1.中島章夫/骨盤おこし・初めての東京 | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

骨盤おこしセミナー その1
2008年07月23日17:02




●はじめに
19日(土)と20日(日)はTakahiroさんこと中村考宏さんの「骨盤おこし(股関節トレーニング)」東京セミナーが開催された。

Takahiroさんは、柔道整復師で鍼灸師であん摩マッサージ指圧師でプロフェッショナルスポーツトレーナーなのだが、何よりわたしをmixi に招待してくれた、mixi の親なのである。
「mixi? 何それ?」という私だったが、「身体操作コミュニティ」というのをやっているから読んでみて、と言われて恐るおそる入会して早二年。
たくさんの知り合いがmixi の住人であることも知ったし、mixi のおかげで知り合えた人も多い。これもTakahiroさんのおかげだ。

そのTakahiroさんと知り合ってからは、五年ほど経つ。ある身体操法の掲示板で意見交換をしたのがきっかけで、メールのやり取りをするようになった。
ここ数年、その研究の成果が「骨盤おこし」という名称で、いくつもの雑誌で紹介されるようになった。
そのトレーニングのひとつである「ボールあぐら」は、わたしの本のなかでも紹介させてもらっているし、実際稽古の中でも使っていた。
しかし自分流に使っていたので、オリジナルの「ボールあぐら」はどういうものだろうか、と思っていたのである。
つまり、今回はじめて本人に会うということである。

東京でのセミナーは武術の稽古関係の人が多いということで、「身体を動かす」ことを中心に据えたセミナーができるとTakahiroさんは喜んでいた。
というのは、これまでの健康雑誌などでの扱いが「骨盤おこしダイエット」、「四股すわりダイエット」とダイエット絡みでばかり取り上げられることに、いささか辟易としていたようなのだ。
しかし当人が、1年間で体重90キロから68キロに、ウエストが96センチから70センチになったということから、当然そこにスポットが当たるのは無理はない。
ともかく自然体を追求すると、適当な体重や体型になるということなのだろう。
以下は報告というより、感想。

●「骨盤おこし」は思いのほか大変
セミナーは土日で計二回行ったが、二日で50名を超える参加者があった。
セミナーの基本は同じだが、参加者の反応や質問などによってどんどん展開するので、同じ内容のくり返しということはなかった。
というより、基本の「骨盤おこし」そのものが想像していたものと大部違っていて、それがけっこうショックだった。
以下は印象に残っていることを書くので、一回目と二回目での話が混ざっている。

「骨盤おこし」は、おそらく一般的には「骨盤を立てる」というのかもしれない。骨盤を股関節を支点に前傾させていくことである。
「骨盤おこし」は雑誌社が付けた名称のようだが、「寝ている骨盤を起こす」というイメージでとてもわかりやすい。

よく骨盤を正しい位置にするクッションとかの商品があるが、Takahiroさんの提唱する「骨盤おこし」は、「骨盤を立てれば良い姿勢」などという生易しいものではなかった。

1日目はイスに腰かけて、2日目は正座で行ったが基本はまったく一緒である。
まずTakahiroさんが何人かの骨盤を「立った状態」にしていくのだが、ほとんどというか全員が骨盤後傾しているという。
つまりほとんどの人が坐骨ではなく、坐骨結節の尖がった骨で座っているのだと言う。
坐骨できちんと座ると、坐骨の端は手が入るぐらい浮く。練習するためには恥骨で座るぐらいの感じにするのである。
こうすると肛門も後ろの方を向く。こうするとみんなお辞儀をしているぐらい上体が前傾してしまう。




その骨盤位置で、ただ上体を起こせば当然腰椎を曲げることになる。
Takahiroさんは「腰を曲げてはダメ」と言う。だからみんなお辞儀状態である。
もちろん人によってお辞儀に深さはいろいろだが、正面を向ける人は誰もいない。
お辞儀状態で、顔は正面を向ける。そして胸を前方にずうっと出して行くようにする。
その姿勢を維持するのは大変なので、イスの場合ならたとえば前に置いたもうひとつイスとか、テーブルに手を付く、あるいは壁に手を付くなどして「骨盤のおきた状態」をからだに覚えさせるようにする。
正座ならもっと簡単で、前に手を付いてしまう。



この「骨盤おこし」の練習で大事なのは、骨盤を前傾させて行くときに背中や腰に力が入ったら、元の姿勢にもどってやり直すこと。
背中の緊張があるままやりつづけても、間違った姿勢なのでからだに悪いだけである。
このとき「骨盤を前傾させる」と背中の緊張が出やすいので、顔を正面に向けて、胸を前方に出して行くようにすると、結果的に骨盤は前傾する。
全体が「井桁崩し」のように変形するのである。

いずれにしても、この骨盤がおきた状態は、直接見てもらわないと分からないかもしれない。想像以上に前傾するのである。

ではこの骨盤の位置で、状態は楽にすっと立つのだろうか、というのがみんなの疑問であった。つまり腰を反らさずに姿勢が立つのかということである。

Takahiro さんこう言う「骨盤を後傾させて長い間生活していると、からだの前面が縮み、背面が伸びていわゆる猫背になっている。それを逆転させるだけでいい。背面が 縮んでくると肩甲骨が楽に動くようになる。前面は伸びて軽く張ってくる。そうなれば前傾した骨盤に上体がスッと乗るというのである。

そうそうこう言うことも言っていた。「股関節はどこにあるのか」。
特別に勉強した人以外のほとんどの人は、足の付け根あたりにあると思っている。股関節は「おしりのえくぼ」のところにある。つまり思っているより後ろにあるのであった。
だから骨盤が後傾しているということは、座っていると股関節の上に乗っているわけで股関節の自由を奪ってしまう。立ち上がるときに一度股関節を自由にするための動作を入れないと立ち上がることができない。
骨盤をおこすということは、すぐに立ち上がる動作に移れるということである。つまり「骨盤がおきた状態」とは動きのある姿勢とも言える。

●「骨盤おこし」の姿勢
Takahiroさんは次のように言う。
「自分の言っていることは解剖学的に、もっとも自然な関節の位置を言っているだけで、特別なことを言っているわけではありません」と。

立位。
足は腰幅に開いて立つ。つま先は軽く外側を向く。
体重は内側(親指側)にはかけない。小指側にかかるようにする。
「土踏まず」はその名の通り、踏まない。
特に最近の女性は内側に強く緊張させている人が多い。
足の外側でからだを支えると脚の力が抜ける。
膝も力を抜いて少しアソビがあるようにする。
腕は肘の裏が正面を向くように自然に垂らす。手のひらも正面方向を向く。
腕を内側に巻いている人が多い。そのため肩が前に出て胸をすぼめた形になっている。
肘の裏が前を向くようにすると胸が開いてくる。
もちろん骨盤はおこす(前傾させる)。

さてこの「骨盤おこし」の姿勢はとても懐かしい感じがする。
それは昔、甲野先生が稽古していた「鹿島神流」の姿勢を思い出させる。
同じく甲野先生が研究している「肥田式強健術」の姿勢。
その頃わたしも、当然腰を反らせた姿勢をとっていた。25年ほど前のことである。
しかし今回のセミナーで、もしかしたらわたしはその姿勢を誤解していたかもしれないと思った。
つまり骨盤を前傾させることと、背中を反ることを混同していたかもしれないのである。

セミナーでも骨盤を前傾させるというと、腰椎を反ってしまう人がいた。
しかしそうすると腰を痛めることになる。
能でも腰を張った釣腰にするが、腰痛になる人が多いと聞く。もしかすると「骨盤の前傾」と腰を反る(腰骨を反る)こととが混同しているためかもしれない。
どちらも「腰」と言うからだろうか。

Takahiroさんの提唱する「骨盤おこし」の姿勢は、当然わたしの稽古している甲野先生の姿勢との違いが多い。
しかしそうだろうか、とも思う。
甲野先生が井桁以降言ったのは「馬の背にならないように」と、背中が馬の背のようなカーブを描く姿勢を戒めている。これは背中が反ることを指しているので、骨盤の前傾のことではない。
胸も張らずに、むしろ含むように凹ませることがいいと言うが、動きの中では背中側が出たり胸側が出たりする。骨盤も前傾したり後傾したりする。つまり姿勢は固定化されずに、状況々々で変化しているのである。

ここで思い出しすのは新体道創始者の青木宏之先生が言ったことば。
「腰はある時は反り、ある時は反らない」
これはつまり、骨盤が股関節で滑らかに自由に動くことに他ならない。

武術への適応はTakahiroさんではなく、稽古する側の問題である。腰を反らせるのではなく、骨盤をおこした状態での技の変化を、しばらくはいろいろ試してみようと思う。

(今のところは、馬貴派八卦掌のような正反対の姿勢については考えないようにしようw)

さて、「骨盤おこし」についての日記はまだまだ続きます。


●立位体前屈
「骨盤おこしセミナー」には「(関節トレーニング)」という副題(?)が付いているのだが、そのことと、骨盤おこしのユニークさが爆発したのが、立位体前屈だった。

まあ「ユニーク」というとTakahiroさんに叱られるかもしれない、「常識的なことしか言ってないですよ」と。
でもそこにいた20数人が全員、違う認識をもっていたとしたら、どちらを「常識」と言うのだろうか(笑)。

つまりこういうことである。
「立位体前屈ってどうやりますか」の質問に、全員が手の指先を足の指先に触るように体を折る。手のひらが床に楽に付く人もいれば、膝下あたりまでで止まってしまう人もいる(いわゆる「体が硬い人」ね)。

しかしTakahiroさんは言う。「前屈なのに、なぜ後ろに行こうとするんですか」
たしかに手を床に付けようとして、お尻を後ろに付き出している人が多い。
また「膝裏をなぜ伸ばすんですか」とも言う。「膝にアソビを持たせておかないと前屈しにくいでしょう」と。

しかし学校でやった立位体前屈では、指先が床から何センチプラスかマイナスかということだったから、膝を弛めていたら怒られたりしなかっただろうか。

Takahiroさんの言うところの「正しい立位体前屈」のやり方はこうだ。
膝は軽くゆすって動くぐらいのアソビを持たせておく。
股関節から上体を折っていく。
すると前に倒れそうになるから、そのまま両手を床に付いて、体重を両手のひらで受ける。
つまり膝を伸ばした四つん這いの姿勢である。足下のそばに両手を付ける人もいるが、かなり前方に付いている人もいる。でもそれでいいのだと言う。「ね、誰でも立位体前屈はできるでしょう」。

ただやってみると、付いた両手に体重をかけることができない人がけっこういる。
これはそのことができないのではなく、「立位体前屈」のイメージとあまりにかけ離れているために、どういう姿勢をしたらいいかわからないのである。

そこでTakahiroさんは、次のような手順を指示した。

まずしゃがんで、前方に両手を付き体重をかける。そのまま膝を伸ばしていく。もちろん膝は伸ばしきる必要はない。伸びるところまでで良い。
なんどかそれを繰り返してから、立った状態からその姿勢を再現してみると、それが「立位体前屈」になっている、というわけ。
こうすると両手に完全に体重を乗せるという要領がわかる。

あとはこれを「立位体前屈」だと納得するかどうかだけど(笑)。
しかし、この手順でやっていると、はじめけっこう遠くに手を付いていた人が、徐々に足元近くに手を付けるようになってくるようだ。
昨 日、半身動作研究会@恵比寿の稽古で、セミナーに参加した「ミスター硬派(からだが)」の名を欲しいままにしているT氏が、「こんな風にやるんです」とや り方を見せていたが、驚いたことに足先から10センチほどのところに手を付いていた。セミナー当日は40センチほどの距離があり、まるでこどもを遊ばせる ためのトンネルのようだったのに(笑)。
だからといってすごく膝を曲げているというわけではない。楽に伸ばしている感じ。
適切に動けば、パフォーマンスは上がるものだと思った。

●ボールあぐら
「その1」に書いたように、わたしは稽古に「ボールあぐら」を取り入れている。それはボールの上に座った、腰から上の胴体をまっすぐに保つことが技にとって有効かを知るためと、その感覚を得るための稽古法としてであった。
その「ボールあぐら」の考案者が今回の講師であるTakahiroさんこと、中村考宏さんなのだが、わたしがこれを稽古に取り入れた当時は、大腰筋トレーニングとしての意味合いが強かった。そこでわたしは自分に都合の良い形で「ボールあぐら」を取り入れていたのである。

わたしのやり方が自分の稽古としては有効だと思っているが、それでもこの機会にオリジナルの「ボールあぐら」を知っておく方が良いと思い、事前にそのトレーニングをリクエストしていた。
そこで参加者でボールが手元にある人には持参してもらうことにしていた。しかし、セミナーで骨盤をおこした座り方を、1日目はイスで、2日目は正座でやってみて、これは「ボールあぐら」どころではないと思い知ったのである。
イスに座るのも大変な「骨盤おこし」座りを、ボールでやるなんて10年早い! のであった。
中 にはボールを当日買って来た人たちもいて、たいへん申し訳なかったのだが、「ボールあぐら」もけっきょく骨盤をおこすのに合わせて、上体が前傾せざるを得 ず(つまりそれが現時点でのその人の「まっすぐ」だからだが)、ここまでレベルが違うと最初の目論見はどこえやらで、わたしたちにはその前にもっとやるべ きことがあるということである。

セミナーのなかではないが、ひとつ新しいやり方を教わった。前傾せざるを得ない姿勢の人がボールあぐらをする場合、もうひとつのボールを前に置いて、そこに手のひらを当て体重を乗せる、というやり方である。これは中心の感覚を練るのにいい方法だと思った。

あとはイスに浅く腰かけるか、正座で、顔を前に向け胸を前に出して、股関節を支点に胴体ごと骨盤を前傾させていき、尻よりも腿の裏で座っている、あるいは恥骨で座っているぐらいの感じの姿勢を保つことを、日に何度か行うことが効果的だろう。

●アフターセミナーでのネタ、いろいろ
セミナーのあと、Takahiroさんを囲んで食事をしていて、次回のセミナーで取り上げてほしい面白い話がいくつもあった。

「下駄でのトレーニング」
一本歯の下駄より、二本歯の下駄(普通の下駄でも、朴歯の高下駄でも)前の歯で歩くようにすると良い。

「横座り(女座り)」
横座りはからだを歪めるという話から、きちんとした横座りをすればそういうことはない、と言う。
タイの女性は横座りをするが、からだを歪めることはない。正しい横座りをすれば大丈夫。
同じ流れで「正しい脚の組み方」の話もでる。
ファミレスだったので、実際の動作をやることはできなかったので、次回はぜひそのやり方を知りたいものだ。

「首のシワも取れる」
セミナーのなかでも、骨盤後傾をしていると、脚に余分な働きをさせるので、脚も太くなるし腰も大きくなる。毎日筋トレしているようなものだから、という話はあった。
アフターで、骨盤をおこし、顔を前に向け胸を出すようにしていると、首の前面が伸びてくるので、首も長くなるしシワが取れてくるのだ、という話があった。
セ ミナー直後ということもあり、ファミレスではみんな骨盤をおこした姿勢で座っていたのだが、その中の年配の女性の首のシワが(そこで二時間以上ペチャク チャ話していたのだが)、ほんとうに無くなっていったのには皆がびっくり。無くなったというより、首の皮が伸びて目立たなくなったのだろうが、逆に言えば 骨盤を後傾させ猫背にしていると首が縮まってシワになるというわけである。
また背中が楽になってくると肩甲骨も弛み、肩が落ちるので首も長くなってくるのだろう。

ところで「これから毎日骨盤をおこして生活しよう」と皆言っていたが、Takahiroさんは「それがなかなか続かないんですよ。よほど気を付けないと二、三日すると元にもどってしまう」というようなことを言っていた。
実際一週間経って、早稲田の講習会に来ていたセミナー参加者たちとお茶を飲みに行ったら、四人全員が骨盤を後傾させてソファに座っていた(笑)。
もちろんそんな風にグデっとしたいときもあるけれど、そんな姿勢で「骨盤おこし」の話をしているから笑ってしまうのである。

一応「骨盤おこし東京セミナー」については今回で終わり。
ただ「骨盤おこし」について気付いたことなどはまた書くことにする。