今年の7月歌舞伎座で『裏表太閤記』の上演が決定と

先日、歌舞伎美人にての発表がありました。

この作品は1981年4月に明治座で上演されたものです。

その時の狂言名題は『千成瓢猿顔見勢(せんなりひさごましらのかおみせ)』
当時は昼夜にわたっての通し狂言でした。


千成瓢とは豊臣秀吉の馬印の事で猿は文字通り三代目猿之助(猿翁)旦那が
豊臣秀吉の出世物語に関わる人々を裏表に描いた作品です。

違う形ですが後年、梅田コマ劇場にて再演もされおります。



これを例にって短縮して7月歌舞伎座の夜の部に『裏表太閤記』
「千成瓢薫風聚光(せんなりびょうたんはためくいさおし)」

として上演されます。

どの様に書き換えられるか、とても楽しみですね(笑)


7月に私の出番があるかどうかはまだわかりませんが、もちろん
43年前には私も出演させて頂いておりました。

この作品のちょっとした思い出を・・・(笑)


43年前のこの作品の昼の部の最後の狂言は、当時猿と云われていた秀吉が
見たと云う夢の場面でして、同じ猿つながりの舞踊劇で
その主人公は孫悟空でした。

後年、歌舞伎座でも上演された事のある『華果西遊記』の原型がここにあるのです。

もちろん孫悟空は猿翁旦那で、悪の化身を滅ぼして最後に宙乗りで
3階客席へ飛んで入るのですが、その後に子ザルが2匹
「お~い親分 待ってくれよ~」と親分の後を追いかけて
同じく宙乗りで3階客席へ入って参ります。

この時の子ザルが故猿十郎さんと私の二人、いや2匹でした(笑)
この写真は『猿之助の歌舞伎講座』と云う本にも掲載されております。

踊りながらの2人宙乗りで楽しく入った後、舞台では夢から覚めた
木下藤吉郎(猿翁旦那)が出陣の支度を終えて馬上にて陣取っておりました。


悪を滅ぼした3匹の猿、つまり三つ猿(猿翁旦那の家紋)
「この戦、勝利の兆しじゃ」と勝どきを上げて昼の部が幕となりました。

私と猿十郎さんの記念すべき初宙乗り(笑)

今回の上演に際してその場面があるかどうかはわかりませんが
なつかしい作品が再演されますね。

当時の興奮した宙乗りの時の状況を思い出しました(笑)

明日は夜の部のもう一つの思い出を書かせて頂きます。