骨格の復元 | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

当院には、バラバラになった骨格模型が2体ある。20数年の間、骨格の位置や形を勉強したり、患者さんに分かりやすく説明するために分解して使ってきたので、骨格模型としては自立しない状態になっていた。買い換えようかとも思ったが、素材がしっかりして良いものなので、復元することにした。
 
まずは骨格模型のパーツをばらして、中性洗剤で洗う。細かい部分の汚れは綿棒を使ってきれいにする。次は組み立て。関節の接続部分は、細い針金や割りピンなどを使って固定する。椎間板の欠損箇所があるが、接着剤でとめた。最後は脊柱に軸を通して完成。
 
 
筋骨格系の治療でも、骨格模型の復元と同じような過程を辿る。生体で考慮することは、骨格位置の修正、筋肉・軟部組織の修復、関節運動の方向を修正、神経の促通などを総合して復元していかなければならないので複雑だ。例えば、外反母趾、内反小趾、外脛骨、偏平足を合併している足は、骨格位置変位、筋力低下、関節可動域の低下、感覚低下などが確認できる。
 
まずは、足根骨、趾骨を分解して洗浄する。生体で骨格を分解することは不可能なので、徒手療法を用いる。皮膚の下には癒着や不純物が沈着しているので、これらをきれいにしなければならない。癒着しているものは剥がし、不純物などは血液で洗浄する。しかし、変形している足では、動かなくなっている筋肉があるので、筋ポンプ作用が弱く、血流で上手く洗浄できない。骨格位置を修正、筋肉・軟部組織を修復、神経の疎通、関節運動の方向を修正し、筋ポンプ作用を高め、血液洗浄できるように足を復元していくのだ。
 
人の身体は骨格模型ではないので、骨格位置の修正だけや、筋肉・軟部組織の修復だけでは、治療にならない、総合的に治療を進めることが大切だ。