今日は 正月四日ですから、各座公演三日目を迎え、
落ち着いてきたように 思えます。

かく言う 新橋演舞場の 海老蔵さんも 早替りの手順も落ち着き
かなりスピーディに 舞台をこなしておられます。



さて、一年の始まりとなりますこの初春公演。

三座において いわゆる「曽我物」と言われます狂言が出ております。




歌舞伎座では 『春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)』

新春浅草歌舞伎では 『正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)』

そして新橋演舞場では 『寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)』


すべてにおきまして、「曽我兄弟のあだ討ち」が題材になっております。

これは 初春狂言における、江戸時代からの 慣例と申しましょうか。
一年の平安を祈るために 演じられたものでございました。


とは申しましても、現在では 必ずしも新春に曽我狂言での
幕開けが されているわけではございません。

現在、今月の歌舞伎公演では 5座が公演しておりますが、
そのうちの 三座での「曽我狂言」これは 珍しいのではないでしょうか。


本来は 曽我十郎、五郎による「敵討ち」が題材になっております
この「曽我物」が どうして 吉例のおめでたい狂言になったのか。

これは 実際の「敵討ち」が行われるのではなく、
その「敵討ち」に向かう過程が 描かれておりますので、
本懐へと向かう 希望 をあらわしておりますからなのです。



日本の「三大仇討ち」と申しますと
「赤穂浪士の討ち入り」と「伊賀越えの仇討ち」そしてこの「曽我兄弟の仇討ち」
でございます。


前者はもちろん 『仮名手本忠臣蔵』などで有名ですし、
後者も「沼津」が有名ですが『伊賀越道中双六』で上演されております。


通常、これから「仇討ちへと向かう」『曽我物語』はお正月に
「本懐を遂げるまでを描く」『忠臣蔵』は年末に上演されることが
多いのも 頷ける配置ではないでしょうか?


もっとも、今月は 松竹座では『忠臣蔵』の通し狂言が
上演されておりますが・・・(笑)



この『忠臣蔵』 2日のテレビ中継でも紹介されておりましたが

東京と上方では 随分と演出が違っております。

東京では11月に歌舞伎座で上演されておりました。
(残念ながら 私は見ることが出来ませんでしたが・・・)
2ケ月で東京と上方とを見比べることが出来ますのも 珍しいこと。

興味のある方は 是非 松竹座の「上方風の忠臣蔵」も
見てみてください。


いつか この「東西の忠臣蔵」につきましても
書いてみたいと思います。