猿翁旦那の『小鍛冶』から今回の上演まで24年の歳月が流れております。
なかなか上演しにくい演目という理由も以前に書かせて頂きました。

 

童子と稲荷明神の二役はもちろん猿翁旦那の持ち役。

ですが三条小鍛冶宗近のお役は段四郎さんも勤められた事がありますが
わりとゲストの方が多く 富十郎さんや、十三代目仁左衛門さん 
坂田藤十郎さん 勘三郎さんと云う面々が勤められております。

 

今回の『小鍛冶』の猿之助さん、中車さんはもちろん初役です。

猿之助さんの童子、後シテの稲荷明神 この二役の衣裳は決まりものですが、
中車さんの序幕の三条小鍛冶宗近の衣裳は今回新たに作られました。

 

 

着付け大口袴の上にお能や歌舞伎によく登場する「水衣(みずころも)」
と云う衣裳を着ております。

『勧進帳』の弁慶や義経 四天王などもみな着ておりますね。

 

三条小鍛冶宗近の「水衣」の生地の色は紫紺と云うのでしょうか?
少し濃い青にお家の菱おもだかの紋と、水におもだかの柄が
あしらわれております。(写真を掲載できないのが残念です、)


このデザインは初めてで 中車さんの為に誂えられたそうです。
このデザインにするとおもだかや一門の人でないと 
この衣裳を着ることが出来ませんね(笑)

 

またいつかどこかで『小鍛冶』再演があると云う事でしょうか?(笑)

もっとも「水衣」は『小鍛冶』だけの衣裳に限りませんが・・・。

 

 

今日は楽屋廊下を通る時 ちょっと覗くと猿四郎さんが座っていたので
思わず写させて貰いました(笑)

 

猿四郎さんのお役は『小鍛冶』の中車さんの後見です。

 

本来ならおもだかや一門で、まとまって楽屋に入るのですが
現在は時間差出勤 ソーシャルディスタンスの為に各一門一人ずつ
バラバラで各楽屋に入っております。

 

いつもなら出番が同じで待機していても支度する時も一門で
ワイワイと賑やかなのですが、今はそれも叶いません

 

でも皆が元気な姿でいると 今月舞台に出ててよかった~と
つくづく思います(笑)

 

 

◎ お詫び

 

今日、楽屋口で係の方から「あるお客様から楽屋見舞いが届いたのですが
現在コロナ禍の規則により 預かることが出来ませんでした。」と
伝えられました。

わざわざお届け下さり ありがとうございました。

 

今現在、楽屋への差し入れや 宅急便などによるお届け物でさえ
受け取れない規則になっております。

 

さらに私どもがお客様と接する事も 極力控えて下さいとの
会社からのお達しも出ております。

 

お客様をご不快なお気持ちにさせてしまい 大変申し訳ございませんでした。

今後もし 私への差し入れをと考えておられる方がおられましたら
お気持ちだけは充分頂戴しておりますので、お心遣いのない様にお願い申し上げます。

誠に勝手な事で申し訳ございません

         
                                  市川 猿三郎