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‐韓国に進出した日本の独占企業の話 その4(見て驚く「一流企業」の数々)‐

 

 

上記で、韓国へ進出した日本企業社員その重役を写真付きで記しましたが、具体的に、日本独占資本「進出方法」「進出形態」について、お話していこうと思います。

 

主に4つに分けることができます。

 

まず第一は、日本の大企業の商品・プラント輸出のほとんどが、アメリカの経済援助(AID)等に食い込み、米国の資金を財源にする進出です。

 

これは三井物産アメリカ余剰農産物の南朝鮮に対する売り込みにも見られます。

 

通信機関係では「在韓アメリカ軍」を対象として、あるいは「韓国軍」向けの超短波無線を含む進出も挙げられます。

 

特筆すべき要員として、APA(在日米陸軍調達本部)を通じての輸出。品目としては、セメントの大部分兵員輸送車(トヨタ自動車による)および戦車(新三菱日本重工など)と多数にわたっています。

 

また、DLF(開発借款基金)による三井物産苛性ソーダ工場用プラント、当時の価格で総額20億1600万円の輸出契約(1961年)にも、同様の進出形態がうかがえます。

 

 

第二に、韓国『五ヵ年計画』事業・非計画事業に主たる対象をおき、プラント輸出、技術提携などに食い込もうとしている「日本独占資本」自身の進出の動きです。

 

電気開発事業自動車工業など、あらゆる産業にわたり進出し、元朝鮮電業の社長(戦前)であった日本工営の久保田豊は、南朝鮮(韓国)の電源開発調査を行い、すでに三陟火力発電所二号機(3万KW)建設には、日立製作所、鹿島建設が参入しています(『朝日新聞』63年1月7日 夕刊より)

 

日産自動車では、セナラ自動車と技術援助という形で韓国へ進出。韓国『五ヵ年計画』に直接食い込み、その特許料は販売高の4パーセントにも達しています。

 

また日韓会談政府間の経済協力の取り決めが出来てから、正式決定がなされる計画も多数ありと、一例として野村貿易豊国実業との間に、年産能力10万トンの過リン酸石灰工場用プラントの仮契約が出来ており、民間ベースで延べ払い方式によるものです。さらに、この内容についてみると、発電プラント富士電気、東海気罐による製造(出力1500KW)過リン酸石灰製造プラントは、その建設を日本化学装置(年産10万トン)酸製造プラント昭和硫酸工業(日産120トン)というように具体化されています(数字は朝鮮通信資料 No.2による)

 

 

第三に、中小企業を中心とし、大企業の一部を含めた『保税加工貿易方式』による進出です。

 

日韓経済協力推進者中心的人物であり、『コレアン工業』を設立している湯川康平<注>「保税加工は一種の治外法権だ。日本人が保税地域を申請すれば、その工場は日本人の所有権になる」と発言しています。

 

※<注>‐湯川康平 自民党同志会、日本中小企業団体連盟、東京都中小企業団体中央会、東京都火災共済組合理事、三井建設顧問、東洋化工建設、コレアン工業振興各社長、韓国鉱工業保税加工調査団団長

 

東京実業連合会では、韓国での中小企業の設備を利用する『日韓保税加工貿易促進協議会』(仮称)を結成することになり、高級衣類・革鞄などの保税加工を目論んでいます(『日刊工業』63年3月17日)。

 

これらの総評として、まさに「軍産複合体」と言えるでしょう。

 

次回は、この東京実業連合会(会長・黒川武雄<注>)「訪韓目的」について、ご説明していこうと思います。

 

※<注>-黒川武雄 東京実業連合会会長 現(当時)参議院議員、岸内閣で厚生大臣を務める

 

 

<参考資料>

 

・『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮』第3巻 勁草書房

 

 

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