”惑星ソラリス” | 浮遊家具

浮遊家具

黄斑変性症 SLE 双極性障害を機に始めました 社会から逃れ家の中だけにいる自分 浮かんで漂う家具のよう 治癒は進み 今は映画 写真 大好き YAHOOからの引っ越しでコメント、いいねがまっさらになってしまいました また 始めたいと思います よろしくお願いいたします

 

 

 

 

 

アンドレイ・タルコフスキー監督の1972年の映画『惑星ソラリス』(原題:Солярис)は、スタニスワフ・レムの同名小説を原作としたサイエンス・フィクション映画です。この映画は、深遠な哲学的テーマや美しい映像美、そして人間の内面に迫るストーリーで知られています。

あらすじ
物語は、心理学者のクリス・ケルヴィンが宇宙ステーションに派遣されるところから始まります。ステーションは、謎の惑星ソラリスの上空に浮かんでおり、そこでは奇妙な現象が起きています。ケルヴィンは、ソラリスの海が人間の潜在意識を具現化し、彼らの深層心理に基づく「訪問者」を送り込むという事実を発見します。ケルヴィン自身も亡き妻のハリーと再会し、彼の過去と向き合うことになります。

感想
『惑星ソラリス』は、単なるSF映画の枠を超えて、人間の存在や意識、記憶、愛と喪失といったテーマを深く掘り下げています。以下に私の感想をまとめます。

映像美と演出
タルコフスキーの作品に共通する特徴の一つは、その詩的な映像美です。長回しや自然の風景を多用し、観客に深い没入感を与えます。特に、ソラリスの海の描写や宇宙ステーション内部の無機質な美しさが印象的です。

哲学的テーマ
映画は、人間の記憶や意識、罪悪感といったテーマを探求します。ソラリスの海が具現化する「訪問者」は、登場人物の心の深奥にあるトラウマや未解決の問題を象徴しており、彼らがそれにどう向き合うかが物語の中心です。これは、人間が自己と向き合うことの難しさや、過去の出来事が現在にどう影響を与えるかについての深い洞察を提供しています。

演技
主演のドナタス・バニオニス(クリス・ケルヴィン役)を始め、全てのキャストが非常に説得力のある演技を披露しています。特に、ナタリア・ボンダルチュクが演じるハリーは、悲しみと希望が交錯する複雑なキャラクターであり、物語の感情的な核を形成しています。

テンポと長さ
『惑星ソラリス』は非常にゆっくりとしたテンポで進行します。このテンポの遅さは、現代の観客にとっては挑戦となるかもしれませんが、物語の深さやキャラクターの内面をじっくりと描写するためには必要な要素です。この点において、映画は観る者に忍耐を要求しますが、その分深い感動をもたらします。

結論
『惑星ソラリス』は、SF映画でありながらも非常に人間的で哲学的な作品です。視覚的に美しく、テーマは深遠で、演技も優れており、観る者に深い思索を促します。現代のハリウッド映画とは一線を画すそのスタイルは、一部の観客にとっては敷居が高いかもしれませんが、SF映画や哲学的な映画が好きな人にとっては必見の一作です。