現在の構造動作トレーニングは、20年前、大腰筋に注目し研究することからはじまりました。当時は、私自身が大腰筋を使えているのか?使えていないのか?その感覚さえもありませんでした。それは、陸上競技の世界記録保持者たちの鍛え抜かれた肉体から生み出される美しい動作に魅了され、その動作の根源について、どうしても知りたかった私はトップアスリートの大腰筋が発達しているということで、スポーツ界で注目されていた大腰筋が、その動作の根源であるのかもしれないと思い、確かめたくてしかたがない衝動にかられました。しかし、どのようにして確かめればよいか、その手段がわかりませんでした。
▲日本人体解剖学 金子丑之助著
あるとき、開脚前屈をする機会がありました。私は学生のときから体が硬く、開脚90度も開かない状態で後へひっくり返るくらいでしたので、ストレッチを避けて通るような柔道選手でした。しかし、国家資格を取るために勉強した解剖学、筋肉治療で学んだ臨床解剖学のおかげで、開脚前屈と大腰筋がつながったのです。それからは、体が硬いからと逃げるわけにはいきません。解剖学を再び体で学び直しながら開脚前屈で股関節屈曲、外旋で作用させて、大腰筋が作用する状態にするしかありませんでした。
その後、開脚前屈から股割りへ目的が明確になり、取り組み続けていますが、長い道のりになってしまいました。ストレッチを避けていた私が、一流選手の美しい動作に魅了されたのをきっかけに大きく意識が変わったものです。今では、生きた解剖学を実感しながら教材としての股割りが楽しみになりました。現在は、大腰筋の研究から切り返し感覚の研究へと発展し、次の課題を研究しています。
ランニング動作の原理キプチョゲ選手「抜く」「しなり」力の凝縮と放出
