母性という言葉はピンと来ない。
少なくとも私には無い。
子供を見ても何とも思わない。
可愛い子は可愛いけど、大抵は煩いだけ。

人に対する愛情が欠如しているのかもしれない。
でも、誰でも本音はそうだと思う。
表に出すといけない事だから隠しているだけ。
だって、皆、内心では人の不幸を喜んでいるでしょ?

上辺だけで取り繕っている。
それに気がつかないと自分だけ変なのか、とか悩んでしまう。
将来の夢の様なものは無かった。
大人になったら何になる?と聞かれても、何も浮かばなかった。
作文や図工の時間に苦労した。

夢を抱けるのは幸せな証拠だと思う。
現実を憂う事に精一杯で、将来なんて考えなかった。
衣食住に苦労した訳ではないけれど、何かに飢えていたのかもしれない。

初恋とかも覚えていない。
友人も、数える程も覚えていない。
何となくモヤモヤとした感じでしか分からない。
名前や顔は記憶に無い。

昔の写真を見ても、自分しか分からない。
今、私の人生に関わった人たち全員と会ったら、何人の事を思い出せるだろうか。
多分片手で足りそうだ。
ボケているのではないかと思うくらい。

多分、他人に全く興味が無かったのだろう。
会うたびに母親は言った。
「お母さんと暮らしたくはない?」
勝手に出て行ったくせに、とは思わなかった。
ただ、母親を選ぶと父親と離れる。
そんな選択は出来なかったし、したくなかった。

どうしたいかと聞かれても、分かるはずが無い。
元のように皆で暮らしたい。
それしか思わなかった。

父親は、母親が帰ってくるように毎日お祈りしていた。
寝る前には一緒にお祈りした。
母親には、新しい家族がいるのに。

今は離婚、片親は珍しくないと思う。
当時は割と珍しかった。
少なくとも周りには、1人も居なかった。

誰にも、何も相談出来なかった。
何も出来ないから、悩む事も無いのだけれど。
いつも何かが心に引っかかっていた。