前回の記事
‐韓国に進出した日本の独占企業の話 その1(加速するアメリカへの依存)‐
こちらの方で、アメリカによる韓国建国と、その支配体制についてご説明しましたが、今回ももう少し続きます。
主に南朝鮮(韓国)における隷属資本は、アメリカの東アジアに対する「帝国主義」と直接に結び付き、生産の大部分はその隷属資本に集中しています。
設備投資については、アメリカの「資金援助」によって賄われ、原料は米国の余剰農産物を輸入し、その特恵を受けています。
アメリカの援助に「寄生」した隷属資本の利潤量は、相対的にも絶対的にも良く、一切の犠牲は一般国民の上にのしかかり、さらにアメリカの経済援助の見返り資金の80%が軍事費にあてられており、この軍事費で養われる韓国軍は、アメリカの植民地支配を支える支柱となっています。
隷属資本は、さらに金融支配を目標として、銀行帰属株の払い下げ(1953年第一次~1956年第七次)によって、韓国における金融支配網を確立していきました。
【注】1954年から1963年に至る9年間アメリカの銀行に対する援助金貸し出しは、朝興銀行、韓国銀行、商業銀行、ソウル銀行、第一銀行に対して行われ、平均比重が6.2%になっています。これは日本銀行が市中銀行に対して占める比重と大差ないところを見ても、アメリカ国家資本支配を強く受けていることがわかります。
1964年5月アメリカはドルの対韓レートの引き上げを行いました。アメリカが占領19年間に行ったレートの変更は14回目となりました。
ドルの対ウォン・レート引き上げは、次のような効果を生みます。
①少ないドルで多くの見返り資金を得ること
②国家財政における地位を強化させること
③対米従属を強めること
④韓国労働者とアメリカ産輸入原料の収穫を強めること
➄アメリカ資本の進出を容易にすること
以下のような、韓国(南朝鮮)における経済支配は、アメリカ独占資本の国際的支配、植民地体系の一つとして存在し、韓国における民族産業の発展の経済的基礎もすべて奪われています。
【注】南朝鮮には現在(当時の記述)「財閥」と呼ばれる隷属資本があります。
・三星財閥━「三星物産」「第一製糖」「第一毛織」「韓一銀行」「朝興銀行」等
・開豊財閥━「開豊商事」「大韓セメント」「大韓製鉄」「ソウル銀行」等
・三護財閥━「三護貿易」「朝鮮紡績」「第一銀行」等
このほかにも十数の財閥があり、共通した特徴はアメリカとの「貿易業」━アメリカ余剰農産物処理工場━いわゆる現地民収奪のための銀行━などの性質を抱えています。
これらに見られるように、独立した資本主義社会における一般的な規定における「財閥」とはかけ離れた存在で、いわゆる経済学的概念として本来的な意味における韓国の財閥と捉えることが出来ない指摘があります。結局のところ、これらの財閥はアメリカの植民地支配における末端機構として存在しているとされています。
<参考資料>
・『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮』第3巻 勁草書房
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