『クルピさんにあって、ソアレスさんに無いものって何なんだろう?』
このテーマは、今シーズン、セレッソになかなか結果がついてこなかった時に、一人でよく考えていたんですよね。
いろいろと巡らせた中で端的に出た自分なりの答えとして、
「クルピさんは、サッカーの理論や理屈・セオリーを知った上で、それを大切にしつつも、時にはそれを打ち破るリスクを負えるところかなと。
これって、実は凄いことだなと、改めて。」
一方、
「ソアレスさんは、サッカーの理論や理屈・セオリーを大切にしすぎて、そこから抜け出す術を最後まで見つけられなかったのではないかなと。」
クルピさんは、選手時代、CB出身であり、常に後ろからサッカーを見ていたので、よくサッカーを知っていると思うんですよね。
ソアレスさんもボランチの選手ですから、チームのヘソ・舵取り役としてサッカーの攻守について知識は豊富だと思うんです。
同じように、サッカーの知識は豊富にあると自負していると思います。
ただ、クルピさんのサッカーは、理屈やセオリーがありつつも、所詮、プレーするのは人間といういい意味での割り切りがあると思うんです。
人がプレーするからこそ、思い通りのパフォーマンスができるときもあれば、できないときもあり、また、想像を超えるプレーをやってのけるブレークスルーも見てきたんだと思います。
だからこそ、時には、バランスを無視しているかのような攻撃偏重なシステムも思い切ってできますし、そのバランス補正は選手たちで補えばいい。 との考えにも至っているように思います。
だからこそ、チームを約束事やルールで雁字搦めにするのではなく、人の伸びしろや人の能力を最大限に生かした形のサッカーを模索しているように思います。
ルールを最低限にして、あとは、自分の良さを発揮するためにどうしたいのかを要求しあって、練習や試合で擦り合わせていけといった感じなんだと思います。
だからこそ、クルピさんが開幕当初から毎年のように出る言葉として
「開幕から10試合程度こなさないとチームがフィットしない」というのはそういうことなんだと思います。
一方、ソアレスさんのサッカーは、将棋やチェスを見ているような感じがしました。
無機質なものに役割を与えて、役割以上のことはさせない。
個の力よりも、組織としての規律を重んじる感じでしょうか。
しかし、プレーしているのは人で、好不調の波があり、役割通りのことができない場合もあります。
それでも、ソアレスさんは、チーム内のルールや役割にすごくこだわっていたように思います。
別の言い方をすれば、「サッカーにおける攻守のバランス」にすごく重きをおいた監督だと思います。
それはそれで、非常に大切なことだと思いますが、少なくとも攻撃はどこかでチャレンジして、バランスを崩すような形で数的優位を作る形や、個々の突破で、相手のバランスを崩させることをしていかないといけない訳ですが、その選択肢が極端に少なかったように思います。
雁字搦めに作ったチームは、試合の中での修正能力が無く、一度ゲームプランが崩れれば、修正不能のチームでした。
ソアレス監督で、リーグ戦での逆転勝利は、“0”です。 ゼロ。
要するに、先制点を奪えなかった試合で、勝点3は無かったということです。
得点力も無かったのですが、それだけ、修正能力がこのチームには無かったことを如実に示す数字だと思います。
クルピさんに与えられた試合は残り11試合、期間にして約3か月。
クルピさんが、今のチームにどのようなアプローチをしていくのでしょうか?
正直、チーム構築の方法からしても、短期間で結果を出すことが得意な監督ではないように思います。
そんな中で、どういう形でチームが変わっていくのか?見物です。
今のベースを元にして、徐々にクルピさんの色を出していくのか?
それとも、一気に自分のやり方にゴロッと変えていくのか?
場合によっては、短期間での特効薬にならない可能性もはらんでいると思います。
残り試合も、期間も限られた形であるだけに、その舵取りに注目したいですね。
また、今までベンチやベンチ外だった選手はモチベーションが上がっていることと思います。
そういった選手を積極的に使って欲しいところです。