△▼△▼△▼△▼△
会いたい、んだもん #3
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は、川沿いにいた。
私の情けない主張に、先生は「すぐ行く」とだけ返事して電話を切り、それから20分経たない内に、また先生からの電話が鳴った。
ルームウェアにコートを羽織ったという出で立ちで、リビングから何事?と顔を覗かせたお母さんには、斗真に会ってくると嘘をついて、家を出た。
先生の車が家の前に横付けされていて、開いた助手席の窓から先生が乗れ、と短く命令した。
そして、車を走らせて、人気のない川沿いに来た。
「先生、」
「会いたいなら会いたいと言え」
「あ……その、」
「お前にはやはりまだ躾が必要だな」
運転席から腕が伸びてきて、不自然な体勢で抱き締められた。
額に当たる先生の服のボタンが少し痛かったけど、とても安心できて、目を閉じた。
ポンポンと撫でられる背中が温かくて、口では躾とか怖いことを言ってるのに、優しくて泣きたくなった。
「先生、私……先生ともっと電話したい」
「そうか」
「テレビ電話したい、」
「そうか」
「ショッピングに行きたい、遊園地に行きたい、アイス食べたり、映画見たり」
溢れだした我が儘に、先生は相槌をたくさん打ってくれ、先生としたいたくさんのことを吐き出した私は、少しだけすっきりした気分になった。
「今は無理でも、いつか出来ますよね?」
「そうだな、」
先生は私をそっと離すと、眼鏡の奥に意地悪な瞳を見せて言った。
「お前の『先生』がなくなったら、1つくらいは叶えてやろう」
「え…?」
「それまでは願望は願望のままだな」
「っ、頑張ります、先生!」
先生は私の額を小突くと、「まだまだだな」と楽しそうに笑ったのだった。
△▼△▼△▼△▼△▼△
おしまい。
真山先生、優しくなってしまったー。