始まりはいつも悩む。
考え、絞り出す。
無駄なく絞り出すことだけに力を注ぎすぎた。
いつからか、僕は気づいていたのに見て見ぬふりをしていた。
現実に直面する勇気がなかったわけではなく、体力と意欲が底をついていた。
『臭いものに蓋をする』、否、『体力がないから今日は寝る』
要は回復力が皆無に等しかった。
それに比例して、絞り出せるほど中身は残ってなかった。
それでも絞り続けた。
もっと力を込めて絞る。痛みにも慣れてきたころだ。
「何かがおかしい」
「何がおかしいの?」
「いつもと感覚が違うんだ」
「等間隔の?」
「いや、感情の幅が乱れている」
「いい意味で?」
「良いか悪いかは今判断できないけど、新しい顔が必要な気分だよ」
「食パンならあるわ」
「お腹は空いてない」
「ストレージが満ぱいなのね」
「どちらかというと、"カラカラ"なんだ」
「コーヒーで潤うかしら?」
「新鮮な空気とエスプレットのダブルを」
「フレッシュヘヴィね」
「心は空なのに、体は重いんだ」
「重力が代わりに張り切っているので」
「休んでほしいな」
「新しい朝の始まりよ」