昨日、京都の清水寺での「今年の漢字」の発表がありましたね。
今年ももうそんな時期なのですね。

漢字は『税』ですか?  今年はちょっと予想外でした。

『税』の文字は数年前にもありましたし、あまりにもストレートすぎのような気がします。

もう少し気の利いたものがあったような・・・
それにしても ここのところの毎年、暗い文字ばかりで少し残念ではありますが・・・。



さて、こちらも恒例の我が家の「今年の漢字」ですが・・・。

今年は正直、私にとりましては稀にみる最悪の年となりました。

思えば、昨年の我が家の漢字は「動」でした。

コロナの停滞から 少しいろいろなものが動き始めました。

さらなる活動を信じて始まった今年だったのですが・・・




2月の博多座『新・三国志』出演中、膝の故障のために途中リタイヤ。
歩く事さえ厳しい状況に・・・。

3月白内障の手術、
4月11日間の入院、膝の人工関節への置換手術、
5月舞台復帰するも公演中の猿之助さんの事件、段四郎さんご夫妻ご逝去。
6月私、歌舞伎座出演中も猿之助さんが逮捕される。
9月南座『新・水滸伝』公演中に師・猿翁旦那がご逝去される。

今年は大変な出来事がいくつも重なりました。



そこで、我が家の「今年の漢字」ですが・・・。

『歩(あゆむ)』です。

これは、今月考えたのではなく、もうすでに私の中では「今年の漢字」として

かなり前から存在しておりました。

膝の故障のために「歩」く事さえ困難になりました。

直前まで舞台には立っておりましたので、おそらくお客様には実感が沸かないと思いますが、

舞台上では「歩」き、走り、駆け抜けておりましたが、一歩舞台を降りますと、

何かに掴まらないと、杖がないと一歩も歩く事が出来ない状態でした。

 

休演後の帰宅時、福岡空港の搭乗口までがはるか遠く、羽田の移動が果てしない。

家までのほんの5分の距離が、30分近くかかり、気を失いそうな痛さ。

手術までの1ヶ月半。

「ひょっとしたらもう歩けなくなるのかも・・・?」と覚悟した時もありました。

それが手術で「歩」けるようになりました。

壊死してしまった部分を取り除き、人工物に換えて また再び自力で歩むことができる。
医術の進歩を感じずにはおられませんでした。

再び舞台上で 自分の足で歩けるようになった途端に、

私たちの先頭を独立独歩 突き進んでおられた方が、突然にその歩みを止めてしまいました。

今でもこの事については、申し上げる言葉が思いつきません

そのくらいの衝撃でした。

 

ですが、私たちは歩みを止める訳には行きませんでした。

舞台がある限り、お客様がおられる限り、一歩一歩進むしかありませんでした。

また、その後の色んな出来事に対しても立ち止まる事無く、
ただひたすらに 歩み続けなければならない状況でした。

振り返ると、歩みが止まってしまうかも知れない、歩むのにためらうかも知れない。

今は前をむこうと。

前を向いて歩み続ける・・・。
そんな一年でした。


これだけの事があった年ももうすぐ終わります。

はじめは、少し歩くだけで違和感を感じていた膝も、少しずつ歩める距離も増えました。

思い切って行った「あま旅」で一日一万歩を連日続けても大丈夫でした。

 

その後の「ほく旅」は連れて行って下さるツアーと思いのほか、案外歩行距離が多く、

気がついたら連日一万歩を軽く超えました。

 

もう行けないかなと思っていたテーマパークも、USJを二日連続楽しめました。

 

歩く事への恐怖もなくなりました。


来年は私の当たり年の『辰』
前を向いて歩くのはもちろんですが、笑って歩めるような年になる事を祈ります。