昨日の続きになる。
部員のうち、唯一就職の生徒は、実は元々が皆と同じ専門へ進学するはずだった。
が、夏前に急遽親の意向で就職に変更になったと聞いてる。
まぁ、金、かな。
でも本人はやる気も実力もあるので、悔しくて仕方ない。勉強もできる。資格をたくさん取ったし、ここらじゃかなり難しい会社に余裕で受かりもした。
だから、余計に、昨日の例の部員が憎たらしいやら羨ましいやら、感情が大渋滞だ。
それでも基本おとなしい性格だから、波風立てたりはしない。
実にいじましい。
部長の2年生は、前世は絶対作家活動してたと思う。実際、たいした腕前だ。
目がいいから、ちょっと作例見れば、その遥か上の作品作る。
昨年は1年生ながら、もう少しで全国展にも手が届きそうだった。
自信をつけたからか、当然進路は美大。
だが、やっぱり金だ。
自宅から通える範囲と言われ、選択肢は2校。
担任と一緒に頭を悩ませ、どうにか片方には受かる方法を見いだせた。
金
金
かね
日本の奨学金制度は、でたらめがすぎる。
ただのローンだし、全然奨学してくれてない。そのせいで、部長のような才能が埋もれていきかけた。
もっとも、本当に世に出るべき才能は、ほっといても出る仕組みではある。ただ、本人にチャンスを掴む気概があればだな。
部長は、その点は怪しい。
なにしろ挨拶もろくにできないおとなしさ。
3人の部員を見てると、こんな風に感じる。
天は片手落ちの才能を与え、その生かし方を自ら見いだせとおっしゃっているのだろう。