私は80kgの減量に成功した!腰割りは効率よく筋肉を使い代謝を促す最高の運動 貴乃花光司 | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

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骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

私は80kgの減量に成功した!腰割りは効率よく筋肉を使い代謝を促す最高の運動


貴乃花部屋親方 貴乃花光司(たかのはなこうじ)


現役時代のままの身体では危ない


平成15年の1月場所、私は横綱として務め上げた土俵を去りました。そのとき、私がいち早く思い立ったのは減量です。現役時代に160kgあった体重を、いわゆる一般的な理想体重にすべく、体をつくり直そうと決心したのです。

理由は二つ。一つは、言うまでもなく健康のためです。

160kgという体重は、力士としては何の問題もありません。力士は確かに太っていますが、いわゆる脂肪太りではなく、多くが鍛え上げてつくられた筋肉です。

実際、体脂肪率は、私を含めてたいていの力士が25%前後。元関脇の寺尾関(現錣山親方しころやま)などは、わずか11%でした。

とはいえ、これはあくまでも現役力士の話。引退して、通常の生活戻るとなると、そうはいきません。

運動量が減るため、瞬く間に筋肉はそのまま脂肪に変わり、生活習慣病への一理塚であるメタボ体形になってしまいます。

もう一つは、スリムな体に対する素直なあこがれもありました。現役時代には無縁だった洋服を着て、おしゃれも楽しみたいという、ごく当たり前の欲求です。この点は、私自身のことだけでなく、弟子のため、という思いもありました。

今は、体を大きくして強くなることだけでがんばっている彼らも、いつかは引退する日が来ます。そんなとき、その気になれば体を自由自在につくり変え、メタボも防げれば、一般の人と同じようにおしゃれも楽しめるようになる。

私自身の体によって、そのシュミレーションを構築し、弟子たちの将来に、安心と希望を与えたかったのです。


バランスよく効率的に鍛えられる


私が取り組んだ減量作戦は、いたってシンプルでした。食事の面でカロリーの「入」を抑え、運動によって「出」を増やすという、ダイエットの王道を愚直に進んだだけです。

その結果、2年後には160kgを、ちょうど半分の80kgにまで減らすことができました。

ダイエットがあまりににも順調に進んだため、「貴乃花が劇やせ」「ガンではないか」などと勝手な憶測が飛び交じったのも、今では笑い話です。

運動はもっぱら四股(しこ)とストレッチを中心に、多い時は1回2~3時間のウォーキングも加えました。

ここでは、私が現役の頃からずっと実践している四股についてお話しましょう。

土俵に上がった力士が、最初に行うのが、四股を踏むという動作です。

四股は、古来より伝わる信仰的儀式であると同時に、きわめて優れた運動でもあります。また、場所も道具も必要ありません。

両足を大きく開き、腰を低く落としてから、片足を高く上げて力強く地を踏みしめる。

この一連の動作によって柔軟な股関節がつくられ、さらに股関節を中心とした、さまざまな筋肉が鍛えられていきます。

また、今話題になっている体のゆがみをなくし、インナーマッスル(体の深層部の筋肉)を鍛えるのに適した運動なのです。

これほどバランスよく、勝つ効率的に筋肉を使う運動は、ほかにあまり見られません。

筋肉が使われるほど、エネルギーの代謝は促進されますから、当然ダイエットににも結びついていきます。

私が、一般の人にも四股をダイエットや健康づくりに役立てていただきたいと思うのは、まさにそんな理由からなのです。

片足を上げる動きは難しいので、皆さんの場合は、両足を開いて腰を沈める「腰割り」の動作だけでもかまいません(腰割りのやり方は188ページ)。もちろん、これでも四股と遜色ない効果が見込めます。

四股は、男性にはもちろん、女性にもお勧めの運動です。相撲が生んだ運動法の傑作、四股や腰割りが、少しでも皆さんの健康づくりのお役に立てば、これに優る喜びはありません。


きれいなもち肌は骨盤の位置が正しい証


えにし治療院院長 中村考宏


現役時代の貴乃花親方は、惚れ惚れするほどきれいなもち肌でした。それはとりもなおさず、骨盤が正しい位置に保たれている証でもあります。

大幅な減量成功には、食事コントロールの成果はもちろんですが、正しい骨盤の状態で腰割りなどの運動をお続けになっていた成果でもあるでしょう。

最近の若い日本人力士は、骨盤が後傾している人が目立ちますので、腰割りや股割りなどの時には、その点も考慮に入れて指導されたら、より有効な鍛錬に結びつくと思います。


2010 マキノ出版『安心』4月号より






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