あのルイス・ヘイズさんとセッション | 寺久保エレナ 〜ニューヨークのサックス奏者の日々〜

先週、ドラマーのルイス・ヘイズとセッションする機会がありました。

ルイスは、かれこれ10年くらい知り合いで、最近は、家も近所と言うこともあり、お会いする機会も増え、当時のジャズシーンやミュージシャンについて沢山お話をしてくれるようになったので、私自身の記録も含め、少し書こうと思います。

 

私は、噂で「オスカーピーターソンは、ルイスヘイズに厳しかった。」と聞いたことがあったので、本当なのか本人に聞いてみたら。"We had a interesting relationship. (僕らの関係は、なんとも言えない仲だった)"と。ルイスによると、オスカーピータソンは、優しい穏やかなイメージがあるが、実際には、とても厳しく、特にベーシストには、厳しかったと。オスカーが気に入らなかったらすぐに帰りの飛行機のチケットが渡されて、翌日にパッキングをして帰らなければいけなかったそうです。ルイスは当時、Freddie HubbardやJoe Henderson、Kenny Barronや他にも音楽的に一緒に演奏したかったミュージシャンがいたが、オスカーのバンドは、休みの日までお金が貰える給料制だった為、良いディールだったそう。

 

オスカーのツアー中、ルイスがパーティーでエロール・ガーナーのレコードをかけたら、クビになったそうです。また別のツアーでは、ツアー中にクビになり、帰りのチケットを渡されて、パッキングをして帰ったら、また電話がかかってきて、やっぱり戻ってこいと言われてまた飛行機に乗って行ったりと。"You have to be tough to deal with Oscar (タフな人じゃなきゃオスカーと関係性を築くことはできない。)" ルイスは、そんなに厳しい事をされても頑張って耐えたのですね。最終的には、オスカーピーターソンとは、心が繋がった特別な存在だったそうです。

 

他にも、チャーリーパーカーがジミー・コブ(当時奥さんがDhaina Washington)「奥さんとCDを出したいのだが」と言い、ジミーが奥さんに尋ねたところ「I don't wanna play with that drunk mother ***** (あんな酔っ払いと演奏なんてしたくないわよ)」と断った話など。

 

ルイスは、女性のシンガーは、とても性格のきつい人が多かったと言っていました。しかし「Nancy Wilson was nice lady. (ナンシーウィルソンは、素敵な女性だった。)」と言っていました。

 

ルイスは、ワインが大好きなのですが、演奏が終わるまでは、頑なに飲みませんでした。自分なりのルールがあるようでした。セッション中も「次は、少し早い曲できる?練習したいから!」など、言っていました。あとは、ここでは説明できない爆笑話なども沢山聞かせてもらって、本当に面白くて、個性的なキャラクターです。

 

実際にジャズの黄金時代にいたプレイヤーが少なくなっている中、ルイスが沢山教えてくれるのでとても勉強になっています。何か、気になる質問があれば教えて下さい。興味深い質問であれば聞いてみます。