家賃はどうやって決まる? | 不動産ジャーナリスト 木下隼

不動産ジャーナリスト 木下隼

株式会社東京アセットコンサルティング 代表取締役 木下隼 不動産ブログ

本日は最も素朴な疑問。

 

「家賃はどうやって決まる?」についてご説明いたします。

 

 

 

不動産は地域によって微妙に慣習やルールが異なりますので私がお話しするのはここ5年間の東京23区内のお部屋探しについて説明します)

 

 

 

 

まずはじめに、不動産会社は日本全国に約16万社、東京23区内に限ってはコンビニの数よりもお部屋探しの不動産会社の数のほうが多いほどですコンビニ

 

さらに、23区内だけでも約200万部屋以上の賃貸物件(お部屋)があり、常に40万部屋前後の空き部屋があると言われています。

 

 

 

 

つまり、お部屋探しというのは膨大な物件情報の中で一つを選ぶという、

 

まさに運命の人に巡り合うに等しい確率ハート2

 

 

 

 

 

 

さらに、インターネットではいろいろな情報が氾濫していますし、実際に不動産会社に行っても

 

A社とB社とC社とでは言っていることが微妙に違ったりすることがありますショック!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は「家賃はどうやって決まるの?」

 

というテーマでお話しさせていただきます家

 

 

「相場」などという言葉がありますがいったい家賃はどのようにして決まっているのでしょうか?

 

 

もっともスタンダードな家賃の決め方は3つ

 

 

①実際に物件の周りにある物件の家賃を調べてそこから平均値を出して決める(いわゆる取引事例比較法)

 

 

②アパートやマンションを建てた時に組んだ住宅ローンの月々の支払額に応じて決める(いわゆる原価法

 

 

③投資家に対して支払う利回りに応じて決める

 

(いわゆる収益還元法)

 

 

という方法があります。

 

 

 

不動産鑑定評価基準と実務での賃貸で家賃を決めるのは多少異なりますので私の経験から噛み砕いてご説明しますうさぎ先生

 

 

お客様から

 

 

 

「池袋駅は高いけど、隣の大塚駅や椎名町駅になると家賃が安くなりますか?」

 

 

 

という質問をいただきますが、

 

 

エリアよりもオーナーさんがどのようなケースであるかによって家賃が決まるので

 

 

一概に「池袋の隣駅は安い」断言するのはになります。

 

 

さてさて、順番に説明すると、

 

 

①実際に物件の周りにある物件の家賃を調べてそこから平均値を出して決める

 

 


 

①のケースは例えば

 

遺産相続で親から中古のアパートやマンションを譲り受けた。

 

 

新築のアパートやマンションを建てる際に代金を一括で全額払った またはローンが完済した

 

 

もともと住んでいた場所が再開発エリアで立ち退き、その場所に新しくできた再開発のマンションを土地を立ち退く代わりに手に入れた。

 



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↑一般的にはこのような物件です。

 

 

 

少し古いアパートタイプの物件、世帯数の少ないマンションが該当します。

 

 

 

例えば、オーナーさんが物件を建てた際の費用をすべて支払い終わっている場合、

 

 

 

毎月のローンを考えずに家賃を決めることができるので

 

 

不動産会社に依頼して、近隣の家賃を調べそれに基づいて家賃を決めまます。

 

 

この①のケースで家賃を決めた場合、家賃の値下げの交渉がきくことが多いです。

 

 

これから説明する②のケースと違って、借金がないので、多少オーナーさんに心と懐の余裕があるからです。

 


といってもオーナーさんもケチな人もいればそうでない人もいますので家賃交渉に関してはケースバイケースと認識ください。



 

②アパートやマンションを建てた時に組んだ住宅ローンの月々の支払額に応じて決める


 

②のケースですと世帯数の多い分譲マンションがこの方法に基づいて家賃を着ています。

 

 

私は投資用の分譲マンションを所有しています。そして住宅ローンを組んでマンションを購入しました銀行

 


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3600万円のマンションを35年ローン固定 銀行ローンと管理費も含めて毎月支払いが15.3万円あります

 

 

 

それをお客様へ家賃15.5万円で賃貸しています。

 

 

ですので毎月+2000円の資産運用となっています。

 

 

現在23区内にあるほとんどのアパート、マンションのオーナーは銀行でローンを組んで

 

 

建物を建てたり、購入しています。

 

 

その月々の支払いに対して、家賃を決めるわけです。

 

 

 

もし、次のお客さんから「この物件に住みたいけど家賃5万円さげてくれませんか?」

 

 

 

と交渉されたら毎月の家賃収入より、ローンの支払額が大きくなるのでさすがに応じることはできません。

 

 

例えば5,000円と言われた時、うーんと考えてしまいます。

 

 

逆に景気がよかったり、その物件の価値が他の物件より高い物件ければ16万円で募集をしてもいいわけです。

 

 

何十年とローンを組むわけですが、ローンの支払額は変わりませんが

 

 

物件が古くなればなるほど価値は下がります。

 

 

古くなったからすぐに家賃が下がるかどうかは物件のオーナーさんがどのようにローンを組んでいるか

 

 

実際に金的余裕があるかどうかで決まるわけです。

 

 

 

物件が古いといって家賃が下がらないのは毎月のローンの支払いが一定だからです

 

 

 

実際、景気が良い時に購入したマンションは土地の値段も高く、金利も高いので何十年と経過していてもローンの支払いの関係上、家賃は高めになることが多いです。

 

 

逆に最近は景気が悪いので、低金利かつ土地の値段や材料費は下がってきています。

 

 

 

ですのでここ2~3年以内に建築されたマンションは非常に値段も安く、かつ低金利なので、

 

 

 

賃貸として貸す場合古い物件よりも家賃が割安なこともあります。

 

 

つまり②のケースで家賃を決めるのは物件の現在の資産価値でなく、購入した時の値段と住宅ローンの支払額に左右されているという事です。

 

 

ちなみに、金利が0.1%違うだけで家賃1万円前後影響します。

 

 

 

③投資家に対して支払う利回りに応じて決める

 

 



 


 

23区内の世帯数の多いタワーマンションはほとんど不動産投資の物件です。

 

池袋ですと、私が住んでいるウエストパークタワー池袋オリックス株式会社(ORIX Corporation)のグループ会社が所有する一棟すべて投資用のマンションです(いわゆる不動産ファンド物件、REIT)

 

 


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オリックスが投資家からお金を集め、マンションを建て、お客様へ賃貸し、家賃収入を得て、それを投資家に還元します

 

 

 

ある程度相場は参考にしますが、お客様の求める家賃設定より、投資家に高く利回りを還元するか

 

 

 

という点を重視して家賃を決めます。

 

 

利回りが良くなければ投資の対象にならず、投資家から資金を集められないとオリックスはすぐに倒産してしまいます(笑。

 

 

 

 

金や株など様々な金融商品がありますが、とりわけ日本、特に東京都心部の不動産は海外からの投資家に人気です。

 

 

 

 

都内の家賃は場所が良ければ高く設定でき、リスク(元本割れ)が少ないからです。

 

 

 

最低でも利回り5パーセントは確保したいので、非常に家賃が高く設定されているケースが多いです。

 

 

 


ただし、礼金ゼロ、フリーレントなどの契約金が安くなることも多いのがこの物件です。

 

 

初期費用は安いけど、投資家に対して高い利回りの数字を確保するため家賃を高く設定しているのです。

 

 

23区内で有名なブランドマンション

 

 

 

 

 

 

「レジディア」

 

 

 

「ベルファース」

 


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「プラウドフラット」


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「コンフォリア」

 


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「デュープレックス」

 

 

 

などはほとんど不動産ファンドの物件でオーナーは大手信託銀行や海外の投資会社です。

 

3のケースですと、お客様が求める家賃でなく、投資家がいくら儲かるか という視点で家賃が決まっているという事です。

 

 

 

以上大まかに上記3つのケースから家賃は決まりますキラキラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へーなんだか借りるお客さんのことより、オーナーさんの都合で家賃って決まるんだねーシラー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思ったそこのアナタ!まさにその通り!(笑。

 

 

 

価格競争、サービス競争の時代に不動産の家賃だけはお客さん目線でないビジネスを展開している、ヒドイ業界だと思います。

 

 

 

残念ながら、住むお客様の希望よりも、投資家やオーナーさんの利益を追求して決まるのが不動産の家賃なのです。

 


東京都内の築5年以内の世帯数の多いマンションタイプの物件に関してはほとんどが

 

金融商品の一部 であるということで世界中の投資家の格好の餌食となっているのが現実です。

 

 

 

例えばプリウスがいくらエコカーだからといって今の値段の2倍だったらだれも買わないでしょう。

 

 

 

iphoneというあれだけ高性能な商品も日本全国どこでも、ほぼ同じような価格で購入できます。

 

 

それはマーケティングを繰り返し、同じ品質でよいものを大量生産したくさんのお客さんへ満足してもらうことを目標に企業が努力しているからです。

 

 

不動産の家賃はなぜ高いか。なぜ、金融商品の対象となるのか。

 

 

その部屋が世界に一つしかないからです星

 

 

豊島区東池袋1丁目1番地1の1001号室

 

 

港区六本木六丁目6-6 の606号室

 

 

 

世界に一つしかない価値というのは、値段をつけることが非常に難しいです。

 

 

 

それゆえ多少値段が高くなるのは致し方ないです。

 

 

それにしても不動産の家賃というのは現代では非常に珍しい、売り手市場の商品です。

 

 

 

日本が経済大国なのに、豊かさを感じない理由は家の値段、家賃が高いからだという説もあります。

 

 

 

ヨーロッパでは生活費の1/3を住宅に使う事は考えられないといいます。

 

 

ヨーロッパの建物は築何100年が当たり前。それでも建物がしっかりしているのでリフォームを繰り返して住むことが出来る。

 

 

日本の場合、単純に新しい物好きであるという国民性と

 

 

戦後の焼け野原を無計画で簡素な住宅が乱立し、

 

 

その後のバブル、

 

 

そして長引く不況、

 

 

苦し紛れの金融政策、

 

 

さまざまな社会的要因が重なり、

 

 

 

良質な住宅を適正価格で供給できなかったことで現在の売り手市場が出来あがりました。

 

 

 

今後も、都内の優良物件は世界中から集めたファンド資金で建設され

 

 

その利益は得体の知れない

 

 

 

ヘッジファンドへ還元されていくわけですドクロ

 

 

 

 

いろいろ話は脱線しましたが

 

 

 

 

◎古いアパートや世帯数の少ないマンションはオーナーさんが近隣相場と懐事情によって家賃を決めることが多く

 

 

◎都心部の綺麗で新しいマンションは金融商品として高い利回りを得るために家賃を決めていることが多

 

 

という結論になります。

 

 

 

あくまで一般論です、すべての物件にこれが当てはまるわけではないのでご注意くださいWARNING


 

 


 

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不動産ジャーナリスト

 

 

 

木下 隼 (Kinoshita Hayato)

 

保有資格

 

宅地建物取引士

管理業務主任者

ビル経営管理士

賃貸経営不動産管理士

敷金診断士 

防災・防火管理主任者

住宅ローンアドバイザー

上級定期借家プランナー

ベーシック・サーフ・ライフセービング

 

 assetconsulting@icloud.com

 

 

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