主催:特定非営利活動法人「HANDS」 / 「虹プロジェクト」
「ケニア料理を作って、食べて国際協力」
2011年8月1日~2011年8月7日は世界母乳育児習慣だ。
ケニアでは16人に1人の割合で1歳になれない子がいるという。勿論貧困やその他原因は様々あるが、その中の1つに母子保健の指導教育が、行き渡っていないという現実がある。母親は産んで2~3日して特産品である広大な紅茶農園に直ぐ働きにいってしまい、母乳で育てる努力をしなかったり、知らなかったりもするという。
母親が農園に行っている間は、祖母や祖父が乳児の面倒を見る訳だが、その期間も生まれて直ぐにパンや離乳食(現地では「ウジ」という、トウモロコシの粉から作ったお粥)をあげてしまい、当然母乳で育てる段階では、
下痢や感染症で亡くなる。乳児が1歳になれる割合は16人に1人という割合とのこと。
因みにアフガニスタンでは5人に1人しか1歳になれないそうだ。
勿論、政府や世界中から「HANDS」さんの様に、母子保健の教育や指導を行う活動は行われているが、あらゆる民族や宗教が入り混じっているので指導しきれない部分や、親や家族がそれを心から良かれと思ってやっている場合もあるので、強い介入も出来ないとのことだ。
他所のボランティアは、勉強や学問の教育という方に力を入れる団体が多く、勉強だけではない教育を活動の主軸にする団体が少ないというのも理由の1つだ。
その中で、「HANDS」さんと「虹プロジェクト」さんは、そういう話を、ただ勉強するのではなく、ケニア料理を実際に作ってみて、食べながらその国を知ろうという企画を今回打ち立てた。
知らない国を知ろうと思ったら、食文化を知ることも1つの手だ。
そんな話を聞きながらお米やケニア料理を噛み締めていると、当たり前の事が当たり前ではなく、今、普通に食べられる事の幸せを改めて感じる事が出来た。
食後のトークゲストは、「HANDS」さんからは国際助産婦さんの井出りえ氏・「虹プロジェクト」さんからはケニアでの現地経験が長い建築士の坂田泉 氏と、そしてケニアから日本に出てきて12年になる同じく建築士のDick Olango(ディック・オランゴ)氏を調理指導&、トークゲストとして迎えてイベントは行われた。
井出りえ氏の言葉は冒頭に書いたとおりだが、
ディック氏は、日本に来た時には英語しか話せず、それでも努力して努力して、日本の大学に入り建築士の資格を取得されたという。
もう12年日本にいるとのことだった、やがて、12年経ち、やっと祖国に恩返しをしたいという気持ちになったという事で、生き様そのものが彼の性格や人間性を物語っている。因みに「虹プロジェクト」という名前は、虹の「二次の動き」とBridge(ブリッジ)の架け橋をかけているとのこと。
又、建築士の坂田氏が言われるには「日本人の次世代の危機感が足りない事を心配している」という事と、
「Realize(リアライズ)」という言葉には、「現実化する」という意味の他にも「気付く」という意味があり、ここに着目をして、「相手の欲している事に気付く人、気付いてそれに対して動き、具現化する人」(「リアライザー」)という人間像の型を提唱されていた。きっとその人間像の人は、とても純粋で魅力的な人なのだと思う。人の「痛み」が解り、自身のミッション(勿論他人に迷惑をかけない範囲で)に照らし合わせて、人はどうでも私はこうっ!!という自分の価値観を持った人なのではないかなと感じた。
今回のケニア料理のメニューは、(リンクは参考にされたレシピとのこと。)
・カチュンバリ(ケニア風サラダ・レモンなどでキレのある上品な味付け)
・ピラウ(牛肉のピラフ。坂田氏が言われるには「ケニアでは牛肉が手に入り易い為、牛肉を使った料理が多い」という)
(↑つながり辛い時にはこのURLをコピペして下さい→)http://cookpad.com/recipe/print/742312
でした。
その他に、ウガリに水を入れてコネる時に水の量を増やす「ウジ」というお粥(=冒頭に出てきた離乳食)が、サンプルとして振舞われた。
火を入れる前のトウモロコシ粉の感触は、ザラザラとしていて、ちょうど砂糖の様な質感だった。さらに鍋で火を入れながら練っても意外に焦げない。ディック氏の指導の下、トウモロコシ粉に水を入れ、火を入れて、木ベラでコネ続け、粘りが無くなりブツリと切れるぐらいの硬さ(実際に水分が飛んで粘りが無くなり硬くなっていく)が丁度良いウガリだそうだ。火加減は中火~弱火、なんとなくカスタードクリームを作る時に似ている気がした。
我々参加者が作ったのはウガリとサラダまでで、ピラウとカランガは「HANDS」さんのスタッフさん達が既に作られていた。
偶々、早く会場について、ドアをガラッと開けた時に、スタッフさん達が大急ぎで必死に作業をされていて、場所取りや仕入れ、こういう見えない下準備が一番大変で大事な所なのだなと、10年間続いた「HANDS」さんの底力の1つを垣間見る事が出来て良かった。
この小さな力の結晶が、拡がっていく様な世の中を作らなければならないだろう。それを拡げるほんの少しのお手伝いをする事がメディアという存在の使命(ミッション)だと思う。