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‐シリーズ・『図上作戦計画』に迫る その2(アジア朝鮮情勢②)‐

 

 

 

『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮』第3巻 勁草書房(二七三~二七四頁より)

 

 

韓国情勢の推移に伴う国策要綱(要旨)

 

(昭和X、七・二一 閣議決定)

 

現下の情勢、特に朝鮮半島における武力戦の進展に鑑み、共産陣営からの直接の侵略が遠からず我が国に対しても生起することは、もはや免れ得ないものと判断される。

 

よって政府は、民主主義を基調とする我が国の独立と安全をはかり、かつ世界恒久の平和に寄与するため国防の基本方針の主旨に則り、広く国民の理解と協力のもとに、次によって我が国策を推進することに決定した。

 

 

一、自由陣営諸国との友好関係を推進し、なしうれば韓国との国交回復をはかる。

 

(筆者注:この防衛庁・統幕会議承認のもとにまとめられた『三矢研究』文書は、昭和38年<1963年>に書かれたものです。日韓国交正常化は、この文書が明るみになった1965年2月10日から4か月後の同年6月22日『日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約』を経て、年末12月18日に国交回復。)

 

※外務省ホームページ-日韓国交正常化50周年(2015)

 

https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page3_001097.html

 

 

二、日米安全保障条約の適切な運営を期する。

 

三、侵略に対処するための自衛隊の態勢を速やかに整備すると共に、逐次その能力を強化する。

 

四、警察等治安関係機関の能力を強化すると共に民防衛態勢を整備する。

 

五、国民の防衛意識を高揚し、国内革命勢力を排除し、前三、四項と相まって官民一体の防衛態勢を確立する。

 

六、心理戦活動を強化する。

 

 

前各号に応ずるため所要の立法、予算措置を講ずると共に関係施策を推進する。この要綱の実施要領を別紙の通り定める。

 

別紙第一、用兵の基本に関する事項

 

別紙第二、外交および安保条約の運営に関する事項

 

別紙第三、経済に関する事項

 

別紙第四、要員に関する事項

 

別紙第五、民防衛、治安に関する事項

 

別紙第六、心理戦に関する事項

 

別紙第七、国防中央機構の整備に関する事項

 

 

「民主主義」「世界恒久の平和」

 

これらの文言は、かつて「アジア解放」「大東亜共栄圏の確立」というワードで、自国の戦争行為を正当化していきましたが、時代や体制が変われど、『戦争をしたい人たち』は、自らの肩書や主張を変え、その行為を正当化しようと常に能動的です。

 

これはもう基本中の基本で、「外部の脅威」を煽り、戦争を画策するという、誰もが理解できる行動パターンで、もはや王道テンプレート、しかし間違ってはいけないのは、現在の日本国首相である安倍氏が「極右」「戦前回帰的」だからそうなったのではなく、日本が「自由主義陣営」に入った時から、そうした流れは常に存在していました。

 

ゆえに、彼はその一部でしかありません。

 

そして最後に気になったのが、当文書(参考書/二七四頁掲載)の項目六『心理戦活動を強化する。』についてです。

 

冷戦態勢は終われど、今でも北朝鮮や中国への露悪的報道は絶えません。テレビや新聞、かたやインターネットでも、最近はトレンドのYOUTUBEを筆頭に、見て見てこれこれの具合に、デカい文字でサムネ編集された「政治動画」が蔓延り、これも一種の『心理戦』なのかなぁと、彼ら彼女らは自分たちの発言に責任は取らないし、常に言いっぱなしのところも気になります。

 

2018年8月7日午前6時現在の状況

https://www.youtube.com/watch?v=wHD1G77FzCc

 

 

その一例がこれ。

 

たとえば、日本語YOTUBEで「習近平」と検索をかければ、このような動画でワンサカ溢れかえります。内容は、明らかに「特定の立場」に立ったものばかりで、はたして情報の在り方としてよろしいのでしょうか。

 

他にも、北朝鮮や韓国、そして在日コリアンに対する、これらの「ネガティブソース」は、見る人達に様々な感情を及ぼし、分断や差別を生み出し、『現状の態勢』をより強化していくように見えます。

 

もちろん、それは安倍政権に利するのではなく、その「向こう側」の、今の日本における立場を支持してやまない人たちにとっての構図です。

 

 

<参考資料>

 

・『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮』第三巻 勁草書房

 

・外務省(Ministry of Foreign Affairs of Japan) ホームページ 『大韓民国』 日韓国交正常化50周年(2015)より

 

https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page3_001097.html

 

 

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