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おじさんの話

おじさんは今日も通りを歩いていた。


外出すると、いつも同じおじさんを見かける。

バス停で。

横断歩道で。

今日は銀行の前で見かけた。


彼はいつもこの界隈を歩き回っているおじさんだ。

2、3歩歩いてはくるっと後ろを向いて、また何歩か歩いたりしている。

おじさんは見るからに汚そうだ。

髪の毛はぼさぼさで、薄汚れたトレーナーとジャージのようなものを着ている。


いつから彼の姿を見かけるようになったのか、覚えていない。

でも私が小学生の時にはいなかったような気がする。


はじめはおじさんに会うといやだなあと思っていた。

おじさんが近づいてくるとどきどきした。

話しかけられたらどうしよう。


今でもおじさんに出くわすと嬉しくはない。

どちらかというと会いたくはない。

でもあまりによく見かけるので、嫌な感情が少し薄まってきたような気がする。


見かけると、ああ、おじさんだ。と思う。


彼は誰かに話しかけたりはしない。

特に誰かに接触する姿も見たことがない。

ただ歩いているだけだ。

そしてごみ箱をのぞいたりしている。


おじさんは車道を歩いていたりする。

今にも車に轢かれそうな際どいところを行ったり来たりしている

危ないなあ、と見ているとはらはらする。

けれどまた何食わぬ顔で歩いているので、事故に遭ったりはしていないみたいだ。


私が外出する時におじさんに出会う確率はたぶん60%くらいだと思う。

かなりの高確率だ。

おじさんとは行動範囲が似ているのかもしれない。


帰り道、おじさんのことを考えつつえびマヨおにぎりを食べながら歩いていたら、コンビニの前でまたしてもおじさんに出くわした。

一日に二度も会うのはめずらしい。


おじさんはまたしても車道を歩いていた。

おじさん、危ないよ、と思いながらじっと見ていたら、どうやらおじさんは無秩序に歩いているように見えて、ちゃんと走っている車の様子を窺って、車を避けながら歩いていたみたいだ。

そういえば、ふらふらと歩いているように見えて、足どりは結構きびきびしてるもんな。

少し安心した。


おじさんは私のことを知っているだろうか。

たぶん、知らないのだろう。

ただ、私が一方的に見付けて、

あ、おじさんだ。と思うだけだ。


明日もおじさんに会うだろうか。

明後日も。