働きアリのブログ -22ページ目

働きアリのブログ

働いても働いても遊べません

ブ太郎なしで動くぜ!

と決めた我々は、翌日、それでも出社してきた奴を目撃しました。


「え?ブ太郎来てるの?ソース直す気なんだろうか?」
「今更。無視。無視」

全員で無視だって言うのに、おバカな私はそれでもブ太郎に絡んでみました。


「明日(27日)までで、後、お休みされるんですよね?それまでに仕上がりますか?」
そう。あくまでも私は部下として聞いてみました。


「なんとかするよ」
憮然とブ太郎が答えます。


本当になんとかする気かもしれない・・・なんて私は解釈していました。


ブ太郎だって技術者の道を歩いているのだから、やばいと思ったのかもしれません。


27日、彼の休みの前日も出てきました。


会社に大きなスーツケース持参で。

ロッカールームにも入りきらなかったからか、明日から休みをアピールしたかったからか、

その旅行用のスーツケースはブ太郎のデスクの横に置かれました。


「お、ブ太郎、休む気満々だな」
「おまえ、その荷物で電車乗ってきたの?迷惑だなー」
「明日からお休みですか?いいですねー」

ブ太郎のそのスーツケースを見る度に、社員が声をかけていきます。

みんな、昨日の喧嘩騒動を知っているから、彼に対して冷ややかな視線を投げながら。

その日、ブ太郎はまだ4月だっていうのに、半袖Tシャツで過ごしていました。


「誰かに、旅行ですか?って聞かれたいのかしら?」Mちゃんが不機嫌そうに口を尖らせます。
「旅行?っじゃなかったら、夜逃げしかないじゃない」そう言って、Mちゃんをなだめました。


だって、私達はそんな遊び気分のブ太郎の分の仕事を代行しているのですから。

私達メンバーは、ブ太郎に一切の問い合わせをせずに彼の分のソースを仕上げていきました。


意地ですかね。



夕方になって、総務部長が呼んでいるとのことで総務がブ太郎を迎えに来ました。


「今からですか?」

ブ太郎が明らかに動揺しています。


何焦っているんだろう?
いや、いくら会社でも『解雇』はしないだろう?




「あの。今日は無理って、言ってください」

あ。ブ太郎、断った。


をを。仕事があるし、明日から休みだから、それどころではないと言うのですね?
リーダー任されただけの事はあります。

その時、私は彼をかいかぶっていました。


「えっと。無理って言えばいいんですか?」お迎えの人が尋ねます。
無理ってそのままは言えないでしょーねー。さすがに。



ぐずぐずしていたら、フロアの端っこに居る専務が、大向こうからブ太郎に声をかけます。

ブ太郎、早く行けよ」

昨日の件もあるし、総務部長に話しをもっていったのは、この専務に違いありません。



「あのぉ!オレ、飛行機に乗る時間があるんで!」


「それでも、ちょっとだから。話し、してこいよ!」


専務が立ち上がって、こちらに歩み寄ってくる。


「専務、オレ、友達の結婚式なんですよ。すぐ行かなきゃいけないんですよ!」
ブ太郎は誰と話しているのか、画面を見据えたまま立ち上がろうともしません。


「え?」


「結婚式、行かせてくださいよ!なんだよ。みんなで寄ってたかって。行かせないってか?」


やっと立ち上がったかと思うと、周りを見回して、誰とはなく、大声でわめき出しました。


「いや、そんな事言ってないぞ」


専務がブ太郎の肩に手をかけて(この人の常套手段だよなー。肩タッチ)、なだめています。



でも、その手をふりほどくと、ブ太郎がフロア全体をぐるりと見渡して、


絶叫!!


「オレがグァム行けなかったら、あんたらのせいだからな!」


あ。専務逃げた。(ずるい人だよなー)



ブ太郎、な。涙ぐんでる?


「なんだよ。結婚式、列席しちゃ悪いんですか?どいつもこいつも。言いがかりつけやがって!」


おいおい、泣き出した。



「仕事間に合わなかったからって、なんだよ」


を。こっち見た。

仕事をしに来てたんじゃないのか?



「グァム行くんだから」


行けばいいじゃん。こっちだって、あんたなんか居なくたって、仕事仕上げてやる。

グァムでもなんでも飛んで行けよ。



ブ太郎がしゃくりあげているのを他の社員は無視していました。


だって、ブ太郎のお休みは明日からかもしれませんが、他の人は明日も仕事です。

それどころか、私達はチームリーダーのブ太郎以外は全員、今日も明日も残業決定です。

知りませんよ。そんなの。



そうこうしているうちに5時のチャイムが鳴ります。
会社のではありません。

区の公園で子供に向かってアナウンスが流れているだけです。

「5時になりました。良い子はお家に帰りましょう」


ええ。悪い大人は5時にお家に帰れないんですよー。


その、アナウンスを聞いて、泣いていたはずのブ太郎はさっさか作業画面を片付け、PCの電源を落としています。


泣いていたんじゃなかったようです。

そんな暇があれば、総務部長の呼び出しに応対できたはずです。
呼び出しに応じたくなくって、演じていたのか、何なのか、ケロリとさっさか帰り支度をしています。



支度ができると、Mちゃんの机に手を置き、
「じゃ、お休みするけど、後、よろしく」
とメンバーに声をかけ、でかいスーツケースと共に、仕事場を後にしました。



あまりの代わり身の早さに私達はポカーンとしていました。
ブ太郎の旅行の行き先と目的は分かりましたが、だからといって私達の作業が減るわけではありませんが、
なんだか、空白というか、あきれるというか・・・作業の手が止まったのは事実です。


Mちゃんが、ブ太郎が手を置いた机に洗剤を吹き付けてペーパータオルで拭いています。


「後、よろしくってねー」

みんなで顔を見合わせるばかりでした。


つづく。。。。




さてさて。
最低限、コンパイル、単体テストまでしてから、リンクして動かす。

そんな当たり前なお作法っていうか、ルールっていうか、プログラマであれば当たり前なこと。


それぞれがディレクトリに突っ込んで、せいのって、ビルドかけました。


「あ」

最初に言ったのは、当時29歳。
歌うようにコーディングをするMちゃん。


「どぉれ?なんかあった?」年かさの私めがエラそうに椅子に座ったままずるずると彼女の席に移動します。

「あ」

「あ」


画面には、ずらずらとエラーの山が・・・スクロールしていく。


あーー。


「エラーが1000行を超したので表示できません」
画面にそう出た。


「エラーが1000行って」
Mちゃんが絶句した。


どした?メンバーが集まる。


当然、その中にはブ太郎は含まれていません。
奴は昼から帰ってこない。もう3時過ぎでした。


「どこ?え?アタシ??」とりあえず、私がやらかしたか?

「アリさんのは通った。私のも」画面から目を離さずにMちゃんが言う。


「あ。ブ太郎さんのだ」
そう言って空席のままのブ太郎の机をMちゃんが叩く。


いやいやいや。
でも、あることだよ。たまたま1行ずれることだってある。


「どれどれ・・・」と残りのオジサンたちがエラーのメッセージを読む。
どれも単純にそんな変数はないとか、範囲を超えているとか、つまらんメッセージが並ぶ。


「どっか、頭でなんかズレたんじゃん?」楽天家で通る人が言う。
「いや、これって、そんなんじゃなくって・・・」Mちゃんが顔をしかめる。


「!」


最初に気づいたのは私。

「これって・・・」
私達が開発していたのはC++
そこに展開されていたソースは、BASIC・・・・だろ?これ?
しかも、所々に<br>とか</body>ってタグが埋め込まれている。


明らかにどこかのサイトからちょっぱってきた(引用してきた)ものです。
一度もコンパイルしていないどころか、開発言語でさえありません。


「なんだよ?これ?」
そこに居た4人全員の言葉です。


「どーする?」
どーするって言っても。

本人に聞くしかあるまい。


ブ太郎が席に戻ったのは4時過ぎ。


誰が言うの?

メンバーがお互い顔を見合わすので、一番悪役になりやすい私が立ち上がりました。

みんな、ついてきてね?


「ブ太郎さん、ソースなんだけど」

「あ?ディレクトリに入れておいたでしょ?」

「あの、エラーが出るんですけど」

ブ太郎は名前の通り、がっつり固太りタイプの体型で、色黒でギョロリとした目で相手をにらむ癖のある奴だ。
アリは、当時(当時ですよ)、ガリと言ってもいい体型で、腰に手をあてて足を開いて立っていた。


ブ太郎が下から「あんだよ?」と見上げて、私が「何よ」と見下ろす姿は、Mちゃんに言わせると、

「あのとき、オリーブとブルータスが見えた」そうです。



「ああ。じゃぁ、直しておくから」ブ太郎がそう、吐き捨てた。


なんだよ?文句言うんじゃねーよ。みんなも見てるんじゃねーよ。
そう言いながら私に背を向けた。



「中、見たんですけど」


「あぁ?」ブ太郎は相変わらず背を向けたままです。


「あれ、いつまでに直すんですか?直らないでしょ?」


「直らないって何だよ?」ブ太郎がくるりと椅子ごと振り返る。


私の後ろに居た2人が「おい!」と言って前に出るので私が手を伸ばして止めた。

「あれ、BASICですよね?」
Mちゃんが高い声を上げる。


「ブ太郎さん、今回のCOMはC++ですよね?あのソースは何ですか?」
私は怒るとだんだん声が低くなるタイプです。


ゆっくり、責めるように低い声でブ太郎の目を見据えました。


「何だよ?文句あるのかよ?」ブ太郎も私をにらみます。

「やる気ないんだろ?」私の後手でも声が上がりますが、とにかく、止めていました。


手が出るとまずいですし。


「うるせぇーーんだよ!おまえら!オレのやることに口出すなよ!」
ブ太郎が両手で机を叩き、席を立ち上がりました。


「なんだ!おまえら?仕事しろって言うんだ!」
そこに居たメンバー4人の顔を一人一人のぞき込むので、


「他人の事、言えるの?」ついにブ太郎の前に立ちはだかってしまった私。


「やるのか?アリ?」ブ太郎がメンチ(顔近づけてにらむって事ね)切って詰寄る。


「なにをやるって?仕事やってよ!」
私も負けていません。をぅ!Mちゃんやら、メンバーやらに手出させてたまるか!


ピリピリとした空気が張り詰めます。




「おい、いいから、アリ、ちょっとこっち来いや」

フロアの端っこから、専務が声をかけてきました。

あー。そうだった。ここは路上ではなく、会社の仕事場でした。

すっかりバトルモードやっていました。
そこに居た社員、全員見てるし。

まっずいなー。

に、しても私が呼びつけられるんですか?この場合、ブ太郎を呼びつけるんでしょー?専務??


仕方ないので、専務のところでお小言聞いていたら、その間、ブ太郎、帰宅しちゃいました。

「あいつ、ぜってぇー許さねぇー」
「社会人、失格だよ」

などとメンバーから文句は出ましたが、言っても何も動きません。


「専務にも許可を得たから、ブ太郎の部分はみんなで手分けをしてやるしかない」
そう全員に告げると、当初組んでいた27日までのスケジュールを組み直しです。


まー、元々、ブ太郎はGW前後に長い休みを取るんで、居ないも同然。
なら、残ったメンバーでやるしかありません。

プロですから。


そうそう。専務からは、「お小遣い」と称して、2万円が入った封筒を受け取りました。
「再・キックオフ!」そう言って、その日は仕事帰りに焼き肉宴会となりました。


つ・つ・・続く。

別に自分は、優秀な社員じゃないし、どっちかってぇと、さぼっちゃうほうが好きなダメOLだ。


ただ、若い時に居た会社で「仕事の報酬は仕事」という言葉をもらい、「働きアリ」の人生を歩むこととなってしまった。

今だって、過去だって決して「清廉潔白」な人じゃなかったし、これからだって、「ずるい」「ダメ」「できない」の三拍子でやっていくんだと思うよ。



なにをいきなり。
知ってるよ。

ええ。ええ。その通りですけれど。



上司の裏切りも部下の脱走も、他社の出し抜きも、かませ犬になったことも、ええ、酷い目に散々会いましたが、同僚の裏切りほど痛かったものはありません。

いくつかあるんですが、その中でもこいつとは人生において、二度と仕事をしたくないってメガトン級のものをお話しします。


とある、ソフトハウスで7・80人位のSEを抱えるいわゆる孫請け中小のところに居たときのこと。
請負仕事でゴリゴリPG書いてたときです。
前のプロジェクトが大規模だったんで、次までの間、何かメンバーでやりたいと専務に申し出ていました。


「アリ、今度はリーダーを育ててよ」専務からお声が係りました。


中途採用で来たものをかき集めて、小さなチームを組みました。
約束通り、今回、私はメンバーで(笑)


5人しか居ないメンバーの一番歳かさの奴が、リーダーでした。
どっかでやってきたんだろうが、話しの要領得ないし、歳の割には、経験少なそうだし、なんか嫌な予感してたんだよね。
こいつが客先と話してきた内容がどーも、変。ブ太郎(仮名)としましょう。そのリーダーを。
他、4人はまぁ、そこそこ、素人じゃないし、ただ、仕様がブ太郎経由で伝わるので、イマイチ、呑み込めないでいました。

ものはCORBA 。2000年にCORBなんで、そこそこ新しいもんではあったかもしれません。
でも、まー、所詮、道具ですから、TK80 育ちの私にとっちゃ、屁でした。

(ここ、自慢です。おほほほ)


4月に始めた仕事はそう、丁度、今頃、ピークに向かいつつありました。
所詮、孫請け仕事ですから、仕様からコーディング、単体終えたところで、統合テストは、一次請けが客先でやるんだろーみたいな、適当な仕事でした。


そろそろ、
「GWどーする?」
なんて言葉が社内で挨拶になってきました。


だって、休みを先に宣言しないと、自分が休めなくなりますもんね。

「GWは29から10まで休むから」誰よりも早く、ブ太郎がそう宣言しました。
んーでも、この仕事、エンドは5末よ。


それまでに電文のテストパターンもらって来れるんだよね?


「どーする?」
残りの4人が顔を合わせますが、まー、ブ太郎がそう言うなら、仕方ないか。

普通、リーダーはそういうことしないけどね。



GWの間の客とのやりとりは残りで対応するしかありません。

フンふん鼻歌交じりのブ太郎が退室すると、メンバーでカレンダ―を引っ張り出し、スケジュールの詰め直しをしました。リーダーいらないよね。



結果。

27日までには、相互リンクまで行えること。

ブ太郎が休みだす前までに、少なくともうちのチームが担当する部分は動くまでにし、後はBUG潰しを行えるようにすること。

そうしないと、このプロジェクト終りませんもの。


「終ったら、皆でGW分の休暇を取ろう!」それを相言葉にしました。

リーダーひどいと、メンバーの結束がかたくなる、典型パターンね。


ブ太郎以外の結束は堅いものとなりました。

その日の帰り道、専務に声をかけられました。


「アリ、ブ太郎どう?」
ブ太郎さんはどっかでリーダーやってたんですか?」


ソフトハウスじゃ、お互い、前職を知らないから。あの歳だ、どっかで役職を務めていたのかもしれないし。


「初めてさ。知ってるでしょ?あいつ、いい加減だからさ」

いい加減は知ってるよ。あんた、いい加減な奴をリーダーに据えたんか?

「知りませんよぉー。ずるいなー」

「アリ、頼むよ。育ててやってくれ」


「頼まないでくださいよ」
育て直しなら、アンタ達役員が責任を持ってやってください。
そうでなければ、ブ太郎氏の御母堂にお願いしてくださいな。


25日になりました。
「じゃー、今日の日付のディレクトリにPG入れて。ビルドするから」


さて、コンパイルです。

お互い、プロです。ですよね??




新人の子は居ないし、4月頭から今までそれぞれやってきたんだから、まさか、コンパイルエラーはないよね?コーディング規約だってきっちり作ったんだし。


そういえば、やたらブ太郎氏はネーミング規約にうるさい奴でした。
ヒステリックな位にね。変な奴だな・・・なんて思っていました。


つ・・つづく(笑)