「こころ」夏目漱石 | 藍色の傘

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一日中、猫を膝に乗せて、本を読んで暮らしたい。

「こころ」夏目漱石







1914(大正三年)漱石47歳の時に著され、日本でこれまで最も読まれているという「こころ」。



漱石は男臭くて堅い印象でこれまで1冊も読み通したことがなかった。


が、武者小路実篤にハマってしまったため、これ以上漱石を避けてはいられないと観念。


高校時代も漱石の載っている教科書ではなく、あえて読んだと言うならば模試の問題文くらいで、これが事実上の初漱石である(ほんとすみません)



120年前に書かれたとは思えないほどすんなり読めるのは、文章の上手さ美しさ故だろう。


「先生と私」「両親と私」「先生の遺書」の三部構成で、だいたいのあらすじを知っていても、飽きることなく最終章まで連れていってくれる。


不遜な自意識過剰学生「私」

傲慢で独りよがりな煩悩塗れの「先生」

頑固な求道者「K」。


誰もが自分の内に存在するようであり、一方でそれを否定したくもある。


罪を告白し懺悔するのは自分が楽になりたいという卑怯な方法で、一生罪の意識に苛まれ続けるという罰を受ける、という茨の道もあった。



余韻というより、澱が溜まり、沈殿する読後感である。

読み継がれてきたのはこの「澱」が残るからなのだろう。



「吾輩は猫である」さえ読み通すのを諦めた過去があるが、もう少し漱石を読んでみたい気もする。


「坊ちゃん」「三四郎」はさておき、これから読むなら、やはり「門」「それから」あたりか





同じ「先生」なら、

同じ「三角関係」なら、

やっぱり武者小路実篤の方がずっと良いなあ。

(という、文学少女には有るまじき発言。もう、少女じゃないから良いのさ。)




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