開脚の痛みは“筋肉”ではなく“股関節の軸”が原因だった
開脚をすると── お尻が痛い。 鼠径部が詰まる。 脚の付け根が痛い。 もも裏から膝裏が突っ張る。 内転筋が痛い。
人によって痛む場所はバラバラですが、 臨床で見ていると、すべて“ひとつのメカニズム”でつながっています。
■第一章:多くの人が信じている「痛い=硬い」理論
多くの人は、痛みが出るとこう考えます。
・開脚が開かない → 筋肉が硬い → 伸ばす
・鼠径部が詰まる → 筋肉が硬い → 押して緩める
・もも裏が痛い → 痛くない範囲で伸ばす
つまり、 痛い=硬い → 伸ばせば良い という発想です。
しかし、身体はそんなに単純ではありません。
■第二章:臨床で見るのは“筋肉”ではなく“股関節の機能”
痛みや詰まりが出ているとき、 私たちがまず確認するのは筋肉の硬さではありません。
股関節が正しく動けているかどうか。
そのために、最低でも次の5つを評価します。
・骨格の位置
・関節の運動方向
・筋肉の作用
・運動軸(固有感覚)
・腰仙神経叢
これらを総合して、 「なぜ痛みが出ているのか」 「どこが本当に動いていないのか」 を判断します。
■第三章:痛みの正体は“硬さ”ではなく“軸のズレ”
多くの人の痛みの原因は、筋肉の硬さではありません。
股関節の軸がズレていること。
軸がズレると股関節が動かず、 代わりに周囲の筋肉が引っ張られます。
その結果、 痛みが“移動する”ように感じるのです。
■第四章:痛みが移動する理由
● 最初にお尻が痛くなる 股関節がはまらず、外旋筋が踏ん張るため。
● 次に鼠径部が詰まる 大腿骨の向きがズレたまま開こうとすると、 前面が“つっかえる”ように感じる。
● さらに、もも裏・膝裏・内転筋へ広がる 股関節が動かないため、 太ももの裏や内側が“引き伸ばされる役”を押しつけられる。
これは柔軟性の問題ではありません。 動くべき関節が動いていないサインです。
■第五章:股関節の軸とは何か
股関節の軸とは、 大腿骨の頭が骨盤の受け皿に対して どの方向に回転し、どの位置で支えられているかという “動きの中心線” のこと。
軸が整うと、少ない力で大きく動きます。 軸がズレると、周囲の筋肉が代償します。
■第六章:必要なのは「伸ばすこと」ではなく「軸を整えること」
だから本当に必要なのは、 痛いところを伸ばすことではありません。
股関節の軸を整え、正しい方向に動ける状態を取り戻すこと。
軸が整うと、身体は驚くほど変わります。
・お尻の痛みが消える
・鼠径部の詰まりがなくなる
・もも裏や膝裏の突っ張りが減る
・内転筋を伸ばさなくても自然に開く
・足を固定したまま体幹がスッと前に倒れる
これは柔らかくなったのではなく、 本来の構造で動けるようになっただけです。
■第七章:股関節の軸を整えるために必要な5つの条件
股関節は、 骨格・関節・筋肉・運動軸・神経。 この5つがそろって初めて正しく動けます。
① 骨格の位置
骨盤が中間位になっていない人が多い。
・左右の恥骨が床に触れていない
・片側の坐骨だけが強く当たる
・骨盤が左右に傾く
これらはすべて軸のズレを生みます。
② 関節の運動方向
足首 → 膝 → 股関節が同じ方向に動く必要があります。
足首が外、膝が内、股関節だけ外。 これでは股関節は動きません。
③ 筋肉の作用
・偏った筋肉の癖
・過剰に働く筋肉
・眠っている筋肉
この3つが混在すると、痛みが出ます。
④ 運動軸(固有感覚)
軸がズレると、
・はまらない
・ブレる
・代償が起きる
どれだけストレッチしても改善しません。
⑤ 腰仙神経叢
神経の流れが確保されていなければ、 筋肉は正しく働きません。
骨格 → 関節 → 筋肉 → 軸 → 神経。 すべてがつながっています。
■第八章:股割りで気を付けるべき5つのポイント
股割りは「開く」「伸ばす」ではありません。 股関節を動かすための条件をそろえる技術です。
① 股関節の位置を明確にする
鼠径部ではなく、 お尻のえくぼの奥にある“本物の股関節”を意識。
② 骨盤を立てる
左右の恥骨が床に触れる高さに調整。 これで股関節がフリーになります。
③ 脚を固定する
・足指を握る
・足関節を背屈
・膝を伸展
脚の前側ラインが働き、股関節が安定します。
④ 体幹キープ
頭を脊柱のてっぺんに乗せる。 前屈ではなく、重心を前へ送る準備。
⑤ 椅子を押す
体幹をキープしたまま椅子を押す。 重心が前に送られ、股関節がスムーズに屈曲へ移行します。
■最終まとめ
股割りは柔軟性ではありません。 条件をそろえる技術です。
・股関節の位置
・骨盤の立て方
・脚の固定
・体幹のキープ
・重心の送り
この5つがそろったとき、 股関節は本来の動きを取り戻し、 痛みは消え、開脚は自然に開くようになります。
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