精神と肉体の時間 | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

先日、山で顔見知りとなった80歳の老人と話しをしてると、若いころ悩みすぎてノイローゼになった、という話になった。私にとって人生の大先輩の話は興味深かった。
 
悩んでいるとき、何かにとらわれて苦しんでいるとき、というのは、「精神の時間」が止まっている。そのようなときは、何もしたくない、動きたくない。しかし、「精神の時間」が止まった状態で何もしないでいると、「肉体の時間」も止まったままになり、ついには、精神も肉体も止まってしまう。
 
だから山を歩いて「肉体の時間」を動かす。「精神の時間」が止ったままであっても、「肉体の時間」の針を進めることができる。止った時間の環境が変わることで心が晴れることもある。「精神の時間」を再び動かすためには、自分が歩みたい未来を描き続ける。それは、自分が歩みたい人生になるのだそうだ。
 
これは、すぐにどうこうという課題ではなく一生をかけて、自分が歩みたい未来を描けばよい。ポイントは、青空を見上げて想像するのが効果的だとか。そのためには、「足」が健康でなければならない。青空を見上げるための「足」、未来に向かって歩むための「足」、肉体と精神の時間を動かすための「足」、だという。自分の時間は進めることができるから、悩みやとらわれているものは、あるがままに歩む。
 
大先輩は、自分が歩んでいる人生に感謝している。人知れず、誰かが道に迷わないように、標識や山道の整備をするのが生活の一部になっている。自分が今こうして歩かせてもらっていることに、恩返しをしている、のだという。
 
私が「まだ死にたくないですか?」ときくと、「まだ、やらなければいけないこと(恩返し)がたくさんあるから死にたくない」と。続けざまに「死ぬなら山でコロッといきたいですか?」「山で死ぬとたくさんの人に迷惑がかかるから、2、3日病院に入院して、家族の顔をみてからあっちにいきたい」そうだ。
 
なにか、人生をまっとうする、という意味を勉強させてもらった素敵な時間でした。
 

 
 
 
絶賛発売中! 【新刊情報】中村考宏 著『指先から身体を整える: 機能回復のための所有感覚メソッド』筋力も体力も関係ない。「末端」の感覚を高めれば身体は甦る。身体各部の骨格ポジションを整え、全身がつながりを取り戻すことで回復力の高い身体を手に入れる方法。