英語で方角 | 英語の世界観

英語の世界観

私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

テーマ:

今日は「英語で方角」をまとめたいと思います。

 

英語で方角を表現するときには日本語と表現方法が違う場合があるのでその点注意が必要ですね。今回はその違いを少し探っていきます。

 

まず基本的なところでは日本語の「東西南北」を英語で言うとどうなるでしょうか?こう尋ねているならその語順通りではないというのが予想できると思います。英語では次のようになります。

 

north, south, east and west

 

英語では北南東西の順番になります。このような違いはそれぞれの言語による習慣と割り切って覚えるのが一つですが、よく考えるとものの見方のようなものがあるとも言えるかもしれません。

 

まず英語では"north, south"と地図上でいう縦のラインでは、最初に"north"から始まっています。つまり北から南へという矢印があるような流れです。一方日本語ではこの縦のラインは「南北」と表現して南から北へという流れがあります。

 

不思議なことに日本語では「北南」とは言いませんね。同じように英語では"south and north"とは言わず"north and south"という表現を使って日本語で言う「南北」を表します。

 

次に横のラインに目を向けると、日本語では「東西」となり英語でも同じく"east and west"と表現します。これは東から西へという流れがある感じですね。ここでも逆方向の「西東」や"west and east"という言い方はしません。

 

ここで一つ日本語の謎にふれておくと、「東西」では「西」を「ざい」と濁音になりますね。他の方角を表す「西」は「せい」と読むのになぜ「東西」だけ濁音になるのか?また同じく「南北」では「北」を「ぼく」と濁音になりますね。これも他の方角を表す「北」は「ほく」となるのになぜ「南北」だけ濁音になるのか?普段このようなことは意識しませんが考えてみると説明が難しい問題です。

 

次に4方向の間の表現を見てみます。

 

英語では次のような4つ表現があります。

 

northeast 北東(東北)

northwest 北西(西北)

southeast 南東(東南)

southwest 南西(西南)

 

北と東の間は"northeast"となります。カッコで示したのは日本語で言える表現です。日本語では北と東の間は「北東」とも言えるし「東北」とも言えます。でも英語では"*eastnorth"とは言えず"northeast"となります。他の3つの表現も同じようなものになっています。

 

ここから言えることは、英語では"north"と"south"が基準となっているということです。なので"north~"や"south~"と最初に北や南を表すことばが来ています。これが基準になっているのでスタート地点が東や西から始まる"east~"や"west~"という表現は使わないようになっています。

 

一方日本語では柔軟なのか?4つの方角どちらからでも言えるようになっています。「北東」でも「東北」でもいいですし、「北西」でも「西北」でも使えます。このあたりは日英で違いがあるので日本語の感覚で"*eastnorth"と言うと間違ってしまうので注意ですね。

 

この英語の表現を図にすると次のようになります(ブラウザーによって図がズレることがあるかもしれません)。

 

   N

 ↙ | ↘

W←ー●ーーE

 ↖ ↓ ↗

   S

 

矢印が表すのはそちらの方向に進むことができることです。縦のラインで言えば"north and south"となり、横のラインで言えば"east and west"となります。また斜めの矢印ではNとSが基準となるスタート地点なので、"northeast"や"northwest"となりその逆はできないということです。同じくSからは

"southeast"や"southwest"となりその逆は言えません。

 

日本語の場合は上の図の斜めの矢印は双方向になるのでその点で英語と違いがあります。

 

ここまででも少しごちゃごちゃしているかもしれませんが、最後にもっと細かい16方位を見てみます。英語では次のような表現になります。

 

north-northeast 北北東

north-northwest 北北西

south-southeast 南南東

south-southwest 南南西

east-northeast 東北東

east-southeast 東南東

west-northwest 西北西

west-southwest 西南西

 

"north"と"east"の間が"northeast"で、"north"と"northeast"の間が"north-northeast"となります。他も同じような作りになっていますが、ポイントはここでも北と南が基準になっているということです。上の単語の"-~"という右側部分に注目すると全て"-north~"か"-south~"となっています。英語ではここをズラさない作りになっていると言えます。

 

考え方としては"northeast"の北寄りということで"north"とつながって"north-northeast"となっています。英語では

"*eastnorth"とは言わないのでこの仕組みがわかると覚えやすいと思います。

 

日本語では北と東の間を「北東」や「東北」と言えますが、北と北東の間は「北北東」となり「北東北」とは言いません。また東と北東の間は「東北東」となり「東東北」とは言いません。8方位では「北東」や「東北」と言えますが、16方位では「北東」が単語の右側になりそれの北寄りなら「北北東」で、東よりなら「東北東」となります。他の方角でも「北西」「南西」「南東」が単語の右側になるパターンになっています。この点は北と南が基準になっているので英語と通じる部分と言えるかもしれません。

 

日本語と英語では上で示した矢印の方向が異なる場合があるのでその点を抑えられると理解が深まると思います。