゃんはおりこうさんだね。静かにできるよね?」

うんうん。といいながらユウカ嬢は座り直す。


ややあっておとなしくなったユウカ嬢のベビーカーをまた手元に引寄せ、母親が何事もなかったかのように日よけを直す。

男性もくるりと背を向けて文庫本を読み始める。


20分ほどして男性が電車を下りた。

ユウカ嬢が小さく手を振る。男性もにっこりしてホームで大きく手を振る。

すごいな、おじさん、ユウカ嬢、懐いてるじゃん。


ようやく、娘の様子にハッとして母親がボケェと口を開けてホームを見た。

「アンタ、何してんのよぉ?」乱暴に娘を振り返った母親。

「ママァ、電車の中ではうるさくしちゃ迷惑なんだよ」ユウカ嬢がヒソヒソするために声をしわがれてみせて話す。


周りに居た大人がクスッとやったのは言うまでもない。

年に5、6回休日出勤する。

帰宅時には、遊びの人達と電車の中でごっちゃになる。普段見かけないような人と同じ車両に乗合せることとなる。

夕方18時位に横浜から帰ってきたときに、4人がけのイスに座った。


途中の乗換駅から初老のオジサン二人が乗ってきてイスの一方に座った。
片方はほろ酔いで、片方は静かに話す品の良いオジサンだった。


ほろ酔いのオジサンは奥さんの悪口やら、親せきの悪口やらをやたら言っていたが、品の良いおじさんはおとなしく聞いて、時々あいずちを打ち、それは大変だね、とほろ酔いオジサンに言っていた。

少しすると、品の良いおじさんが、ほろ酔いおじさんの手を取った。
「ほら、こんなにいい相をしている。こんなすごい人はいないと言ったでしょう。もっと自分に自信を持っていいよ」
「んなぁこと言っても、周りが俺を認めねーんだから、しかたないが」

「いや、いや、トクさん、私はあなたのこんないい運勢をもったいないと思うのだよ」
「んー?」トクさんと言われたほろ酔いおじさんは手を取られながら、指で手相をなでられている。


「宝玉(この字か?)の相と言って、宝を持つすばらしい人なんだよ。こんな人をね、是非、先生に紹介したい」
「先生は何先生なんだ?手相先生か?」
「そう。運命のね。先生なんだよ。だからトクさん、いい話を聞きましょうよ」
「いい話って、そら、話しするだけなら、なんでもいいよ。でも腹減ったから家にも帰らないと」
「駅下りたら直にだからさ。話しはすぐさ。終ったら、ほら、さっき話した蕎麦を食べようよ」
「そうか。直か」

品のいいオジサンは巧みに約束をとりつける。


そのうち、やっぱりと言ってトクさんは席を立って途中の駅で下りると言う。

手相オジサンは無理に引き留めない。
「じゃぁ、仕方ないね。トクさんが、大事に思わなきゃ仕方無い。」

凛とした声で続けた。
「でもね、約束だよ。さっきみたいな悪い事はもう口にしちゃいけないよ。言えるのは俺と先生の前だけだよ。
今家に帰ったら奥さんに心から詫びなさい。できないと言うなら、先生に会いに行こう」


トクさんは手相オジサンの顔をじっと真顔で見て、すぐにニャッと笑って席に戻った。


「俺が今更、カミさんに詫びるなんてできないから、相談に乗ってもらったんじゃぁないか。忘れちゃいけねぇや」
手相オジサンはまた、手相を辿ってあーだ、こーだ始めた。


隣に座っていて、すっと背筋に寒気を感じた。
これから、トクさんはどこへ連れて行かれるのだろう。
先生。絶対胡散臭い奴に決っている。


でも、手相オジサンのこの物静かな勧誘は何だろう。
本当に引込まれるのはこういった勧誘なのだろうと思った。すぐそこにある、悪意のない、親切に見えるもの。
こんな風にして人は誘いこまれ、どこかへ連れて行かれるのだ。


私が車両から下りるとその車両にはもうオジサン2人しか残らなかった。

電車から下りると外はまだ寒かった。

ジャングル大帝レオ。

オオカミ少年ケン。


ケニア。セレンゲティ。子どものころからの夢。ああ。なんて素敵な響き。


「ケニア・・・・・・・」

満員の地下鉄の中でその言葉は聞こえてきた。


シルバーシートに1.5人分づつの幅をとった、老女が二人。手にはたくさんの買い物袋を提げている。


「今更、ケニアじゃぁないわ。どこかもっと好いところを勧めてよ」不満顔の白い顔の真っ赤なくちびる婆さんが隣の婆さんをつつく。

つつかれたほうは、ふてくされて答える。

「そうは言うけれど、あなた行ったことないって言っていたじゃない。初めての国がいいって言うから」

「あーたに言っていなかった?うちの子はみんなケニアなのよ」


久し振りに定時に仕事があがったものの、連日の疲労で、吊革にぶら下がるのがやっとの私が意識を取り戻した。

うちの子はみんなケニア?


何だと言うんだ。ケニア育ちだとか、ケニアの子を養子にしてるとか?ケニア人と結婚したとか???

何事だ?


「あら、この前はパリだって言ったじゃない?」


え?パリだ?パリって花の都じゃないか。


「あれは娘。うちの息子はケニアにしてるの。だからお土産も写真ももう見飽きたわ」

息子って、もう40は過ぎた息子だろう??


「あら、ふん。そう」旅行のパンフレットを仕舞ながら、つつかれた婆さんは最初に見たときより、膨脹して荷物をぶんまきながら座り直した。


アンタ達がちょっと詰めたらもう一人座れるだろう。


「うちの子の卒業旅行はケニアって決めてるの。長男も次男も。言っていなかった?でももう、ケニアの話は聞き飽きたわ。あーあ、もっといいところないかしら。」


なんじゃ、自分が行ったわけではないんかい。

なんだよ。そんなんで、あこがれのケニアをクサすなよ。


「あ。」つつかれた婆さんがガバっと起き直した。

「あーたにいいところを教えてあげるわ。いいところ。」

「あら、?どーせオーロラとか言うんでしょ?つまんないわよ」


「ほら・・・・。あ・・・・・・・・。うん、やっぱり言うの止めるわ。あーた、何言っても貶すから。」

「言わないの?ケチね」

「○○○(くちを小さくして、あ。の。よ・・・・)」


そーだね、白婆さん、あんたにゃケニアには行って欲しくないよ。