今、毎日およそ5000歩の買物兼散歩を致しております。

 

昨日、うちの部屋の一部を整理しておりましたら どこかへやったと思った

カセットテープの箱が出て来ました(笑)

 

一体何年前のものでしょうか?

大阪の高津町の家で、FM放送のものを録音していたような覚えがありますので、

その時のものでしたら・・・40年くらい前でしょうか。

え??そんなに前のもの?

 

 

その中に先代三遊亭円楽さんの落語の長講『中村仲蔵』が入っておりました。
これは歌舞伎役者の初代中村仲蔵をモデルにしたお話で それをICレコーダーに
入れ直して散歩の時に聞いておりました。

 

落語の『中村仲蔵』の事に関しましては以前にも書かせて頂きましたので
こちらをご参照ください。

 


そのお話の中で、今ではもう おわかりにならない言葉や慣習が出て参りました。

 

現在は大部屋としてみんな名題下に位置されますが、昔は大部屋にもランクがありました。

以前は、名題下俳優の中に、さらに相中(あいちゅう)、上分(かみぶん)、名題下の

三階級があったといわれます。

 

 

朝のテレビ小説『おちょやん』の中にも似たようなお話が出て参りますね。

 

女優として映画の大部屋に入った竹井千代ちゃんは化粧前も貰えない一番下っ端、
大部屋の中にも一番端は一番ランクの上の人が座る場所。

 

まさに江戸時代の歌舞伎の楽屋もこんな感じだったのです。

 

私が歌舞伎の大部屋に居た当時はまだ奥の方は年配の諸先輩が並んでおられ
そちらの方へは入っても行けず 迂闊に化粧前を置こうものなら ひっくり返されました(笑)

 

そんな名題下も今では年配の人も少なくなり 若い人が多いですね。
私から見ればみんな若いか・・・?(笑)

 

 

また落語の中に「書き抜き」と云う言葉が出て参ります。

 

これは昔の名題下は台本なんて一切もらえません

みなみな台詞などで、芯の人のあとにいう台詞、
「で、ござりまする~」や「かしこまって、ござりまする~」などの
1行の台詞が狂言作者の書いてくれたペラペラな和紙を 渡してもらえるだけ。

 

誰のあとに云うのか? 誰に向かって云うのか? なども一切なしです(笑)

私の若い頃も まだそうでした。

 

今では全員に台本が配られ お芝居の内容も把握できるようにもなりました。

ですから歌舞伎界でも今の名題下の若い人に「書き抜き」と云っても
おそらくは知らないでしょうね。

 

そんな言葉なんかが古典落語の中に生きていて、それを伝えて下さる方が
居られるのは嬉しい事です。

 

歌舞伎に限らず 古典落語には江戸当時の時代背景等
「金魚売り」「豆腐屋」「魚売り」などの売り声や、
季節の慣例なども描かれております。

 

歌舞伎の中でも今の若い人が理解に苦しむような状況も描かれております。

大岡政談の「権三と助十」の井戸替えは、お話とは全く関係がありませんが

年に1回 井戸の水を長屋全員でくみ出して 一旦干して 新しい水に入れ替える・・・

などの当時の江戸の庶民の作業の状況など克明に描かれておりますが

知識がないと 何をやっているのか? 舞台からだけでは お分かりにならないでしょうね(笑)


そう云ったお話などがありますから 古典落語 歌舞伎の庶民の日常の舞台、
これは絶やさないで頂きたいな と思いました。

 

 

ちなみに先代三遊亭円楽さんの『中村仲蔵』、ちょっと気になりましたので、

散歩から帰って来まして、ネットで検索してみましたら・・・

普通に音源落ちてました。

 

40年前の貴重なカセットテープと思いきや・・・(笑)

興味のある方は 聞いてみてください。