おばぁちゃんの日常に
あらわれる くまちゃん
時には ちょこんとすわり
お茶のみ友だちのように
みかんを食べる
おばぁちゃんは おどろくこともなく
楽しそうに 目を細める
ふふふ、、、
美味しんか?
ゆっくりお食べ
おっきな手を器用にうごかし
みかんのかわをむく くまちゃんは
みかんの汁だらけ
こりゃ、大変じゃ
エプロンかけな と
おばぁちゃんは 自分のまえかけを
くまちゃんのむねに かけた
くまちゃんは はじめてみる
ピンクのかわいい 布に
目を
パチクリ
おばぁちゃんは
くまちゃんの クルリンとした目を見て
ある日のことを
思い出した
それはまだ娘が幼かった時
娘の楽しそうな笑い声とおしゃべりが
部屋から聞こえる
あれ?
今日はお友だちが来て
にぎやかに遊んでいるのね
のぞきこんだ声のする部屋
あら、まぁ、、、
ぬいぐるみのお友だちを 招き
楽しそうに
遊んでいる
招かれた
ぬいぐるみたちは
今にも歌い出しそうに
目をクルリンとしていた
おや!
あの時 娘がいつも仲良くしていた
ぬいぐるみの ひとみと
くまちゃんの ひとみ
そうだ!
おばぁちゃんは
いっしょだ! と思った
娘が大切にしていた
ぬいぐるみ
それは ある年のクリスマス
商店街のクリスマス抽選会
そろそろお店も閉まる時間なのに
最後まで残った
大きなぬいぐるみ
小さな手でガラガラと回す抽選箱
ポトリ、、、と落ちたあたり玉
あの子のところに やって来た
大きなぬいぐるみ
それからずっと
あの子の大切な友だちだった
おばぁちゃんは
クルリンとしたくまちゃんの目を見て
うれしくなった
私のところにも
来てくれたんやね
ふふふ
ありがとう
おばぁちゃんは
心がね
あったかく
あったかく
あったくなって
心のなかに
また
ひとつ
ひだまりを
見つけたの
enpitunoiro
🌱
夢のつづき
君の投げ返してくるボール 日毎 速くなり
今ではオレより背も高くて 何だか眩しい
だけど話し始めると まだ頼りなく子どもで…
明日の朝早く 家を出てく息子
遠い街で ひとり暮らす君の無事を いつも祈ってる
君が鏡にむかい口紅ひいている姿
母さんの若い頃に似てきて 何だか眩しい
今夜のデートの相手は前の奴よりマシだろうか
空高く 飛び立ってく娘
美しく 翼ひろげる君の幸せ 深く祈ってる
妻とオレ コーヒー片手に 時間が止まったよう
いつか遠く 憧れてた場所
どこか遠く 陽のあふれる場所へ出かけよう
二人で そっと あの頃の夢をたどって
Shogo Hamada