くういいものを書こうとするとそこにルールが生まれる
それが思考の邪魔をし、結局自由ではなく、ありきたりになる。
自分には物書きは無理だろうと。彼自身が自覚している。
考えてはいけないんだ。彼の良さは心からそのまま生まれる無秩序な言葉の螺旋の美しさである。
何者も邪魔はしてはいけない。心が落ち着いてないからこそ、思い浮かぶ感情、言葉、空気感、らしさである。無秩序が彼にとっての秩序である。そこに少しのルールもストレスも強要もあってはならない。それは悪い流れであり、彼自身の生命を終わらせることを意味する。ここは彼にとって神聖な場所であり、彼だけのものであり、誰にでも評価できるもではないのだ。思考に追いつかれてはいけない。すこしでも遅れを取ってはいけないのだ。思いついたことをそのままの形で表現する。遅いんだ。そこに考えが存在してはいけない。穢れてはいけない。純粋できれいなまま。もうこうやって文字として残っている時点で少なからず穢れており、これからも穢れていくだろう。表現することで穢れていく美しさ。彼の良さはだから誰にも評価されずに消えていくだろ。そして、彼はそこまでの欲を持たない。
すべてをこえていかなくてはならない